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3巻
3-2
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「どういうことだ?」
クロノスはジェスを見て言う。彼は幼い頃にジェスとは何回か会ったことがあるが、それ以上の思い出はない。唯一思い出せるのは、ジェスの凶行を聞いて失望する父ラクロウの姿だった。
クロノスには他人の記憶を見る力がある。
ジェスの過去を覗いてみても結婚している様子はないし、その代わりに見えてくるのは、色々とやらかして〝変人王〟と呼ばれている姿だ。
気になるのが、ジェスの息子だと思っていたジェードが何故か弟としてサポートしていることと、妻だと思っていたキリヤが妹で、ジェスに説教している姿が見えたことだ。
「お前……〝変人王〟って呼ばれていたんだな」
「はっ! やめてください! 黒歴史ですので……仕事はちゃんとしてましたよ!」
威張って言うジェスに呆れる一同。
「じぇちゅをいじめたらダメでしゅよ!」
ユリアがジェスの前に立って言う。
「あぁ……小さいお母さんだ!」
「ちいさくにゃい! それにユリアは〝かーしゃん〟じゃないでしゅよ!」
幼子に怒られている初代国王ジェスを、ルウズビュード国の王族達は唖然として見ている。
「我々ドラゴンを欺いた奴がいるのか……」
そんな中、クロノスはいつもの大らかな表情ではなく、竜王の威厳を宿した顔になっていた。
「おっ! 面白いことになってるな~!」
そこへ暢気な声が聞こえてくると同時に、空間の一部が裂けて、そこから久しぶりの人物が出てくる。
「あー! マリーだぁ!」
現れた緑髪の少年に、ユリアが嬉しそうに手を振る。
「マーリンだって! 相変わらずのユリアだねぇ!」
ユリアの頭を撫でながら笑う魔神マーリンは、すぐにジェスとクロノスの方に顔を向けると衝撃的なことを言った。
「過去に行って見てこようか? 真実が知りたいんだろ?」
「この子は誰ですか?」
ジェスがクロノスに聞く。
「魔神マーリンだ」
驚いて、開いた口が塞がらないジェス。ジェスでさえ実物を見たのは初めてなくらい、マーリンは伝説的存在なのだ。
「〝魔王〟に驚かれたよ! あはは!」
「マーリン、過去へ行けるのか?」とクロノスが確かめる。
「当たり前! じゃあ行ってくる! 逆方向の時間移動も自由にやれるから、すぐに戻ってこれるしねぇ~!」
そう言うとマーリンは即座に消えてしまった。
成り行きを見守っていた竜人の大人組は、無言で目配せし合う。彼らは真実が何かとは別に、恐れていることがあった。
それは、自分達がルウズビュード王家の血を受け継いでいないかもしれない、ということ。マーリンが真相を持ち帰ってくれば、自ずとその答えも出るだろう。
だが一人、何も知らない王族ユリアは固まったままのジェスをツンツンして遊んでいた。
†
「たっだいま~!」
「「「「早っ!」」」」
マーリンが消えてからまだ一時間も経っていない。自由に時間を移動できるマーリンからすれば、現れる時間はいつでも良いのだが、時間移動の経験がない者達には、いまいちその理屈は伝わらない。
説明するのも面倒なのでそこには触れず、マーリンは早速皆を集めて、見てきた内容を話し始めた。
「結論から言うと、ルウズビュード国の血筋は守られているよ」
真相に先回りして、竜人達の知りたかったことを告げるマーリン。
それを聞けて、王族達は一気に肩の力が抜けた。
「ジェスだっけ? 君の周りの人物は物凄く強力な【魅了】の魔法にかかってたみたいだね」
「【魅了】? 今その問題で王家が動いているんだが……偶然か?」
オーウェンが疑問を口にする。
【魅了】とは禁忌の闇魔法の一つで、自分を異常なまでに魅力的に見せる効果がある。恋愛感情に限った魔法ではなく、【魅了】をかけられた人間は、誰であれ使用者の言いなりになってしまう。
ユリアやルイーザを敵視する人間の多くがこの魔法をかけられていたことが発覚し、オーウェン達は実行犯であるエズラという女性を取り調べるために、先程まで外出していたのである。
エズラが別の人物から【魅了】の使い方を教わったことまでは分かったが、その者の名を吐かせる前に、彼女は急死してしまった。
マーリンはオーウェンの問いかけに頷く。
「多分繋がっているね。過去の時代で物凄く強力な【魅了】を使った人物は、コーナス・ロンド公爵だ。俺も驚く程の魔法の使い手だったよ。それに、何故かジェスに対してかなりの憎悪を抱いていた」
「コーナス! やっぱりあいつか!」
ジェスがその名を聞いて憤る。
マーリンは自分が見てきた光景を淡々と話し出した。
ジェスがこの国を建国する時に苦楽を共にした右腕であり、親友だったコーナス。だがコーナスはというと、何でもそつなくこなし、生まれながらに最強の力を持つジェスに対して酷い劣等感を持っていたらしい。
努力をせずとも人に恵まれて、竜王とも友好に交流するジェスは、皆に〝変人王〟と呼ばれながらもその人気は絶大だった。加えて、彼の家族である妹のキリヤや弟のジェードも優秀で、コーナスは自分がもうこの国にとって必要ないのではと思うようになっていった。
