転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi

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9章 アレクシアとアウラード大帝国の闇

黒幕vsアレクシア②

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喚き散らすエレノア・ヤノースの衝撃的な発言に驚くアレクシアだが、他の者は驚く事なく異様な程に冷静だった。

「ウロボロしゅがトリシアを殺したでしゅと!?」

「そうよ!!ああ、あんたは何も知らないでのうのうと冒険を続けていたんでしょうねぇ!?」

昔、魔国の大罪人として処刑されたとしか聞いていなかった。アリアナや魔国の魔術師達への度重なる妨害行為や殺害未遂、そして魔国王族達に対する暗殺未遂、更には非人道的な実験、大量殺戮と数え切れない罪で投獄され処刑されたと、ポーポトスやランゴンザレスから後に聞いていたのでまさかウロボロスが関わっているとは思っていなかった。

「ウロボロしゅ⋯どういう事何でしゅか?」

アレクシアはパタパタと飛んでいるウロボロスの元へと歩いて行くと、自分が知らない真実を聞き出そうとした。

『こいつだけは許せなかった。馬鹿みたいな欲やプライドで散々お前を苦しめ、更にはこいつが一部の魔貴族と結託して⋯クーデターを起こさなければ⋯!』

ウロボロスの激しい怒りに、デズモンドも同じように怒りに震えていた。ランゴンザレスやポーポトスも、ステラやユウラも皆が怒りの眼差しでエレノアを見ていた。

「ふん!人族の分際で魔王太子と婚約なんて皆が許すわけないでしょ!?馬鹿馬鹿しい!!」

馬鹿にした様に笑うエレノアに我慢が出来ずに、今すぐにでも殺そうとするデズモンドだが、アレクシアに制止された。

「アレクシア、止めるな!こいつのせいで⋯⋯!!」

「クーデターを止めるのに皆が精一杯だったんでしゅから、そのお陰で奇跡的に死人がでなかったんでしゅ!!」

「む。アレクシア、この女に苦労させられたな。今はそうはさせないから安心しろ!!」

「本当に昔も今も胸糞悪い女だ!!」

アレクシアが必死に魔国組を抑えているが、ゼストやルシアードまでもが怒りの参戦をしてきた。ミルキルズは今はまだ黙っては見ているが、目つきは厳しいままだ。五匹の子犬従魔もエレノアに飛びかかろうと必死だが、アランカルトに止められていた。

「あらあら~?本当に皆に愛されて守られて⋯そんな女に私が負けるとでも!?」

またもやエレノアが自身から悍ましい黒い煙を噴き出しアレクシアに襲いかかるが、ウロボロスが目の前に立ちはだかり煙を一瞬で消し去ってしまった。

「邪悪竜ウロボロス!!邪魔をしないで頂戴!!この女がいなくなれば全てが上手くいくのよ!!」

『黙れ!!アリアナを排除させようとクーデターを起こさせた張本人が!!』

当時、アリアナとデズモンド魔王太子の婚姻話を聞いた魔国民達も祝福していたが、その一方で一部の魔貴族達は人族のアリアナが魔王妃になるのを快く思っていなかった。そんな不満が溜まっていた魔貴族達にクーデターを起こさせたのは魔国で指名手配されていた大罪人トリシアだった。

そのクーデターの情報が魔国王族や四老会の耳にも入り動き出したのだが、タイミング良く魔王都でクーデターが起こった。魔国民を人質にアリアナの永久国外追放と魔王太子デズモンドとの婚姻の破棄を要求してきたのだ。更に欲が出たのかトリシアと共に魔国を乗っ取ろうとまでしたのだ。

魔国民を人質に取られて頭を抱える魔国王族や四老会、ランゴンザレスを近くで見ていたアリアナは従魔達と魔瘴の森に向かった。

「ウロボロス、お願いがあるのよ。あんたのあの宝石盗ませて?」

『はあ!?今そんな事したらクーデターを更に悪化させるぞ!』

ウロボロスはアリアナの発言に呆れていた。

「⋯。あんたは巻き込みたく無かったんだけど⋯私のせいでこんな事になっているの見たくないのよ。いつも揚げパンを一個おまけしてくれたおばちゃんや魔国新聞をいつも買ってくれって追いかけてくるラジ坊、大工の親父や⋯皆んなが大好きなの」

ポツリポツリと話し出したアリアナ。

「なのに私のせいで傷ついて欲しくない。ならさぁ⋯睨まれた方がよっぽどマシだわ!」

『お前⋯』

「あはは!私は空気の読めない悪者のままこの国を出るわ!もう魔国に堂々と遊びに行けないのは寂しいけど⋯たまに会いに来るね」

ウロボロスが必死に説得するが、アリアナはもう何か決心しているようだった。

「これ以上私の大好きな人達が苦しむのはおかしいでしょう?私の大好きな人達が築いた国は絶対に守らないと!」

『このクーデターが仕組まれたものだって分かっているし、加担した魔貴族も何人かは捕らえた!あとはあの女を捕らえれば⋯お前の無実は証明されるんだ!あと少しの辛抱なんだよ!』

アリアナの周りにいる従魔達も心配そうに彼女を見ていた。

「ふふ⋯私ってせっかちだから待っていられないの!だから一生のお願い!私の言う通りに手伝ってくれる?」

これ以上何も言えずに、ウロボロスはクーデターで混乱している魔王都に降り立ち怒り狂ったフリをした。そして皆が恐れ平伏している内に四老会が全ての魔貴族を捕らえる事に成功した。

そして魔瘴の森で隠れて待っていたアリアナと話している所をアーウィング魔公爵家の息子に見られたが、威圧しておいたから大丈夫だろう。


アリアナは従魔と共に魔国を去った。
そのあとすぐにデズモンドが追いかけてきたが間に合わなかった。

「ウロボロスよ、アリアナは大丈夫でしたか?泣いていませんでしたか?」

『お前⋯わかっていたのか?』

「ずっとアリアナを見てきたんですよ、分からない方が難しいです」

そう言って悲しそうに笑うデズモンド。

『あいつはこの国が大好きなんだ。それと同じくらいにお前の事も大好きなんだよ⋯だからお前を選ばなかったんだ』

ウロボロスの言葉を聞いたデズモンドは膝から崩れ落ちて叫ぶように泣いた。泣き続けた。

「アリアナ⋯⋯アリアナーー!!それでも俺はお前を愛しているんだ!!お前を苦しめる事になったとしても!この国を捨てても良いとさえ思った!アリアナ⋯うぅ⋯⋯」

ウロボロスが泣き続けるデズモンドに声をかけようとした時だった。こちらに歩いてくる悍ましい気配を感じて、警戒を強める。

「あら~?魔王太子であろう者が情けない!あんな女に誑かされて⋯ぷっ」

クーデターの黒幕であり、全ての元凶であるトリシアが不気味に嗤いながら近づいてきたのだった。



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