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11章 アレクシアと波乱のお披露目会
お披露目会が始まりました!④
側近達に引き摺られるように席に座らされた独裁国家アレルゴンの女帝“鮮血のリリア”は、酷く不機嫌だがそれ以上は騒ぐ事はなく、ずっと様子を窺っていたロインは安堵すると次の国賓を迎える為に準備をする。
「凄いちとでしゅね~?」
「ああ、昔から俺に食ってかかるんだ」
「⋯⋯。父上の周りの女のちとはクセ強が多いでしゅね?」
「⋯⋯」
ルシアードは本当の事なので何も言えないまま、次の国賓を迎える事になった。
「シェルトン王国からはテラッソ・シェルトン国王陛下、そしてメリーナ王妃並びにエルゾン王太子、ナイラ第二王子のご入場でございます」
また重厚なドアが開き、現れたのはアウラード大帝国の次に大国であるシェルトン王国の王族達だった。自国の護衛兵士を引き連れて堂々と入場してきた。国王のテラッソは吊り目が印象的な四十代くらいの細身で、金髪に少し白髪が混じった深緑の瞳の狡猾そうな男だ。王妃は金髪碧眼の三十代後半くらいの美しく穏やかそうな女性だった。
そして王子達はというと、エルゾン王太子の方はシェインと同じくらいだろう。金髪に深緑の瞳の美少年だが、どこか傲慢さが滲み出ていた。歩きながらアレクシアやジェニファーを値踏みするようにじっと見ていたのをルシアードや四騎士、魔国組、そしてアレクシアの護衛であるエン爺や蒼天は見逃さない。
アウラード大帝国皇帝であるルシアードの前にやってきたテラッソ国王と王妃、王子達は深く一礼した。
「ルシアード皇帝陛下、お久しぶりですな」
「テラッソ国王もお元気そうでなによりです」
どちらも視線を外さず、穏やかそうな挨拶ながらもどこかピリついた雰囲気なので、周りの貴族も固唾を飲んで見守っていた。
「はは、こちらの可愛らしいお嬢さんが噂のアレクシア皇女かな?」
ふとテラッソの視線がルシアードからアレクシアに移り、意地悪そうな笑みをアレクシアへ向けてきた。
「テラッソ国王陛下、メリーナ王妃、そしてクソ⋯エルゾン王太子、ナイラ第二王子、私はアウラード大帝国第四皇女アレクシア・フォン・アウラードでしゅ」
「おい!今クソって言っただろう!!」
綺麗な仕草で一礼したアレクシアだが、そんなアレクシアにエルゾン王太子が食ってかかる。四騎士や皇族側、そして魔国組は肩を震わせ、笑いを堪えるのに必死だった。ロインですら笑いを堪えるのに咳払いをしていた。
「む。エルゾン王太子、不敬だぞ?」
ルシアードは再びアレクシアを抱っこしながら、大声で叫ぶエルゾン王太子に怒りの視線を向けた。
「エルゾン!やめんか!!」
父親であるテラッソ国王の怒りの一声で、エルゾン王太子は悔しそうにしながらも黙った。その間、王妃のメリーナと第二王子のナイラは暗い顔で下を向いたままだった。ナイラ第二王子は、五歳くらいで母親に似て金髪碧眼の可愛らしい子だった。
「ハハ、愚息が申し訳ない。アレクシア皇女、大変失礼した。だが、こんなにも幼い我が子を未知の国に嫁がせるとはいかがなものですかな?」
「む。それはシェルトン王国には関係がないであろう」
「まあそうですが、アウラード大帝国の貴族の中にもこの件を不満に思う者達がいると聞きましたぞ?できれば人族は人族同士で縁組みをした方が良いではありませんか?そう、このエルゾンなんかいかがですか?」
シェルトン王国のテラッソ国王の無礼な発言を聞いていた四騎士や貴族、皇族の視線が自然と魔国組の方へ向けられた。だが、そこにいる初代魔国国王陛下デイルズと魔国の偉大なる大賢者ポーポトスは不気味なくらい静かであった。
「クソ⋯エルゾン王太子か?」