劣等感から始まった嫉妬と憎悪がどんどんと渦巻いていったコーナスは、次第に精神を病んでいき被害妄想も酷くなっていった。
そして最終的にはルウズビュード国を恐れる人族の者達を利用して、ジェスを封印することに成功した。本来だったら自らの手で殺したかったが、コーナスの力ではジェスには到底及ばない。それ故に卑怯で残酷な方法をとったのだ。
「酷いわね……ただの嫉妬でそこまでするなんて!」
聞いていたアネモネが憤る。
「【魅了】を使ったのはその後のことかしら?」
フローリアの質問に、マーリンは続きを話し始めた。
コーナスは手始めに、ジェスの妹のキリヤに【魅了】をかけた。
突然姿を消した兄を必死で探していた彼女は、次第に人格が変わっていき、何故かジェスは国を捨てて消えた裏切り者だと罵り始めたのだ。
そして急遽、王として跡を継いだ、ジェスの弟であるジェードは、姉の突然の変わりように困惑し、いつも自分達の近くにいたコーナスを疑うようになった。消えた親友を探そうともせずに、むしろ醜聞を広める方に加担していたからだ。
やがて国中に、ジェスは人族の娘に心酔して国を捨てた愚かな王だ、という認識が定着していった。同時期に、キリヤだけでなく側近達も【魅了】の餌食となり、ジェスを罵るようになる。
「ジェードはそんな四面楚歌の中、一人で戦ったけど、次第に彼もコーナスの毒牙に抗えずに堕ちていったんだよ」
「痛ましいわね……」
それ以上言葉が出ないフローリア。
「あいつ……‼ 大事な妹と弟まで‼」
マーリンの話を聞いて怒りが込み上げるジェス。
「皆、コーナスの【魅了】にやられてたんだ。あいつの魔力は並外れているよ」
そう言い不敵に笑うマーリンは、更に見てきた事実を話し始めた。
懸命に【魅了】と戦ったジェードだが、次第に精神を病んでいった。皆が兄と自分を比べているのではないかと思い込んで、ジェスの名を出す者を誰彼構わず粛清し始めたのである。
そしてそれからすぐに事件が起こった。ジェードに待望の王女が生まれた日に、姉であるキリヤが突然姿を消したのだ。そこへ悪意を持ったコーナスがやって来て、精神的に限界がきているジェードの耳元で囁いた。〝王女は呪われている。この子はこの国に災いをもたらす〟と。
「本来だったら、ジェードもそんな馬鹿げた言葉を聞くはずもない。だけど、追い詰められていた彼は、あんなに怪しんでいたコーナスの意見にもかかわらず、躊躇なく我が子である王女を殺めてしまったんだ」
「酷いわ……酷すぎる」とフローリアはルイーザを抱きしめながら涙を流す。
「コーナス、あいつは異常だよ」
マーリンは忌々しそうに言う。
王女が殺された直後、コーナスはジェードにかけていた【魅了】を解いた。正気に戻った彼は目の前にある王女の亡骸を見て、自身の行為に耐えかねてその場で自ら命を絶った。
その後もジェードの息子達がコーナスに操られていたが、ジェスを封印している箱がいきなり消えて、焦ったコーナスは禁忌の魔法を使い、この時代にやって来たのだという。
「コーナス‼」
ジェスは目を血走らせていた。大事な妹の安否も心配だが、弟がされた仕打ちに対して震える程の怒りに満ちていた。
「本当に人間は愚かだ」
シロが吐き捨てるように言うと、聞いていた魔物達も同意するように頷く。
黙ってマーリンの話を聞いていたオルトスだが、確認せずにはいられないことがあった。
「コーナスが今、この時代にいるんですか⁉」
「うん。禁忌の闇魔法を使ってやって来たみたいだよ。来た時期はユリアがこの国に戻った少し後かな。君達が困らされていた【魅了】を……エズラだっけ? その子に教えたのがコーナス」
オルトス達は予想外の真実に戸惑っていたが、現在起こっている事件の黒幕が分かった瞬間でもあった。
「未来への移動でかなり命と魔力を削っているから、もう長くは生きられないね。コーナスは僕と違って、過去への移動はできない。元の時代に戻れないことを承知の上で、彼は箱の行方を追いかけた。それ程までに君に執着しているなんて、あいつは常軌を逸しているよ」
マーリンはジェスに視線を向け、ずっと見てきたコーナスの所業を思い出して顔を歪める。
「コーナスはジェードの子供達を使って、ルウズビュード国を崩壊に導き、最後の仕上げに自身でジェスの箱の封印を解いて殺そうとしていたんだ。だから肌身離さず箱を持っていたんだけど、急に消えちゃったから焦っていたよ」
「コーナスの近くから消えたのも幸運だったが、ユリアに開けてもらえたのは奇跡だな。ユリア以外が開いていたら俺は確実に死んでた」
ジェスが言うと、皆も頷く。
「面白いことに、箱は本当に急に消えたんだよ! ユリアがこの時代に導いたのかな~?」と言い、笑うマーリン。
「よんだ~?」
ユリアは自分が呼ばれたと思い、よちよちと歩いてくる。ジェスはそんなユリアを抱っこすると笑顔でお礼を言う。
「ユリア、ありがとうな。お前のお陰でまたこうして生きていられる。……ありがとう!」
「じぇちゅはいきてまちゅよ? これからもいっちょ~! いっちょにあしょぼーね!」
「プッ……あぁ、遊ぼうな!」
そう言うとユリアを抱きしめるジェス。
ピーピーピー!
