孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi

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1章 国王陛下ですよね?

ジョンさんの正体

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「いやいやそれは⋯」

エチカの急な提案に驚くルル。

「チロも喜ぶだろうし、ルルちゃんは可愛いから私は大歓迎よ!」

「駄目だ」

いつもの感じでは無く、真剣な目をしたジョンさんがエチカに反論する。

「あらどうして?」

エチカも一歩も引かない。

「ルルは俺が引き取るつもりだ!」

「はぁ?」

ジョンさんの発言に更にルルは驚いた。

「何故に兄上が引き取るんです?」

「分かっていて聞いてるよな?」

何故か一触即発状態のジョンさんとエチカ。それに今兄上って聞こえたルルはついエチカを見た。

「ケンカはだめでしゅよ!」

そこにチロが割って入って仲裁した。チロはエチカから貰った木の剣を構え、まずはジョンさんを斬る。

「ぐっ!お前本気で叩くな!」

チロはいつもジョンさんにだけは遠慮がない。それもこれもルルの教育の賜物である。そして次にエチカに斬りかかる。

「ぐあぁー!」

苦しみながら倒れるエチカさん。ルルが認める程に演技が上手すぎだ。

「ちゅまらにゅものをきってちまった!」

そして自分に酔うチロ。やはりエチカの血を受け継いでいる。
皆がルルをみるが知らんぷりする。ジョンさんがふと起き上がるとルルの元に来た。

「ルル、お前はどうしたいんだ?俺はお前を引き取りたいと思っている。だが今は無理なんだ⋯もう少し待っていてくれないか?」

「私は⋯分からないよ!チロとも離れたくないし!ジョンさんの事も大事だよ?でも分からない⋯」

混乱するルルをジョンさんが優しく抱きしめた。

「ねーね?」

そんなルルをチロが不安そうに見ているので、ルルは意を決してチロに問いかけた。

「チロ、今日からここで暮らすんだよ?ここにはチロのお父さんとお母さんが住んでるの。チロも今日から2人と暮らすの」

チロがエチカとランバートを見るが一瞬だけ黙り、そして激しく泣き出した。

「いやーーー!ねーねがいいーーー!うわーーん!」

ルルに必死にしがみつき泣きじゃくるチロを見て胸が痛くなる。そんな痛ましい光景を黙って見ていたエチカが徐に立ち上がると部屋を出ていってしまった。

「エチカさん、ショックだったのかな⋯」

心配するルルだが、ジョンさんとランバートは何故か苦笑いしながら頭を抱えていた。

「ランバート、大変になるかもしれないがこれもチロの為だ!」

「はい、分かってはいるんですけど⋯私もチロと一緒にいたいです」

何の話をしているんだのか気になるルルだが、泣き止まないチロを懸命に慰めていた。すると部屋のドアが勢い良く開き、エチカが荷物を持ち簡易服で現れたのだ。

「ランバート!言わなくても分かるわね?」

「行くんですね?」

「チロの為よ!それに面白そうだしね!」

ルルと鼻垂れチロがキョトンとしていると、エチカがこちらにやって来た。

「私も一緒に孤児院に行くわ!」

「はぁ?」

「孤児院で子供達の世話をしながらチロには私に慣れてもらいたくて⋯だから私も孤児院に行くわ!」

「いや、2回言われても⋯」

「エチカはこうなったら言うことを聞かない、諦めろ。院長には俺が話しておくから」

ジョンさんも何故か諦めモードだ。そんな中で決意の固いエチカはずっとルルを見ている。

「私も孤児院に⋯「分かりました!」ありがとう!」

エチカさんは食い気味に答えると、チロの元へ行き嬉しそうに報告を始めた。

「チロ!私も孤児院で暮らすからよろしくね!」

「かーしゃんも?」

「そうよ!いっぱい遊びましょうね!」

「兵士ごっこも?」

「そうよ!剣も教えてあげるわ!」

「やったーー!」

嬉しそうに抱き合う似た者親子を見て、ルル達は苦笑いするしかなかった。


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