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三章 小蘭(シャオラン)の活躍
生意気な後輩とお気楽な先輩
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「じゃあ今すぐに女官服に着替えてきて!仕事を教えます!!」
張り切る小蘭に嫌味を言いたいが、恐ろしい者たちに囲まれている今、何も言えずにただただ女官服を受け取る事しかできない眉玲華。白風(バイフォン)に案内されて女官のテントに向かったのだった。
それを見送るのは、眉家の当主であり玲華の父親でもある眉盛胡(ミ・セイナン)伯だ。一人娘だと言う事もあり散々と甘やかしたせいで、一族の首が飛ぶかもしれない事態に陥った。盛胡は己の愚かさを反省して、心を鬼にして玲華を見送っていたのだった。
「おじさん!あの子は任せてください!どこに出しても良いくらいの娘に育てます!!」
「えー、なんか不安。ですが玲華をよろしくお願いします」
ドヤ顔の小蘭に一抹の不安を覚える盛胡だが、眉家の為であり玲華の為だと女官である小蘭に頭を下げたのだった。
「叔⋯酉炎様!狩りには参加するのですか?」
「ああ」
無表情のまま酉炎が頷くと、小蘭はニヤリと笑った。
「じゃあ久しぶりに対決しましょう!」
「いいぞ」
端的に答えてはいるが、どこか嬉しそうな酉炎を見て眉家当主は驚いていた。
「そういえばあの我が儘な第二皇女を手懐けたみたいだな?」
「おい、皇帝の前で言う事か?」
皇帝である自分がいる前で堂々と皇女の名を出す酉炎に呆れてしまう龍飛。
「蓉花(ヨウホワン)は良い子だよ。あの美芭(ビーファ)は救いようがないけどね」
女官である小蘭の信じられない不敬に、眉家当主の冷や汗が止まらず、確かめたくても恐ろしくて皇帝の方に視線を向けられない。
「おい、痛いとこを突くな。これからも蓉花の友でいてくれ」
「当たり前よ!」
龍飛と仲良く話す小蘭を見て、眉家当主も牢の中の揚揚も開いた口が塞がらない。
「紅州王、酉炎様。私はお腹が空いているので何か食べさせてください!」
「屋敷に来い。すぐに用意させる」
「わーーい!!」
紅州王こと紅司炎は小蘭に優しく微笑んでいるが、女官が信じられない事を言っているのを見て周りはざわついていた。
「朕も食事が途中だった。小蘭と共に紅州王の屋敷に行くぞ」
護衛長である霧柔に告げる龍飛だが、紅司炎も酉炎もあからさまに嫌な顔をしていた。
「じゃあ、行こう!」
嬉しそうな小蘭に続いて、こちらも機嫌が良い皇帝、そして苦虫を噛み潰したような顔の紅州王と酉炎が屋敷に向かい歩き出したのだった。
「一体あの少女は何者なんだ?」
「盛胡様!!」
命が繋がった眉家当主の盛胡が首を傾げながら歩き出そうとした時、揚揚が牢の中から盛胡を呼んだ。
「ん?女官長か。何なんだ?」
先ほどの事件の首謀者である揚揚とは関わりたくないので、あからさまに厳しい顔を向ける盛胡。
「実は美芭様にお会いしたいのです!取り次いでもらえないでしょうか?」
「はあ?私が簡単に会えるような方ではない!皇女だぞ!?もう何にも関わりたくない!!」
揚揚に冷たく吐き捨てると、盛胡はそそくさと去って行ってしまった。
「何とか逃げないと!!」
唇を強く噛み締めながらも逃げる方法を考えていた揚揚だが、他の女官達は諦めているのか放心状態なのか動かない。そこへ忍び寄る影にまだ揚揚は気付いていなかった。
「ウヒョーー!豪華だね!!」
紅州王の為に建てられた屋敷で、当たり前の様に紅州王と紅酉炎の間に座り、豪華な食事が並べられるのをキラキラした目で見つめている小蘭。そして龍飛が声をかけて第三皇子である龍朱もやって来た。そして声がかけられていない第二皇子の龍麒もしれっと座っていた。
先程の事件であまり食べれなかったのと、元気な小蘭を見て、泣いていた龍朱もすでに笑顔になり今はお腹をクーと鳴らしていた。
「元気になって良かった!!」
「元気だよ!だからいっぱい食べようね!」
「うん!」