突然鳴り響く笛の音。それを吹いたのはオーランドで、黙ってユリアをジェスから奪い返す。
「初代国王陛下……ユリアと会話する時は、半径五メートルは離れてください」
「遠いな!」と呆れるジェス。
ユリアはただ首を傾げていた。
閑話 チェスターとユリアと婚約破棄
ジェスから事情を聞いたオーウェン達は、コーナスを探し出すために、まずは子孫と思われるガイナス・ロンド公爵を呼び出すことにした。
マーリンはコーナスの居場所については口にしなかった。これ以上の介入は、神としてはやりすぎになるらしい。
元々、友人であるユリアのために手を貸しているだけであって、竜人族に無条件で協力しているわけではない。オーウェン達もそれに不満はなかった。
†
ところで、王族達が飛び回っている裏で、ユリアの母方の祖父・チェスターは軍部の業務に勤しんでいた。ジェスが現れるという非常事態が起こっても、日常業務が減るわけではない。
とはいえ、サボり魔のチェスターが張り切っているはずもなく、彼は今、自分の執務室で嫌々仕事をしていた。
周りの部下は、機嫌の悪いチェスターが恐ろしくて、離れて様子を見ている。そんなピリついた空気で静まり返る部屋に、あのお馴染みの足音が聞こえてくる。
ピープーピープーピープーピープー。
子供用の、歩くと音が鳴る靴である。
「コンコン! コンコン!」
今度は扉の向こうから、口でノック音を再現する声が聞こえた。
するとチェスターは舌打ちをするが、何故か嬉しそうだ。
「誰だー? 名を名乗れ!」
ピープーピープー。
「ユリアでしゅよー! あけてくだしゃい!」
チェスターは溜め息を吐くと、徐に立ち上がり、面倒臭そうにドアを開けに行く。だがその目は優しく、部下達は我が目を疑う。
ドアを開けるが、チェスターの視線の先には誰もいない。
「おい、おちび!」
「ここでしゅよ! もう!」
チェスターが視線を下ろすと、ピョンピョン跳ねて存在をアピールするユリアがいた。笑いを堪えながらしゃがみ込むチェスター。
「おー! わりぃ! 見えなかった!」
「しちゅれいなあにちでしゅね!」
ユリアはぷんすか怒り、攻撃力ゼロのパンチを食らわせている。ちなみに、チェスターは老人扱いされるのが嫌で、ユリアに自分のことを「兄貴」と呼ばせていた。
「お前、一人で来たのか?」
「シロにつれてきてもらったにょ! すこしちたらむかえにくる!」
ポカポカと叩き叩かれながら会話する、似た者同士の祖父と孫娘。チェスターの孫バカぶりは一部では周知の事実だが、今日の部下は皆知らず、初めて見る光景に戸惑っていた。
唖然としている部下達に気付いたユリアが、部屋の中に入っていく。
「いちゅもあにちがおせわになってまちゅ!」
ペコリと頭を下げるユリアに、感心すると同時にその可愛さにやられる一同。
チェスターはそんなユリアを自分の机の脇に座らせて、自分の仕事に専念し始めた。その理由は、少しでも仕事ができるところを見せつけたいという子供じみたものだった。
「ふんふんふ~ん……ふふふ~ん」
微妙に音程の外れた鼻歌を歌うユリアに、肩を震わす部下達。チェスターはユリアの口に飴玉を入れて黙らせる。
ユリアは飴玉を嬉しそうに舐めていたが、口の中が空っぽになるとチェスターをじっと見る。
「飴玉はもうないぞ」
「ユリア、なにもいってないもん」
途端に静まり返る部屋。チェスターがどんなスマートな対応を見せるのか、部下達は息を潜めて見守っている。
「ほかにおかちがありゅなら、もらいましゅよ?」
「何もない、残念だったな!」
「ブーー!」とブーイングするユリア。
「「「「ブーー!」」」」とブーイングする部下達。
「お前ら!」
チェスターが目を離した隙に、ユリアは書きかけの書類に落書きをしてしまう。朱肉に手の平をつけてベタベタ手形をつけていく。
「ユリア!……ブハッ!」
ユリアの顔にも手形が付いていて、見るも無惨な顔になっている。すると何かを思い付いたチェスターが筆を持ち、ユリアの顔に何やら書き始めた。書き終わると同時にドアが開く。
そこにはシロと一緒にアネモネもいた。そしてユリアが嬉しそうに駆け寄ると、二人は声を失う。
眉毛は極太にされて、鼻の下と顎に髭を書かれて何故か顔の所々が赤いユリア。それを見てアネモネは怒りで肩を震わす。そしてチェスターを睨み付けると、その襟首を掴んで何処かに引き摺っていった。
「ユリア……お顔洗おうな」
