孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi

文字の大きさ
8 / 108
1章 国王陛下ですよね?

ランバート先生の家へ行こう!

しおりを挟む
「チロ~準備出来た?」

ルルはトイレに入っているチロに声をかけた。

「まだでにゃいからまっててーねーね!」

いやそっちではなく荷物の事を言ったんだけど、まぁいっか。


今日はランバート先生の家に行く日だ。憂鬱な気持ちのままルルはチロの鞄の中を確認している。何故か石ころが沢山入っていた。

「何でだ?重っ!」

信じられない重さなので、ルルは石を鞄から出した。

「ねーねでたよー!」

チロが大声で叫んでる。

「フフっ報告はいいよ!」

チロを待っていると、アンリがやってきてルルの隣に静かに座った。

「大丈夫?あんたランバート先生の家に招待されてから元気ないからさ⋯やっぱりチロって⋯何でもない!楽しんできな!」

「アンリ、ありがとう」

「ねーねおまたしぇー!」

そこへチロが戻ってきたので暫く三人で話していると、院長先生がルル達を呼びにきた。皆で一緒に玄関に行くとランバートが待っていた。

「やぁ!じゃあ行こうか!」

「よろしくお願いします」

私が丁寧に頭を下げる。

「ちます!」

するとチロもルルを見て真似した。そんな二人を見たランバートは微笑ましく笑うのだった。
アンリと別れたルルとチロはランバートに付いていくと、そこには貴族馬車が待っていた。しかもかなり豪華な馬車だ、ランバート先生って上位貴族かな。

「うわーー!ねーねしゅごいね!お馬しゃん!」

「そっちかよ!」

ルル達のやり取りを微笑ましく見守るランバートと共に馬車に乗り込むと出発する。ルルは町の景色を眺めながら気持ちの整理をする。チロは最初は興奮して騒いでいたが、馬車の揺れが揺りかごみたいな効果があったのかぐっすりと眠ってしまった。

暫くの気まずい沈黙が続き、ランバートが口を開いた。

「ヨシュア⋯チロと仲良くしてくれてありがとう、見ていたら本当の姉弟みたいだよ」

「チロはずっと私の弟です!離れ離れになっても弟です!」

ついムキになってしまうルルだが、ランバートは何も言わずに頷くだけだった。

「あぁそうだね」

気まずい空気の中、馬車が止まった。窓から覗くとそこは広大な敷地にこれまた豪華なお屋敷があり唖然とするルル。馬車のドアが開き執事のような人が頭を下げる。その後ろには何十人ものメイドが綺麗に並んでいた。

「お帰りなさいませ旦那様」

「「「「お帰りなさいませ旦那様」」」」

驚き緊張しつつもルルはチロを起こして馬車を降りる。すると皆の視線が自然とチロにいく。執事であろうお爺さんはチロを見て目に涙を浮かべている。

「うわーー!ちゅごいね!大きいおうちー!」

「じゃあ中に入ろうか」

「はい」「あい!」

執事のお爺さんの後をランバートと一緒に歩いていく。そして引くぐらい豪華な花瓶や絵画などが飾られた廊下を歩いていた。

「チロ兵士!絶対に触ったら駄目であります!弁償できません!!」

「あい!ちゃわりましぇん!」

必死に手を後ろにやるチロを微笑ましく見つめるメイドや執事のお爺さん。

「フフっ大丈夫ですよ」

思わず笑ってしまうランバート。その流れでルルはランバートに聞きたかった事を聞いた。

「ランバート先生は上位貴族ですか?」

「私はランバート・オールドウィン、一応公爵でこの国の宰相を勤めています」


上位貴族であろうとは思っていたがまさかの公爵でしかも宰相だとは、想像以上の大物でした。ルルが驚いていると急に後方が騒がしくなり、階段を物凄い勢いで降りてくる人とそれを止めるメイドとの攻防が繰り広げられていた。

「チロ兵士!あれは戦争だ!止めてこい!」

「あい、だんちょー!」

ルル団長に命じられたチロは走り出し、攻防中の人達の前へ行った。

「やーめーなーしゃーい!」

チロが大声で叫んだ。

すると階段を物凄い勢いで降りてきた美女。美しい金髪に淡いグリーンの瞳はチロと一緒だ。うん、チロの本当のお母さんだね。チロはお母さん似なんだね。

「おまえをちゅかまえます!」

チロは何も知らないので美女を指差し叫んでいた。

美女は目に涙を浮かべてチロを見ながら震えている。ランバートが美女に急いで駆け寄り抱きしめた。

「あなた⋯あの子がヨシュアよね?」

「あぁ⋯ヨシュアだ」

美女は溢れる涙を拭くと、立ち上がりチロの元に歩いて行く。

「申し訳ありません!」

そして急にチロに平伏す美女。

「ゆるちゅ!」

えぇーーー!ノリがいいな!さすが親子だな!
しおりを挟む
感想 111

あなたにおすすめの小説

水魔法しか使えない私と婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた前世の知識をこれから使います

黒木 楓
恋愛
 伯爵令嬢のリリカは、婚約者である侯爵令息ラルフに「水魔法しか使えないお前との婚約を破棄する」と言われてしまう。  異世界に転生したリリカは前世の知識があり、それにより普通とは違う水魔法が使える。  そのことは婚約前に話していたけど、ラルフは隠すよう命令していた。 「立場が下のお前が、俺よりも優秀であるわけがない。普通の水魔法だけ使っていろ」  そう言われ続けてきたけど、これから命令を聞く必要もない。 「婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた力をこれから使います」  飲んだ人を強くしたり回復する聖水を作ることができるけど、命令により家族以外は誰も知らない。  これは前世の知識がある私だけが出せる特殊な水で、婚約破棄された後は何も気にせず使えそうだ。

