転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi

文字の大きさ
167 / 171
11章 アレクシアと波乱のお披露目会

お披露目会が始まりました!④

側近達に引き摺られるように席に座らされた独裁国家アレルゴンの女帝“鮮血のリリア”は、酷く不機嫌だがそれ以上は騒ぐ事はなく、ずっと様子を窺っていたロインは安堵すると次の国賓を迎える為に準備をする。

「凄いちとでしゅね~?」

「ああ、昔から俺に食ってかかるんだ」

「⋯⋯。父上の周りの女のちとはクセ強が多いでしゅね?」

「⋯⋯」

ルシアードは本当の事なので何も言えないまま、次の国賓を迎える事になった。

「シェルトン王国からはテラッソ・シェルトン国王陛下、そしてメリーナ王妃並びにエルゾン王太子、ナイラ第二王子のご入場でございます」

また重厚なドアが開き、現れたのはアウラード大帝国の次に大国であるシェルトン王国の王族達だった。自国の護衛兵士を引き連れて堂々と入場してきた。国王のテラッソは吊り目が印象的な四十代くらいの細身で、金髪に少し白髪が混じった深緑の瞳の狡猾そうな男だ。王妃は金髪碧眼の三十代後半くらいの美しく穏やかそうな女性だった。

そして王子達はというと、エルゾン王太子の方はシェインと同じくらいだろう。金髪に深緑の瞳の美少年だが、どこか傲慢さが滲み出ていた。歩きながらアレクシアやジェニファーを値踏みするようにじっと見ていたのをルシアードや四騎士、魔国組、そしてアレクシアの護衛であるエン爺や蒼天は見逃さない。

アウラード大帝国皇帝であるルシアードの前にやってきたテラッソ国王と王妃、王子達は深く一礼した。

「ルシアード皇帝陛下、お久しぶりですな」

「テラッソ国王もお元気そうでなによりです」

どちらも視線を外さず、穏やかそうな挨拶ながらもどこかピリついた雰囲気なので、周りの貴族も固唾を飲んで見守っていた。

「はは、こちらの可愛らしいお嬢さんが噂のアレクシア皇女かな?」

ふとテラッソの視線がルシアードからアレクシアに移り、意地悪そうな笑みをアレクシアへ向けてきた。

「テラッソ国王陛下、メリーナ王妃、そしてクソ⋯エルゾン王太子、ナイラ第二王子、私はアウラード大帝国第四皇女アレクシア・フォン・アウラードでしゅ」

「おい!今クソって言っただろう!!」

綺麗な仕草で一礼したアレクシアだが、そんなアレクシアにエルゾン王太子が食ってかかる。四騎士や皇族側、そして魔国組は肩を震わせ、笑いを堪えるのに必死だった。ロインですら笑いを堪えるのに咳払いをしていた。

「む。エルゾン王太子、不敬だぞ?」

ルシアードは再びアレクシアを抱っこしながら、大声で叫ぶエルゾン王太子に怒りの視線を向けた。

「エルゾン!やめんか!!」

父親であるテラッソ国王の怒りの一声で、エルゾン王太子は悔しそうにしながらも黙った。その間、王妃のメリーナと第二王子のナイラは暗い顔で下を向いたままだった。ナイラ第二王子は、五歳くらいで母親に似て金髪碧眼の可愛らしい子だった。

「ハハ、愚息が申し訳ない。アレクシア皇女、大変失礼した。だが、こんなにも幼い我が子を未知の国に嫁がせるとはいかがなものですかな?」

「む。それはシェルトン王国には関係がないであろう」

「まあそうですが、アウラード大帝国の貴族の中にもこの件を不満に思う者達がいると聞きましたぞ?できれば人族は人族同士で縁組みをした方が良いではありませんか?そう、このエルゾンなんかいかがですか?」

シェルトン王国のテラッソ国王の無礼な発言を聞いていた四騎士や貴族、皇族の視線が自然と魔国組の方へ向けられた。だが、そこにいる初代魔国国王陛下デイルズと魔国の偉大なる大賢者ポーポトスは不気味なくらい静かであった。

「クソ⋯エルゾン王太子か?」

「「なっ!?」」

皇帝であるルシアードの失礼な発言に、エルゾン王太子だけでなく、テラッソ国王もさすがに怒りの表情を浮かべた。

「ケッ!何なんでしゅか!?シアが誰と結婚ちようとあんた達には全く関係ないでしゅよ!」

遂に本性(?)を露わにしたアレクシアの発言に、貴族達も騒ぎだして、教育係のローデン侯爵夫人も頭を抱えてはいるが、何故かニヤリと親指を立てて笑ったのだった。

「何て失礼な!!」

「あんた達こそ失礼でしゅよ!この国の問題なのに何で首を突っ込んむんでしゅか!?ほっといて下しゃいよ!早く席に着いて!シッ!」

アレクシアの信じられない対応に、顔を真っ赤にして激昂するテラッソ国王とエルゾン王太子。そんなテラッソ国王を見て、指差して爆笑するのが鮮血のリリアだ。

「アハハハ!言われたわねぇ?あんたの狡猾さはこの子には通用しないって事よ!」

「黙れ!呪われた魔女が!!」

酷い暴言を吐くテラッソ国王だが、リリアは全くもって気にしていない。

「シアに失礼って言いまちたが、あんたも他国の王に失礼な事を言いましゅね!」

「普通の子供じゃないとは思っていたが、三歳とはとても信じられない発言や態度ですな!?」

いつの間にか、悪童アレクシアvs狡猾テラッソ国王の睨み合いになっていた。そんな幼いアレクシアへ尊敬の眼差しを向けるのはナイラ第二王子であった。

(僕より小さいのに“あの悪魔”に立ち向かうなんて!)