「はーーい!」
残されたユリアは、シロに抱っこされて戻っていった。
こうしてユリアの手形付き書類は書き直しになったが、オーランドはそれを大事そうにしまったとさ。
†
「おくちゅはきたいー」
チェスターの部屋を出てから数時間後、ユリアは不貞腐れていた。
あの音の鳴る靴を履く許可が下りず、カイルやルウと一緒にガッカリしている。
今日は皆忙しく、シロとアネモネの他は、フローリアとルイーザだけだ。全員いつもの中庭に集まっている。
ユリアがブーイングしていると、子犬にしか見えないフェンと妖精コウもやって来た。
「ユリア……あのおくちゅはけないにょ?」とルウは悲しそうだ。
「きびちいよのにゃかでしゅね……」とルウに言うカイル。
「おだんごちゅくりましゅよ!」と、鼻息荒く宣言するユリア。
おだんごというのは泥団子のこと。
そう、ユリア達は中庭に作った砂場を使って、泥遊びをしようとしていたのだ。ユリアは一度音の鳴る靴を履くとなかなか脱がない。泥だらけのその靴で王宮を歩き回られては困るため、アネモネは許可を出さなかったのである。
気持ちの切り替えが早いユリアはケロッとした様子で、カイル達と早速砂場に行く。
そして今回は、三人に交ざって嬉しそうにルイーザも参加している。自分も参加したくて泣き出したルイーザの、うるうるした上目遣いに、フローリアが落ちたのだ。
「りゅいーじゃちゃん! おだんごちゅくろうねぇ!」
「あい~! キャッキャ!」と嬉しそうに手を上げるルイーザ。
近くではシロとアネモネ、それにフローリアが見守っていて、フェンはシロの足下で眠っている。コウは泥団子作りに嬉々として参加している。
「にぎにぎ~にぎにぎ~キャハハ!」
嬉しそうに泥団子を握っている泥まみれのユリア達。ルイーザも楽しそうに小さな手で泥団子を作っている。それを微笑ましく見ている大人達だが、事件は突然起こった。
ユリアの握っていた泥団子が、まるで自分の意思があるかのようにコロコロ転がっていってしまう。
「あーー! まてーー!」
ユリアは泥団子を追うが、よちよち歩きなので遅い。泥団子はピタリと止まり、ユリアが近付いてくると動き出す。そして辿り着いた先では修羅場が繰り広げられていた。
「お前との婚約は破棄する! ルルカを陰で苛めていたそうだな……覚悟しておけよ!」
一人の身分の高そうな男性が、高貴そうな女性に向かいそう宣言している。そして男性の脇には、彼を大事そうに支える可憐な女性がいた。しかし、高貴そうな女性の視線は男性を通り過ぎ、その後ろに釘付けになっていた。
男性がその視線を辿って後ろを振り返ると、小さな小さな泥だらけの女の子――ユリアが指を咥えて、じっと彼らを見ている。そして、眉を怒ったようにキッと立てた。
「何だ、この小汚い子供は! どうやって王宮に入ったんだ!」
「やだ~、泥だらけ……」
可憐な女性は顔をしかめた。
ユリアはそれに構わず、男性の近くに転がっている泥団子をよちよち歩きで掴むと、自分を睨み付ける男性に投げる。
泥は変化球のように軌道を曲げて男性の顔面に当たった。
クロノスはジェスを見て言う。彼は幼い頃にジェスとは何回か会ったことがあるが、それ以上の思い出はない。唯一思い出せるのは、ジェスの凶行を聞いて失望する父ラクロウの姿だった。
クロノスには他人の記憶を見る力がある。
ジェスの過去を覗いてみても結婚している様子はないし、その代わりに見えてくるのは、色々とやらかして〝変人王〟と呼ばれている姿だ。
気になるのが、ジェスの息子だと思っていたジェードが何故か弟としてサポートしていることと、妻だと思っていたキリヤが妹で、ジェスに説教している姿が見えたことだ。
「お前……〝変人王〟って呼ばれていたんだな」
「はっ! やめてください! 黒歴史ですので……仕事はちゃんとしてましたよ!」
威張って言うジェスに呆れる一同。
「じぇちゅをいじめたらダメでしゅよ!」
ユリアがジェスの前に立って言う。
「あぁ……小さいお母さんだ!」
「ちいさくにゃい! それにユリアは〝かーしゃん〟じゃないでしゅよ!」
幼子に怒られている初代国王ジェスを、ルウズビュード国の王族達は唖然として見ている。
「我々ドラゴンを欺いた奴がいるのか……」
そんな中、クロノスはいつもの大らかな表情ではなく、竜王の威厳を宿した顔になっていた。
「おっ! 面白いことになってるな~!」
