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10章 アレクシアと愉快な仲間2
ご長寿達を説得します!!
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「まさかこのまま国に帰るつもりなの!?」
エルフの女王であるエルメニアが反対し始めた。人族の元にアレクシアがいる事も反対だが、娘に甘々なアウラード大帝国皇帝ルシアードの教育も心配なのだ。昔のような悪童にもうなりかけているが、それをここで阻止したいという思惑もあるのだ。
「帰りましゅよ!父上もいい加減に仕事をしないといけないでしゅし、これ以上ここにいたらロイン伯父上に怒られましゅ!」
「ロイン?まさかそいつに何か酷い事でもされているのか?お主は皇女じゃろう?」
アレクシアの発言に怪訝な顔をするのは森の主の巨大な狼ガイアだ。
「彼奴は只者じゃねぇな」
「そうね、人族なのに恐怖を感じたわ」
獣人国の第二王子であるラルフレアとエルフのナナーサも、ロインを思い出して苦笑いしていた。
「あなた達までそんな事を言うなんて⋯ガイア様、ここは私達が行って確認しないといけませんわ!」
「うむ。わしもこの子がどんな所で暮らしているか気になるわい!」
コソコソと話し合うガイアとエルメニアをジト目で見ているアレクシア。
「まさか大嫌いな人族の国に行こうだなんて思ってないでしゅよね?」
「む。まさかアウラードに行こうとしているのか?エルフの女王と巨大な狼が来たらさすがに大騒ぎだぞ?」
流石のルシアードもエルフの女王と神獣など手に負えない。黄金竜の件でも他国から問い合わせの書状や使者が押し寄せている状態なのだ。ゼストが現れた時に、あの超絶な巨大さだったので早朝にも関わらず目撃者がかなりいたのだ。
黄金竜ゼストは神として崇められているので、ゼストを崇める宗教本山がある国やアウラード大帝国の近隣国が様々な思惑をもって動き始めているのだ。更にそこへ獣人やエルフがアウラード大帝国に現れたので事態は深刻になっている。
「兎に角、シアは帰りましゅ!落ち着いたらまた遊びに来ましゅから待ってて下しゃいよ!」
「駄目よ!あなたがちゃんとした子に育つようにしっかり教育しないと、もう周りにはあなたを甘やかすジジイ達が勢揃いしているんだから!」
エルメニアはそう言いながら、ミルキルズやデイルズを指差した。
「失礼じゃな!わしはちゃんとこの子を育ててきたぞ!」
プンスカと怒るミルキルズだが、エルメニアはそんなミルキルズを鼻で笑った。
「フッ、あなたもアリアナとエルフの里で大暴れしていたものねぇ?」
「⋯わしは知らんもん。最近物忘れが酷くてのう~?」
ミルキルズはそう言うと、そそくさとアレクシアの後ろに隠れた。
「そんなに若返って何を言ってるのよ!」
そんなクドクドと説教されているミルキルズを見て、スッと存在感を消したのはデイルズであった。
「さて、俺は一旦国に帰って親父に報告してこねぇとな」
「ライアードによろちく言っておいて下しゃいな!」
「ああ、“よろちく”って言っとくわ!」
ラルフレアは駆け寄って来たアレクシアの頭を嬉しそうに撫でながらニカッと笑う。そんな微笑ましい光景を感無量で見つめる熊の獣人グリスと、殺意を込めて睨みつける魔国の国王デズモンド。
「お前の婚約者が怖ぇから退散しますわ!」
「アレクシア様、必ず獣人国にもお越しくださいませ」
ラルフレアとグリスは他の皆にも挨拶を済ませると、最後にルシアードの元へ行く。
「おい、こいつをちゃんと育てろよ?もしこいつを傷つけるような事をしたら獣人国総出で乗り込むからな?」
「アレクシアを傷つけるような事は今後ないからもう来なくて良いぞ」
ルシアードの発言に強く頷くのはデズモンドだ。
「はは!じゃあ“また”な!」