「「なっ!?」」
皇帝であるルシアードの失礼な発言に、エルゾン王太子だけでなく、テラッソ国王もさすがに怒りの表情を浮かべた。
「ケッ!何なんでしゅか!?シアが誰と結婚ちようとあんた達には全く関係ないでしゅよ!」
遂に本性(?)を露わにしたアレクシアの発言に、貴族達も騒ぎだして、教育係のローデン侯爵夫人も頭を抱えてはいるが、何故かニヤリと親指を立てて笑ったのだった。
「何て失礼な!!」
「あんた達こそ失礼でしゅよ!この国の問題なのに何で首を突っ込んむんでしゅか!?ほっといて下しゃいよ!早く席に着いて!シッ!」
アレクシアの信じられない対応に、顔を真っ赤にして激昂するテラッソ国王とエルゾン王太子。そんなテラッソ国王を見て、指差して爆笑するのが鮮血のリリアだ。
「アハハハ!言われたわねぇ?あんたの狡猾さはこの子には通用しないって事よ!」
「黙れ!呪われた魔女が!!」
酷い暴言を吐くテラッソ国王だが、リリアは全くもって気にしていない。
「シアに失礼って言いまちたが、あんたも他国の王に失礼な事を言いましゅね!」
「普通の子供じゃないとは思っていたが、三歳とはとても信じられない発言や態度ですな!?」
いつの間にか、悪童アレクシアvs狡猾テラッソ国王の睨み合いになっていた。そんな幼いアレクシアへ尊敬の眼差しを向けるのはナイラ第二王子であった。
(僕より小さいのに“あの悪魔”に立ち向かうなんて!)
ルシアードは愛娘であるアレクシアの勇姿を嬉しそうに見守っていた。護衛であるエン爺や蒼天も何かあったらテラッソ国王を消そうと準備は万端だ。四騎士ももしこの件でシェルトン王国と険悪になった時の対処を考え始めた。
「父上!私はこんな生意気なガキと結婚なんて嫌です!!」
「何でしゅと!?シアもあんたみたいなしゅっとこどっこい野郎なんてごめんでしゅ!この馬鹿ちん王子!!」
ガルル~と威嚇しながらエルゾン王太子に飛びかかろうとしたアレクシアの襟首を掴んで止めたのは、師匠であるポーポトスであった。
「一国の皇女が威嚇をするんじゃない。大人しく座ってろ」
「⋯⋯。ポポ爺、何で爺さん言葉じゃないんでしゅか?お前は何者でしゅか!?偽ポポ爺退散ーー!!」
見た目相応の話し方になってしまったポーポトスに違和感しかないアレクシア。
「⋯⋯。私の弟子が失礼しました。私はこの子に魔法を教えているポーポトスと申します」
アレクシアを小脇に挟んだまま、シェルトン国の王族へ華麗に挨拶する絶世の美貌のポーポトス。
「⋯⋯。貴方は魔国の⋯?」
普通にしているポーポトスだが、シェルトン王国をはじめ、独裁国家アレルゴン、そしてアウラード大帝国の貴族は凄まじい緊張感に包まれていた。穏やかそうな美青年ながらも背筋が凍るほどの威圧感があり、謁見の間が静まり返ってしまう。
「ええ、私は魔国の者です」
「⋯⋯」
魔国が想像していた以上に恐ろしい存在だと今更ながらに気付いたテラッソ国王だが、空気が読めないエルゾン王太子がまた騒ぎ始めた。
「魔国だと!?本当に魔国の者だという証拠があるのか!?アウラード大帝国が用意した偽物だろう!?」
「馬鹿ちん王子!シアがボコボコにしてやりまちゅ!!」
ルシアードに抱っこされていたアレクシアだが、袖口を捲し上げてエルゾン王太子へ向かって行こうとする。もうこの時点で大騒ぎの謁見の間だが、そこで今まで黙って見ていたデイルズがスッと立ち上がった。
「わしの孫嫁になるアレクシア皇女への暴言の数々、許せませんな」
ポーポトスの放つ迫力以上の迫力でテラッソ国王の前へやって来たデイルズは、シェルトン王族達を睨みつけている。シェルトン王国の精鋭部隊である近衛騎士達もデイルズの圧力に恐怖して動けない。
「なっ⋯!あの皇女の方が暴言吐いてるだろ!!」