そこへ暢気な声が聞こえてくると同時に、空間の一部が裂けて、そこから久しぶりの人物が出てくる。
「あー! マリーだぁ!」
現れた緑髪の少年に、ユリアが嬉しそうに手を振る。
「マーリンだって! 相変わらずのユリアだねぇ!」
ユリアの頭を撫でながら笑う魔神マーリンは、すぐにジェスとクロノスの方に顔を向けると衝撃的なことを言った。
「過去に行って見てこようか? 真実が知りたいんだろ?」
「この子は誰ですか?」
ジェスがクロノスに聞く。
「魔神マーリンだ」
驚いて、開いた口が塞がらないジェス。ジェスでさえ実物を見たのは初めてなくらい、マーリンは伝説的存在なのだ。
「〝魔王〟に驚かれたよ! あはは!」
「マーリン、過去へ行けるのか?」とクロノスが確かめる。
「当たり前! じゃあ行ってくる! 逆方向の時間移動も自由にやれるから、すぐに戻ってこれるしねぇ~!」
そう言うとマーリンは即座に消えてしまった。
成り行きを見守っていた竜人の大人組は、無言で目配せし合う。彼らは真実が何かとは別に、恐れていることがあった。
それは、自分達がルウズビュード王家の血を受け継いでいないかもしれない、ということ。マーリンが真相を持ち帰ってくれば、自ずとその答えも出るだろう。
だが一人、何も知らない王族ユリアは固まったままのジェスをツンツンして遊んでいた。
†
「たっだいま~!」
「「「「早っ!」」」」
マーリンが消えてからまだ一時間も経っていない。自由に時間を移動できるマーリンからすれば、現れる時間はいつでも良いのだが、時間移動の経験がない者達には、いまいちその理屈は伝わらない。
説明するのも面倒なのでそこには触れず、マーリンは早速皆を集めて、見てきた内容を話し始めた。
「結論から言うと、ルウズビュード国の血筋は守られているよ」
真相に先回りして、竜人達の知りたかったことを告げるマーリン。
それを聞けて、王族達は一気に肩の力が抜けた。
「ジェスだっけ? 君の周りの人物は物凄く強力な【魅了】の魔法にかかってたみたいだね」
「【魅了】? 今その問題で王家が動いているんだが……偶然か?」
オーウェンが疑問を口にする。
【魅了】とは禁忌の闇魔法の一つで、自分を異常なまでに魅力的に見せる効果がある。恋愛感情に限った魔法ではなく、【魅了】をかけられた人間は、誰であれ使用者の言いなりになってしまう。
ユリアやルイーザを敵視する人間の多くがこの魔法をかけられていたことが発覚し、オーウェン達は実行犯であるエズラという女性を取り調べるために、先程まで外出していたのである。
エズラが別の人物から【魅了】の使い方を教わったことまでは分かったが、その者の名を吐かせる前に、彼女は急死してしまった。
マーリンはオーウェンの問いかけに頷く。
「多分繋がっているね。過去の時代で物凄く強力な【魅了】を使った人物は、コーナス・ロンド公爵だ。俺も驚く程の魔法の使い手だったよ。それに、何故かジェスに対してかなりの憎悪を抱いていた」
「コーナス! やっぱりあいつか!」
ジェスがその名を聞いて憤る。
マーリンは自分が見てきた光景を淡々と話し出した。
ジェスがこの国を建国する時に苦楽を共にした右腕であり、親友だったコーナス。だがコーナスはというと、何でもそつなくこなし、生まれながらに最強の力を持つジェスに対して酷い劣等感を持っていたらしい。
努力をせずとも人に恵まれて、竜王とも友好に交流するジェスは、皆に〝変人王〟と呼ばれながらもその人気は絶大だった。加えて、彼の家族である妹のキリヤや弟のジェードも優秀で、コーナスは自分がもうこの国にとって必要ないのではと思うようになっていった。
劣等感から始まった嫉妬と憎悪がどんどんと渦巻いていったコーナスは、次第に精神を病んでいき被害妄想も酷くなっていった。
そして最終的にはルウズビュード国を恐れる人族の者達を利用して、ジェスを封印することに成功した。本来だったら自らの手で殺したかったが、コーナスの力ではジェスには到底及ばない。それ故に卑怯で残酷な方法をとったのだ。
「酷いわね……ただの嫉妬でそこまでするなんて!」
聞いていたアネモネが憤る。
「【魅了】を使ったのはその後のことかしら?」
フローリアの質問に、マーリンは続きを話し始めた。
コーナスは手始めに、ジェスの妹のキリヤに【魅了】をかけた。
突然姿を消した兄を必死で探していた彼女は、次第に人格が変わっていき、何故かジェスは国を捨てて消えた裏切り者だと罵り始めたのだ。