皆に手を振りながらラルフレアとグリスは獣人国へ報告に戻ったが、これが新たな事件に繋がるとはこの時は誰も思ってはいなかった。
「さてと、シアも帰りましゅか!」
アレクシアが早く転移魔法を!と愛の奴隷デズモンドに催促していると、案の定だがエルメニアが立ちはだかった。
「あなたがどんな生活をしているかを見ないと心配で仕方がないわ!なのでアウラード大帝国を見極める為に同行するわよ!」
「フッ⋯エルフの掟がありましゅよね?ナナーサが破ったと大騒ぎだったのに女王が破ったらまずいでしゅよね~?」
ドヤ顔でエルメニアに詰め寄るアレクシア。
「その掟はガイア様と私が協議した結果、この先は廃止にするわ!」
「何でしゅとーー!!そんな簡単に掟を変えるなーー!!エルフ達、ここは猛抗議でしゅよ!!」
アレクシアは周りにいるエルフ達に抗議を促すが、皆は何故か納得していた。
「あなたがどういう生活をしているか気になるわ」
「昔みたいに自由に育っているか心配なのよ!皇女なんて窮屈で可哀想よ!」
「そうだ!エルメニア様とガイア様がアウラードが最悪と判断すればその場で滅ぼせるしな!」
最後の言葉は恐ろしいが、エルメニアならやりかねない。
「ぐぬぬ⋯エルフは掟に厳しいはずなのに⋯こうなったら完璧な皇女を見せてすぐに帰ってもらうしかないでしゅ⋯」
ブツブツと呟いているアレクシアを無視して、エルメニアはナナーサの元へ向かう。
「ナナーサ、貴女はついてきなさい。先に見ていた事を色々と聞きたいわ」
「勿論です!アウラードの国自体は非常に豊かですが、まだ皇族達の生活は分かりませんから」
エルメニアはナナーサの部下であるカイシンに臨時で里を任せる事にした。
「ガイ爺!そのままでは駄目でしゅよ!人化して下しゃいな!」
「おお、そうじゃな!ちょい待ち!」
そう言うと、光出したガイア。そしてそこに立っていたのは煌めく白銀の髪を靡かせ、全身純白の気品ある貴族服を身に纏った色気がある美しい青年だった。三十代前半くらいで、瞳が金色なのでとても神秘的な雰囲気だった。
「む。爺さんじゃないぞ?」
「父上。周りを見て下しゃいな!見た目詐欺ばかりでしゅ!今回も同じでしゅよ!こう見えても気の遠くなるほど長生きしてましゅよ!」
ルシアードが自分くらいの年齢にしか見えないガイアを見て驚いていた。
「はぁ⋯爺さんばかり集めてどうするんだ?」
「ジジイも同じようなもんでしゅよ」
「おい!一緒にするなよ!」
ゼストの呟きにアレクシアが冷静に毒を吐いた。そんな仲良しな二人を急いで引き剥がすのはルシアードだった。
「こんな光景が見られるとは⋯感無量じゃな」
初代竜族族長であるミルキルズやエルフの女王エルメニア、そして魔国初代国王デイルズに幻影の森の主で神獣であるガイア。ポーポトスはもうこのメンバーが揃うことなどないと思っていた。
「お主は本当に凄い子じゃな⋯」
「何でしゅか~?ご飯は食べまちたよー?」
アレクシアがそう言った瞬間に拳骨が落とされた。
「わしをボケ老人扱いしおって!!」
「うぅ⋯痛いでしゅ⋯」
「全くもってアホな子ね⋯」
そんな涙目のアレクシアを見て呆れているエルメニア。
『ますます大所帯になったな。それにとんでもないメンバー過ぎだろ』
「ウロボロスには一番言われたくないと思いましゅよ!」
『⋯』
何も言えないウロボロスは黙ったままアレクシアの頭に乗った。アレクシア大好きな五匹の子犬従魔は増えていく仲間達を見て嬉しそうに尻尾を振る。
『仲間がいっぱいーー!!』白玉は嬉しそうに駆け回っている。
『爺と婆ばかりーー!!』黒蜜の発言で雲行きが怪しくなってきた。
『『爺さんと婆さんーー!!』』
みたらしときなこは嬉しそうだが、エルメニアの顔つきが鋭くなっていく。
『⋯じじばば』
あんこが小さな声でそう言うとスッとアレクシアの後ろに隠れた。
「さすがあなたの従魔ね⋯従魔の教育も忘れずにしないとね?」