エルゾン王太子が震えながらも、デイルズに言い返していた時だった。
「おやおや、やはり人族は愚かな連中ですね」
「そうですね」
重厚なドアがギギギッと開き、堂々と入って来た者達を見てロインは頭を抱えたのだった。
「凄いちとでしゅね~?」
「ああ、昔から俺に食ってかかるんだ」
「⋯⋯。父上の周りの女のちとはクセ強が多いでしゅね?」
「⋯⋯」
ルシアードは本当の事なので何も言えないまま、次の国賓を迎える事になった。
「シェルトン王国からはテラッソ・シェルトン国王陛下、そしてメリーナ王妃並びにエルゾン王太子、ナイラ第二王子のご入場でございます」
また重厚なドアが開き、現れたのはアウラード大帝国の次に大国であるシェルトン王国の王族達だった。自国の護衛兵士を引き連れて堂々と入場してきた。国王のテラッソは吊り目が印象的な四十代くらいの細身で、金髪に少し白髪が混じった深緑の瞳の狡猾そうな男だ。王妃は金髪碧眼の三十代後半くらいの美しく穏やかそうな女性だった。
そして王子達はというと、エルゾン王太子の方はシェインと同じくらいだろう。金髪に深緑の瞳の美少年だが、どこか傲慢さが滲み出ていた。歩きながらアレクシアやジェニファーを値踏みするようにじっと見ていたのをルシアードや四騎士、魔国組、そしてアレクシアの護衛であるエン爺や蒼天は見逃さない。
アウラード大帝国皇帝であるルシアードの前にやってきたテラッソ国王と王妃、王子達は深く一礼した。
「ルシアード皇帝陛下、お久しぶりですな」
「テラッソ国王もお元気そうでなによりです」
どちらも視線を外さず、穏やかそうな挨拶ながらもどこかピリついた雰囲気なので、周りの貴族も固唾を飲んで見守っていた。
「はは、こちらの可愛らしいお嬢さんが噂のアレクシア皇女かな?」
ふとテラッソの視線がルシアードからアレクシアに移り、意地悪そうな笑みをアレクシアへ向けてきた。
「テラッソ国王陛下、メリーナ王妃、そしてクソ⋯エルゾン王太子、ナイラ第二王子、私はアウラード大帝国第四皇女アレクシア・フォン・アウラードでしゅ」
「おい!今クソって言っただろう!!」
綺麗な仕草で一礼したアレクシアだが、そんなアレクシアにエルゾン王太子が食ってかかる。四騎士や皇族側、そして魔国組は肩を震わせ、笑いを堪えるのに必死だった。ロインですら笑いを堪えるのに咳払いをしていた。
「む。エルゾン王太子、不敬だぞ?」
ルシアードは再びアレクシアを抱っこしながら、大声で叫ぶエルゾン王太子に怒りの視線を向けた。
「エルゾン!やめんか!!」
父親であるテラッソ国王の怒りの一声で、エルゾン王太子は悔しそうにしながらも黙った。その間、王妃のメリーナと第二王子のナイラは暗い顔で下を向いたままだった。ナイラ第二王子は、五歳くらいで母親に似て金髪碧眼の可愛らしい子だった。
「ハハ、愚息が申し訳ない。アレクシア皇女、大変失礼した。だが、こんなにも幼い我が子を未知の国に嫁がせるとはいかがなものですかな?」
「む。それはシェルトン王国には関係がないであろう」
「まあそうですが、アウラード大帝国の貴族の中にもこの件を不満に思う者達がいると聞きましたぞ?できれば人族は人族同士で縁組みをした方が良いではありませんか?そう、このエルゾンなんかいかがですか?」
シェルトン王国のテラッソ国王の無礼な発言を聞いていた四騎士や貴族、皇族の視線が自然と魔国組の方へ向けられた。だが、そこにいる初代魔国国王陛下デイルズと魔国の偉大なる大賢者ポーポトスは不気味なくらい静かであった。
「クソ⋯エルゾン王太子か?」
「「なっ!?」」
皇帝であるルシアードの失礼な発言に、エルゾン王太子だけでなく、テラッソ国王もさすがに怒りの表情を浮かべた。
「ケッ!何なんでしゅか!?シアが誰と結婚ちようとあんた達には全く関係ないでしゅよ!」