そして急遽、王として跡を継いだ、ジェスの弟であるジェードは、姉の突然の変わりように困惑し、いつも自分達の近くにいたコーナスを疑うようになった。消えた親友を探そうともせずに、むしろ醜聞を広める方に加担していたからだ。
やがて国中に、ジェスは人族の娘に心酔して国を捨てた愚かな王だ、という認識が定着していった。同時期に、キリヤだけでなく側近達も【魅了】の餌食となり、ジェスを罵るようになる。
「ジェードはそんな四面楚歌の中、一人で戦ったけど、次第に彼もコーナスの毒牙に抗えずに堕ちていったんだよ」
「痛ましいわね……」
それ以上言葉が出ないフローリア。
「あいつ……‼ 大事な妹と弟まで‼」
マーリンの話を聞いて怒りが込み上げるジェス。
「皆、コーナスの【魅了】にやられてたんだ。あいつの魔力は並外れているよ」
そう言い不敵に笑うマーリンは、更に見てきた事実を話し始めた。
懸命に【魅了】と戦ったジェードだが、次第に精神を病んでいった。皆が兄と自分を比べているのではないかと思い込んで、ジェスの名を出す者を誰彼構わず粛清し始めたのである。
そしてそれからすぐに事件が起こった。ジェードに待望の王女が生まれた日に、姉であるキリヤが突然姿を消したのだ。そこへ悪意を持ったコーナスがやって来て、精神的に限界がきているジェードの耳元で囁いた。〝王女は呪われている。この子はこの国に災いをもたらす〟と。
「本来だったら、ジェードもそんな馬鹿げた言葉を聞くはずもない。だけど、追い詰められていた彼は、あんなに怪しんでいたコーナスの意見にもかかわらず、躊躇なく我が子である王女を殺めてしまったんだ」
「酷いわ……酷すぎる」とフローリアはルイーザを抱きしめながら涙を流す。
「コーナス、あいつは異常だよ」
マーリンは忌々しそうに言う。
王女が殺された直後、コーナスはジェードにかけていた【魅了】を解いた。正気に戻った彼は目の前にある王女の亡骸を見て、自身の行為に耐えかねてその場で自ら命を絶った。
その後もジェードの息子達がコーナスに操られていたが、ジェスを封印している箱がいきなり消えて、焦ったコーナスは禁忌の魔法を使い、この時代にやって来たのだという。
「コーナス‼」
ジェスは目を血走らせていた。大事な妹の安否も心配だが、弟がされた仕打ちに対して震える程の怒りに満ちていた。
「本当に人間は愚かだ」
シロが吐き捨てるように言うと、聞いていた魔物達も同意するように頷く。
黙ってマーリンの話を聞いていたオルトスだが、確認せずにはいられないことがあった。
「コーナスが今、この時代にいるんですか⁉」
「うん。禁忌の闇魔法を使ってやって来たみたいだよ。来た時期はユリアがこの国に戻った少し後かな。君達が困らされていた【魅了】を……エズラだっけ? その子に教えたのがコーナス」
オルトス達は予想外の真実に戸惑っていたが、現在起こっている事件の黒幕が分かった瞬間でもあった。
「未来への移動でかなり命と魔力を削っているから、もう長くは生きられないね。コーナスは僕と違って、過去への移動はできない。元の時代に戻れないことを承知の上で、彼は箱の行方を追いかけた。それ程までに君に執着しているなんて、あいつは常軌を逸しているよ」
マーリンはジェスに視線を向け、ずっと見てきたコーナスの所業を思い出して顔を歪める。
「コーナスはジェードの子供達を使って、ルウズビュード国を崩壊に導き、最後の仕上げに自身でジェスの箱の封印を解いて殺そうとしていたんだ。だから肌身離さず箱を持っていたんだけど、急に消えちゃったから焦っていたよ」
「コーナスの近くから消えたのも幸運だったが、ユリアに開けてもらえたのは奇跡だな。ユリア以外が開いていたら俺は確実に死んでた」
ジェスが言うと、皆も頷く。
「面白いことに、箱は本当に急に消えたんだよ! ユリアがこの時代に導いたのかな~?」と言い、笑うマーリン。
「よんだ~?」
ユリアは自分が呼ばれたと思い、よちよちと歩いてくる。ジェスはそんなユリアを抱っこすると笑顔でお礼を言う。
「ユリア、ありがとうな。お前のお陰でまたこうして生きていられる。……ありがとう!」
「じぇちゅはいきてまちゅよ? これからもいっちょ~! いっちょにあしょぼーね!」
「プッ……あぁ、遊ぼうな!」
そう言うとユリアを抱きしめるジェス。
ピーピーピー!