エルメニアの妖艶な笑顔に、震えが止まらなくなった五匹は急いでガイアの元へ避難したのだった。
こうして騒ぎながらもアレクシアはエルフ達に挨拶を済ませるとアウラード大帝国へと急いで戻るのだった。
エルフの女王であるエルメニアが反対し始めた。人族の元にアレクシアがいる事も反対だが、娘に甘々なアウラード大帝国皇帝ルシアードの教育も心配なのだ。昔のような悪童にもうなりかけているが、それをここで阻止したいという思惑もあるのだ。
「帰りましゅよ!父上もいい加減に仕事をしないといけないでしゅし、これ以上ここにいたらロイン伯父上に怒られましゅ!」
「ロイン?まさかそいつに何か酷い事でもされているのか?お主は皇女じゃろう?」
アレクシアの発言に怪訝な顔をするのは森の主の巨大な狼ガイアだ。
「彼奴は只者じゃねぇな」
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獣人国の第二王子であるラルフレアとエルフのナナーサも、ロインを思い出して苦笑いしていた。
「あなた達までそんな事を言うなんて⋯ガイア様、ここは私達が行って確認しないといけませんわ!」
「うむ。わしもこの子がどんな所で暮らしているか気になるわい!」
コソコソと話し合うガイアとエルメニアをジト目で見ているアレクシア。
「まさか大嫌いな人族の国に行こうだなんて思ってないでしゅよね?」
「む。まさかアウラードに行こうとしているのか?エルフの女王と巨大な狼が来たらさすがに大騒ぎだぞ?」
流石のルシアードもエルフの女王と神獣など手に負えない。黄金竜の件でも他国から問い合わせの書状や使者が押し寄せている状態なのだ。ゼストが現れた時に、あの超絶な巨大さだったので早朝にも関わらず目撃者がかなりいたのだ。
黄金竜ゼストは神として崇められているので、ゼストを崇める宗教本山がある国やアウラード大帝国の近隣国が様々な思惑をもって動き始めているのだ。更にそこへ獣人やエルフがアウラード大帝国に現れたので事態は深刻になっている。
「兎に角、シアは帰りましゅ!落ち着いたらまた遊びに来ましゅから待ってて下しゃいよ!」
「駄目よ!あなたがちゃんとした子に育つようにしっかり教育しないと、もう周りにはあなたを甘やかすジジイ達が勢揃いしているんだから!」
エルメニアはそう言いながら、ミルキルズやデイルズを指差した。
「失礼じゃな!わしはちゃんとこの子を育ててきたぞ!」
プンスカと怒るミルキルズだが、エルメニアはそんなミルキルズを鼻で笑った。
「フッ、あなたもアリアナとエルフの里で大暴れしていたものねぇ?」
「⋯わしは知らんもん。最近物忘れが酷くてのう~?」
ミルキルズはそう言うと、そそくさとアレクシアの後ろに隠れた。
「そんなに若返って何を言ってるのよ!」
そんなクドクドと説教されているミルキルズを見て、スッと存在感を消したのはデイルズであった。
「さて、俺は一旦国に帰って親父に報告してこねぇとな」
「ライアードによろちく言っておいて下しゃいな!」
「ああ、“よろちく”って言っとくわ!」
ラルフレアは駆け寄って来たアレクシアの頭を嬉しそうに撫でながらニカッと笑う。そんな微笑ましい光景を感無量で見つめる熊の獣人グリスと、殺意を込めて睨みつける魔国の国王デズモンド。
「お前の婚約者が怖ぇから退散しますわ!」
「アレクシア様、必ず獣人国にもお越しくださいませ」
ラルフレアとグリスは他の皆にも挨拶を済ませると、最後にルシアードの元へ行く。
「おい、こいつをちゃんと育てろよ?もしこいつを傷つけるような事をしたら獣人国総出で乗り込むからな?」
「アレクシアを傷つけるような事は今後ないからもう来なくて良いぞ」
ルシアードの発言に強く頷くのはデズモンドだ。
「はは!じゃあ“また”な!」
皆に手を振りながらラルフレアとグリスは獣人国へ報告に戻ったが、これが新たな事件に繋がるとはこの時は誰も思ってはいなかった。