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

よかった、わたくしは貴女みたいに美人じゃなくて

碧井 汐桜香
ファンタジー
美しくないが優秀な第一王子妃に嫌味ばかり言う国王。 美しい王妃と王子たちが守るものの、国の最高権力者だから咎めることはできない。 第二王子が美しい妃を嫁に迎えると、国王は第二王子妃を娘のように甘やかし、第二王子妃は第一王子妃を蔑むのだった。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

王家に生まれたエリーザはまだ幼い頃に城の前に捨てられた。が、その結果こうして幸せになれたのかもしれない。

四季
恋愛
王家に生まれたエリーザはまだ幼い頃に城の前に捨てられた。

【完結】アッシュフォード男爵夫人-愛されなかった令嬢は妹の代わりに辺境へ嫁ぐ-

七瀬菜々
恋愛
 ブランチェット伯爵家はずっと昔から、体の弱い末の娘ベアトリーチェを中心に回っている。   両親も使用人も、ベアトリーチェを何よりも優先する。そしてその次は跡取りの兄。中間子のアイシャは両親に気遣われることなく生きてきた。  もちろん、冷遇されていたわけではない。衣食住に困ることはなかったし、必要な教育も受けさせてもらえた。  ただずっと、両親の1番にはなれなかったというだけ。  ---愛されていないわけじゃない。  アイシャはずっと、自分にそう言い聞かせながら真面目に生きてきた。  しかし、その願いが届くことはなかった。  アイシャはある日突然、病弱なベアトリーチェの代わりに、『戦場の悪魔』の異名を持つ男爵の元へ嫁ぐことを命じられたのだ。  かの男は血も涙もない冷酷な男と噂の人物。  アイシャだってそんな男の元に嫁ぎたくないのに、両親は『ベアトリーチェがかわいそうだから』という理由だけでこの縁談をアイシャに押し付けてきた。 ーーーああ。やはり私は一番にはなれないのね。  アイシャはとうとう絶望した。どれだけ願っても、両親の一番は手に入ることなどないのだと、思い知ったから。  結局、アイシャは傷心のまま辺境へと向かった。  望まれないし、望まない結婚。アイシャはこのまま、誰かの一番になることもなく一生を終えるのだと思っていたのだが………? ※全部で3部です。話の進みはゆっくりとしていますが、最後までお付き合いくださると嬉しいです。    ※色々と、設定はふわっとしてますのでお気をつけください。 ※作者はザマァを描くのが苦手なので、ザマァ要素は薄いです。  

婚約破棄されたトリノは、継母や姉たちや使用人からもいじめられているので、前世の記憶を思い出し、家から脱走して旅にでる!

山田 バルス
恋愛
 この屋敷は、わたしの居場所じゃない。  薄明かりの差し込む天窓の下、トリノは古びた石床に敷かれた毛布の中で、静かに目を覚ました。肌寒さに身をすくめながら、昨日と変わらぬ粗末な日常が始まる。  かつては伯爵家の令嬢として、それなりに贅沢に暮らしていたはずだった。だけど、実の母が亡くなり、父が再婚してから、すべてが変わった。 「おい、灰かぶり。いつまで寝てんのよ、あんたは召使いのつもり?」 「ごめんなさい、すぐに……」 「ふーん、また寝癖ついてる。魔獣みたいな髪。鏡って知ってる?」 「……すみません」 トリノはペコリと頭を下げる。反論なんて、とうにあきらめた。 この世界は、魔法と剣が支配する王国《エルデラン》の北方領。名門リドグレイ伯爵家の屋敷には、魔道具や召使い、そして“偽りの家族”がそろっている。 彼女――トリノ・リドグレイは、この家の“戸籍上は三女”。けれど実態は、召使い以下の扱いだった。 「キッチン、昨日の灰がそのままだったわよ? ご主人様の食事を用意する手も、まるで泥人形ね」 「今朝の朝食、あなたの分はなし。ねえ、ミレイア? “灰かぶり令嬢”には、灰でも食べさせればいいのよ」 「賛成♪ ちょうど暖炉の掃除があるし、役立ててあげる」 三人がくすくすと笑うなか、トリノはただ小さくうなずいた。  夜。屋敷が静まり、誰もいない納戸で、トリノはひとり、こっそり木箱を開いた。中には小さな布包み。亡き母の形見――古びた銀のペンダントが眠っていた。  それだけが、彼女の“世界でただ一つの宝物”。 「……お母さま。わたし、がんばってるよ。ちゃんと、ひとりでも……」  声が震える。けれど、涙は流さなかった。  屋敷の誰にも必要とされない“灰かぶり令嬢”。 だけど、彼女の心だけは、まだ折れていない。  いつか、この冷たい塔を抜け出して、空の広い場所へ行くんだ。  そう、小さく、けれど確かに誓った。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結 新作 【あやかしたちのとまり木の日常】 連載開始しました。

処理中です...