突然鳴り響く笛の音。それを吹いたのはオーランドで、黙ってユリアをジェスから奪い返す。
「初代国王陛下……ユリアと会話する時は、半径五メートルは離れてください」
「遠いな!」と呆れるジェス。
ユリアはただ首を傾げていた。
閑話 チェスターとユリアと婚約破棄
ジェスから事情を聞いたオーウェン達は、コーナスを探し出すために、まずは子孫と思われるガイナス・ロンド公爵を呼び出すことにした。
マーリンはコーナスの居場所については口にしなかった。これ以上の介入は、神としてはやりすぎになるらしい。
元々、友人であるユリアのために手を貸しているだけであって、竜人族に無条件で協力しているわけではない。オーウェン達もそれに不満はなかった。
†
ところで、王族達が飛び回っている裏で、ユリアの母方の祖父・チェスターは軍部の業務に勤しんでいた。ジェスが現れるという非常事態が起こっても、日常業務が減るわけではない。
とはいえ、サボり魔のチェスターが張り切っているはずもなく、彼は今、自分の執務室で嫌々仕事をしていた。
周りの部下は、機嫌の悪いチェスターが恐ろしくて、離れて様子を見ている。そんなピリついた空気で静まり返る部屋に、あのお馴染みの足音が聞こえてくる。
ピープーピープーピープーピープー。
子供用の、歩くと音が鳴る靴である。
「コンコン! コンコン!」
今度は扉の向こうから、口でノック音を再現する声が聞こえた。
するとチェスターは舌打ちをするが、何故か嬉しそうだ。
「誰だー? 名を名乗れ!」
ピープーピープー。
「ユリアでしゅよー! あけてくだしゃい!」
チェスターは溜め息を吐くと、徐に立ち上がり、面倒臭そうにドアを開けに行く。だがその目は優しく、部下達は我が目を疑う。
ドアを開けるが、チェスターの視線の先には誰もいない。
「おい、おちび!」
「ここでしゅよ! もう!」
チェスターが視線を下ろすと、ピョンピョン跳ねて存在をアピールするユリアがいた。笑いを堪えながらしゃがみ込むチェスター。
「おー! わりぃ! 見えなかった!」
「しちゅれいなあにちでしゅね!」
ユリアはぷんすか怒り、攻撃力ゼロのパンチを食らわせている。ちなみに、チェスターは老人扱いされるのが嫌で、ユリアに自分のことを「兄貴」と呼ばせていた。
「お前、一人で来たのか?」
「シロにつれてきてもらったにょ! すこしちたらむかえにくる!」
ポカポカと叩き叩かれながら会話する、似た者同士の祖父と孫娘。チェスターの孫バカぶりは一部では周知の事実だが、今日の部下は皆知らず、初めて見る光景に戸惑っていた。
唖然としている部下達に気付いたユリアが、部屋の中に入っていく。
「いちゅもあにちがおせわになってまちゅ!」
ペコリと頭を下げるユリアに、感心すると同時にその可愛さにやられる一同。
チェスターはそんなユリアを自分の机の脇に座らせて、自分の仕事に専念し始めた。その理由は、少しでも仕事ができるところを見せつけたいという子供じみたものだった。
「ふんふんふ~ん……ふふふ~ん」
微妙に音程の外れた鼻歌を歌うユリアに、肩を震わす部下達。チェスターはユリアの口に飴玉を入れて黙らせる。
ユリアは飴玉を嬉しそうに舐めていたが、口の中が空っぽになるとチェスターをじっと見る。
「飴玉はもうないぞ」
「ユリア、なにもいってないもん」
途端に静まり返る部屋。チェスターがどんなスマートな対応を見せるのか、部下達は息を潜めて見守っている。
「ほかにおかちがありゅなら、もらいましゅよ?」
「何もない、残念だったな!」
「ブーー!」とブーイングするユリア。
「「「「ブーー!」」」」とブーイングする部下達。
「お前ら!」
チェスターが目を離した隙に、ユリアは書きかけの書類に落書きをしてしまう。朱肉に手の平をつけてベタベタ手形をつけていく。
「ユリア!……ブハッ!」
ユリアの顔にも手形が付いていて、見るも無惨な顔になっている。すると何かを思い付いたチェスターが筆を持ち、ユリアの顔に何やら書き始めた。書き終わると同時にドアが開く。