「さてと、シアも帰りましゅか!」
アレクシアが早く転移魔法を!と愛の奴隷デズモンドに催促していると、案の定だがエルメニアが立ちはだかった。
「あなたがどんな生活をしているかを見ないと心配で仕方がないわ!なのでアウラード大帝国を見極める為に同行するわよ!」
「フッ⋯エルフの掟がありましゅよね?ナナーサが破ったと大騒ぎだったのに女王が破ったらまずいでしゅよね~?」
ドヤ顔でエルメニアに詰め寄るアレクシア。
「その掟はガイア様と私が協議した結果、この先は廃止にするわ!」
「何でしゅとーー!!そんな簡単に掟を変えるなーー!!エルフ達、ここは猛抗議でしゅよ!!」
アレクシアは周りにいるエルフ達に抗議を促すが、皆は何故か納得していた。
「あなたがどういう生活をしているか気になるわ」
「昔みたいに自由に育っているか心配なのよ!皇女なんて窮屈で可哀想よ!」
「そうだ!エルメニア様とガイア様がアウラードが最悪と判断すればその場で滅ぼせるしな!」
最後の言葉は恐ろしいが、エルメニアならやりかねない。
「ぐぬぬ⋯エルフは掟に厳しいはずなのに⋯こうなったら完璧な皇女を見せてすぐに帰ってもらうしかないでしゅ⋯」
ブツブツと呟いているアレクシアを無視して、エルメニアはナナーサの元へ向かう。
「ナナーサ、貴女はついてきなさい。先に見ていた事を色々と聞きたいわ」
「勿論です!アウラードの国自体は非常に豊かですが、まだ皇族達の生活は分かりませんから」
エルメニアはナナーサの部下であるカイシンに臨時で里を任せる事にした。
「ガイ爺!そのままでは駄目でしゅよ!人化して下しゃいな!」
「おお、そうじゃな!ちょい待ち!」
そう言うと、光出したガイア。そしてそこに立っていたのは煌めく白銀の髪を靡かせ、全身純白の気品ある貴族服を身に纏った色気がある美しい青年だった。三十代前半くらいで、瞳が金色なのでとても神秘的な雰囲気だった。
「む。爺さんじゃないぞ?」
「父上。周りを見て下しゃいな!見た目詐欺ばかりでしゅ!今回も同じでしゅよ!こう見えても気の遠くなるほど長生きしてましゅよ!」
ルシアードが自分くらいの年齢にしか見えないガイアを見て驚いていた。
「はぁ⋯爺さんばかり集めてどうするんだ?」
「ジジイも同じようなもんでしゅよ」
「おい!一緒にするなよ!」
ゼストの呟きにアレクシアが冷静に毒を吐いた。そんな仲良しな二人を急いで引き剥がすのはルシアードだった。
「こんな光景が見られるとは⋯感無量じゃな」
初代竜族族長であるミルキルズやエルフの女王エルメニア、そして魔国初代国王デイルズに幻影の森の主で神獣であるガイア。ポーポトスはもうこのメンバーが揃うことなどないと思っていた。
「お主は本当に凄い子じゃな⋯」
「何でしゅか~?ご飯は食べまちたよー?」
アレクシアがそう言った瞬間に拳骨が落とされた。
「わしをボケ老人扱いしおって!!」
「うぅ⋯痛いでしゅ⋯」
「全くもってアホな子ね⋯」
そんな涙目のアレクシアを見て呆れているエルメニア。
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『⋯』
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『爺と婆ばかりーー!!』黒蜜の発言で雲行きが怪しくなってきた。
『『爺さんと婆さんーー!!』』
みたらしときなこは嬉しそうだが、エルメニアの顔つきが鋭くなっていく。
『⋯じじばば』
あんこが小さな声でそう言うとスッとアレクシアの後ろに隠れた。
「さすがあなたの従魔ね⋯従魔の教育も忘れずにしないとね?」
エルメニアの妖艶な笑顔に、震えが止まらなくなった五匹は急いでガイアの元へ避難したのだった。
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