遂に本性(?)を露わにしたアレクシアの発言に、貴族達も騒ぎだして、教育係のローデン侯爵夫人も頭を抱えてはいるが、何故かニヤリと親指を立てて笑ったのだった。
「何て失礼な!!」
「あんた達こそ失礼でしゅよ!この国の問題なのに何で首を突っ込んむんでしゅか!?ほっといて下しゃいよ!早く席に着いて!シッ!」
アレクシアの信じられない対応に、顔を真っ赤にして激昂するテラッソ国王とエルゾン王太子。そんなテラッソ国王を見て、指差して爆笑するのが鮮血のリリアだ。
「アハハハ!言われたわねぇ?あんたの狡猾さはこの子には通用しないって事よ!」
「黙れ!呪われた魔女が!!」
酷い暴言を吐くテラッソ国王だが、リリアは全くもって気にしていない。
「シアに失礼って言いまちたが、あんたも他国の王に失礼な事を言いましゅね!」
「普通の子供じゃないとは思っていたが、三歳とはとても信じられない発言や態度ですな!?」
いつの間にか、悪童アレクシアvs狡猾テラッソ国王の睨み合いになっていた。そんな幼いアレクシアへ尊敬の眼差しを向けるのはナイラ第二王子であった。
(僕より小さいのに“あの悪魔”に立ち向かうなんて!)
ルシアードは愛娘であるアレクシアの勇姿を嬉しそうに見守っていた。護衛であるエン爺や蒼天も何かあったらテラッソ国王を消そうと準備は万端だ。四騎士ももしこの件でシェルトン王国と険悪になった時の対処を考え始めた。
「父上!私はこんな生意気なガキと結婚なんて嫌です!!」
「何でしゅと!?シアもあんたみたいなしゅっとこどっこい野郎なんてごめんでしゅ!この馬鹿ちん王子!!」
ガルル~と威嚇しながらエルゾン王太子に飛びかかろうとしたアレクシアの襟首を掴んで止めたのは、師匠であるポーポトスであった。
「一国の皇女が威嚇をするんじゃない。大人しく座ってろ」
「⋯⋯。ポポ爺、何で爺さん言葉じゃないんでしゅか?お前は何者でしゅか!?偽ポポ爺退散ーー!!」
見た目相応の話し方になってしまったポーポトスに違和感しかないアレクシア。
「⋯⋯。私の弟子が失礼しました。私はこの子に魔法を教えているポーポトスと申します」
アレクシアを小脇に挟んだまま、シェルトン国の王族へ華麗に挨拶する絶世の美貌のポーポトス。
「⋯⋯。貴方は魔国の⋯?」
普通にしているポーポトスだが、シェルトン王国をはじめ、独裁国家アレルゴン、そしてアウラード大帝国の貴族は凄まじい緊張感に包まれていた。穏やかそうな美青年ながらも背筋が凍るほどの威圧感があり、謁見の間が静まり返ってしまう。
「ええ、私は魔国の者です」
「⋯⋯」
魔国が想像していた以上に恐ろしい存在だと今更ながらに気付いたテラッソ国王だが、空気が読めないエルゾン王太子がまた騒ぎ始めた。
「魔国だと!?本当に魔国の者だという証拠があるのか!?アウラード大帝国が用意した偽物だろう!?」
「馬鹿ちん王子!シアがボコボコにしてやりまちゅ!!」
ルシアードに抱っこされていたアレクシアだが、袖口を捲し上げてエルゾン王太子へ向かって行こうとする。もうこの時点で大騒ぎの謁見の間だが、そこで今まで黙って見ていたデイルズがスッと立ち上がった。
「わしの孫嫁になるアレクシア皇女への暴言の数々、許せませんな」
ポーポトスの放つ迫力以上の迫力でテラッソ国王の前へやって来たデイルズは、シェルトン王族達を睨みつけている。シェルトン王国の精鋭部隊である近衛騎士達もデイルズの圧力に恐怖して動けない。
「なっ⋯!あの皇女の方が暴言吐いてるだろ!!」
エルゾン王太子が震えながらも、デイルズに言い返していた時だった。
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