そこにはシロと一緒にアネモネもいた。そしてユリアが嬉しそうに駆け寄ると、二人は声を失う。
眉毛は極太にされて、鼻の下と顎に髭を書かれて何故か顔の所々が赤いユリア。それを見てアネモネは怒りで肩を震わす。そしてチェスターを睨み付けると、その襟首を掴んで何処かに引き摺っていった。
「ユリア……お顔洗おうな」
「はーーい!」
残されたユリアは、シロに抱っこされて戻っていった。
こうしてユリアの手形付き書類は書き直しになったが、オーランドはそれを大事そうにしまったとさ。
†
「おくちゅはきたいー」
チェスターの部屋を出てから数時間後、ユリアは不貞腐れていた。
あの音の鳴る靴を履く許可が下りず、カイルやルウと一緒にガッカリしている。
今日は皆忙しく、シロとアネモネの他は、フローリアとルイーザだけだ。全員いつもの中庭に集まっている。
ユリアがブーイングしていると、子犬にしか見えないフェンと妖精コウもやって来た。
「ユリア……あのおくちゅはけないにょ?」とルウは悲しそうだ。
「きびちいよのにゃかでしゅね……」とルウに言うカイル。
「おだんごちゅくりましゅよ!」と、鼻息荒く宣言するユリア。
おだんごというのは泥団子のこと。
そう、ユリア達は中庭に作った砂場を使って、泥遊びをしようとしていたのだ。ユリアは一度音の鳴る靴を履くとなかなか脱がない。泥だらけのその靴で王宮を歩き回られては困るため、アネモネは許可を出さなかったのである。
気持ちの切り替えが早いユリアはケロッとした様子で、カイル達と早速砂場に行く。
そして今回は、三人に交ざって嬉しそうにルイーザも参加している。自分も参加したくて泣き出したルイーザの、うるうるした上目遣いに、フローリアが落ちたのだ。
「りゅいーじゃちゃん! おだんごちゅくろうねぇ!」
「あい~! キャッキャ!」と嬉しそうに手を上げるルイーザ。
近くではシロとアネモネ、それにフローリアが見守っていて、フェンはシロの足下で眠っている。コウは泥団子作りに嬉々として参加している。
「にぎにぎ~にぎにぎ~キャハハ!」
嬉しそうに泥団子を握っている泥まみれのユリア達。ルイーザも楽しそうに小さな手で泥団子を作っている。それを微笑ましく見ている大人達だが、事件は突然起こった。
ユリアの握っていた泥団子が、まるで自分の意思があるかのようにコロコロ転がっていってしまう。
「あーー! まてーー!」
ユリアは泥団子を追うが、よちよち歩きなので遅い。泥団子はピタリと止まり、ユリアが近付いてくると動き出す。そして辿り着いた先では修羅場が繰り広げられていた。
「お前との婚約は破棄する! ルルカを陰で苛めていたそうだな……覚悟しておけよ!」
一人の身分の高そうな男性が、高貴そうな女性に向かいそう宣言している。そして男性の脇には、彼を大事そうに支える可憐な女性がいた。しかし、高貴そうな女性の視線は男性を通り過ぎ、その後ろに釘付けになっていた。
男性がその視線を辿って後ろを振り返ると、小さな小さな泥だらけの女の子――ユリアが指を咥えて、じっと彼らを見ている。そして、眉を怒ったようにキッと立てた。
「何だ、この小汚い子供は! どうやって王宮に入ったんだ!」
「やだ~、泥だらけ……」
可憐な女性は顔をしかめた。
ユリアはそれに構わず、男性の近くに転がっている泥団子をよちよち歩きで掴むと、自分を睨み付ける男性に投げる。
泥は変化球のように軌道を曲げて男性の顔面に当たった。
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☆ ☆ ☆
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※9/28 誤字修正
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