ルシアードは愛娘であるアレクシアの勇姿を嬉しそうに見守っていた。護衛であるエン爺や蒼天も何かあったらテラッソ国王を消そうと準備は万端だ。四騎士ももしこの件でシェルトン王国と険悪になった時の対処を考え始めた。

「父上!私はこんな生意気なガキと結婚なんて嫌です!!」

「何でしゅと!?シアもあんたみたいなしゅっとこどっこい野郎なんてごめんでしゅ!この馬鹿ちん王子!!」

ガルル~と威嚇しながらエルゾン王太子に飛びかかろうとしたアレクシアの襟首を掴んで止めたのは、師匠であるポーポトスであった。

「一国の皇女が威嚇をするんじゃない。大人しく座ってろ」

「⋯⋯。ポポ爺、何で爺さん言葉じゃないんでしゅか?お前は何者でしゅか!?偽ポポ爺退散ーー!!」

見た目相応の話し方になってしまったポーポトスに違和感しかないアレクシア。

「⋯⋯。私の弟子が失礼しました。私はこの子に魔法を教えているポーポトスと申します」

アレクシアを小脇に挟んだまま、シェルトン国の王族へ華麗に挨拶する絶世の美貌のポーポトス。

「⋯⋯。貴方は魔国の⋯?」

普通にしているポーポトスだが、シェルトン王国をはじめ、独裁国家アレルゴン、そしてアウラード大帝国の貴族は凄まじい緊張感に包まれていた。穏やかそうな美青年ながらも背筋が凍るほどの威圧感があり、謁見の間が静まり返ってしまう。

「ええ、私は魔国の者です」

「⋯⋯」

魔国が想像していた以上に恐ろしい存在だと今更ながらに気付いたテラッソ国王だが、空気が読めないエルゾン王太子がまた騒ぎ始めた。

「魔国だと!?本当に魔国の者だという証拠があるのか!?アウラード大帝国が用意した偽物だろう!?」

「馬鹿ちん王子!シアがボコボコにしてやりまちゅ!!」

ルシアードに抱っこされていたアレクシアだが、袖口を捲し上げてエルゾン王太子へ向かって行こうとする。もうこの時点で大騒ぎの謁見の間だが、そこで今まで黙って見ていたデイルズがスッと立ち上がった。

「わしの孫嫁になるアレクシア皇女への暴言の数々、許せませんな」

ポーポトスの放つ迫力以上の迫力でテラッソ国王の前へやって来たデイルズは、シェルトン王族達を睨みつけている。シェルトン王国の精鋭部隊である近衛騎士達もデイルズの圧力に恐怖して動けない。

「なっ⋯!あの皇女の方が暴言吐いてるだろ!!」

エルゾン王太子が震えながらも、デイルズに言い返していた時だった。

「おやおや、やはり人族は愚かな連中ですね」

「そうですね」

重厚なドアがギギギッと開き、堂々と入って来た者達を見てロインは頭を抱えたのだった。











感想 1,406

あなたにおすすめの小説

結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です

柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。 そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。 真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。 けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。 「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」 彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。 アンリは実は、亡き国王の婚外子。 皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。

空港清掃員58歳、転生先の王宮でも床を磨いたら双子に懐かれ、国王に溺愛される

木風
恋愛
羽田空港で十五年、黙々と床を磨いてきた清掃員・田中幸子(58)は事故死し、没落寸前の子爵令嬢エルシアとして転生する。 婚約破棄の末に家を追われた彼女が選んだのは、王宮の清掃員――前世の技で空気まで変わるほど磨き上げていく仕事だった。 やがて母を亡くした双子王子王女に懐かれ、荒れた執務室の主である喪中の国王とも距離が縮まり……。 「泣くなら俺の胸で」――床も心も磨き直す、清掃令嬢の溺愛成り上がり。

世継ぎは他の妃が産めばいい——子を産めない私ですが、帝の寵愛を独占して皇后になりました

由香
恋愛
後宮に入る女の価値は、ただ一つ。 ——皇子を産めるかどうか。 けれど私は、産めない。 ならば—— 「世継ぎは他の妃に任せます。私は、陛下に愛される女になります」 そう言い放ったその日から、すべてが狂い始めた。 毒を盛られても、捨てられず。 皇子が生まれても、選ばれたのは私だった。 「お前は、ここにいろ」 これは、子を産めない女が ただ一つの武器“寵愛”だけで頂点に立つ物語。 そして—— その寵愛は、やがて狂気に変わる。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

拾ってないのに、最上位が毎日“帰る”んですがーー飼い主じゃありません!ただの受付係です!

星乃和花
恋愛
王都ギルド受付係リナは、今日も平和に働く予定だった。 ……のに。 「お腹すいた」 そう言って現れたのは、最上位の英雄レオン。 強いのに生活力ゼロ、距離感ゼロ、甘え方だけは一流。 手当てすれば「危ない」と囲い込み、 看病すれば抱きしめて離さず、 ついには―― 「君が、俺の帰る場所」 拾ってない。飼ってない。 ただ世話を焼いただけなのに、英雄が毎日“帰ってくる”ようになりました。 無自覚世話焼き受付嬢 × 甘えた天然英雄の 距離感バグ甘々ラブコメ、開幕! ⭐︎火木土21:20更新ー本編8話+後日談9話⭐︎

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」