ニコニコと嬉しそうな龍朱を見て、父親である龍飛も機嫌が良い。第二皇女の蓉花は弓の練習をしたいと言い、今は猛特訓中だ。これには、蓉花の女官達も驚きを隠せないでいた。あの傲慢で我儘な皇女はもういない。脳筋になりつつある蓉花を女官達も暖かく見守っていた。
「じゃあ頂きますか!」
「ハーーイ!」
皇帝である龍飛を華麗に無視して、小蘭は龍朱と顔を見合わせて“頂きます!”と言い箸を動かし始めた。そんな不敬過ぎる態度の小蘭を皇帝の龍飛を始めとして、誰も咎めない事に女官や従者は驚いていた。
調理場でも、女官や料理人の間で小蘭の噂話が止まらない。
「ねぇ!あの女官は一体何者なの!?あの子って少し前まで下級女官だったのに今では皇帝付きの女官よ!?」
恰幅が良い女官が皿を拭きながら大声で捲し立てていた。
「あの子が関わってから女官長が二人消えたのよ!大物がバックにいるのよ!噂では陛下のお気に入りって話よ?」
細身の年配の女官が周りを見渡してから小声で皆に伝える。
「若くて美人な子って得よねぇ~?あの顔と体があれば男を虜にできるんだから何の努力もいらないってさ!アハハハ!」
恰幅の良い女官が嫌味たっぷりに吐き捨てると、周りもその通りとばかりに大笑いしていた。
「楽しそうですね?」
気配なく入口に立っている人物を見て、皆が顔面蒼白になり、ある者は持っていた皿を落とし、ある者は笑っていた顔を引き攣らせた。
「高青様⋯!!」
恰幅が良い女官は、冷たい視線をこちらに向け立っている大長秋の高青を見て急いで平伏した。他の女官や料理人も急いで平伏そうとした。
「ああ、平伏さなくて良い。先程の話は全て聞いていた。陛下の噂話とは⋯誰が聞いてるか分からないのだぞ?今回は私だった、不運だな。この仕事が終わったら全員解雇だ」
そう吐き捨てるとそそくさと去って行く高青。女官達や料理人は顔面蒼白でその場に崩れ落ちた。去って行く高青に縋ろうとする者もいたが、兵士が乱暴に引き離した。
こうして安定した暮らしを失う事になった女官や料理人は、つまらぬ噂を安易に鵜呑みにして騒いだ事を後悔したがもう遅かった。
「うめぇ!」
「うん!うめーー!」
「おい!龍朱は何でも真似する年頃なんだ!綺麗な言葉を使え!」
「へいへい」
「へーーい!」
小蘭が大好きで何でも真似する龍朱の将来に危機感を覚えた龍飛が、小蘭を注意するが全く効かない。そんなやり取りを微笑ましく見ている紅州王と紅酉炎、そして龍麒だったが、そこへまたしても空気の読めない者が現れたのだった。
「失礼致します。紅州の名酒として名高い“紅歌“(コウカ)をお持ち致しました。」
紅家の長女である紅星花(コウ・セイファ)と侍女の珊瑚(サンゴ)だった。
いきなり現れた星花を見て顔を顰めるのは父親である紅州王であった。叔父である酉炎は気にする事なく黙々と食べていた。
「ああ、星花か。貴重な酒だな。有り難く頂戴しよう」
それを聞いた星花は嬉しそうに皇帝である龍飛の元へ向かうが、そんな星花に冷たい視線を向け続けるのは、紅州王と小蘭、そして第二皇子の龍麒だ。
星花は龍飛に近づいて酒を注ごうとするが、護衛長である霧柔(ウールアン)に制止された。
「ああ、酒だけで良い」
顔も見ずに星花に告げる龍飛。星花は無理に笑顔を作り、今度は小蘭の方へ近づいて行く。
「麗⋯「小蘭だって言いましたよね?」
「⋯⋯。あ、龍朱殿下、楽しめていますか?」
小蘭に冷たく突き放された星花は、悔しそうな顔を一瞬覗かせたが、また笑顔に戻り龍朱に話しかけた。その時、小蘭に耳打ちされた龍朱はうんと頷き、そして星花に向けて笑顔を見せた。そして⋯⋯
「このすっとこどっこいーー!!」
その場が一瞬で静まり返った。星花は目が点になり、珊瑚は開いた口が塞がらない。
普段はあまり笑わない第二皇子である龍麒が大笑いして、紅州王もさえも肩を震わしていた。皇帝である龍飛も必死で笑いを堪えていたが、護衛長である霧柔は限界で吹き出してしまったのだった。
張り切る小蘭に嫌味を言いたいが、恐ろしい者たちに囲まれている今、何も言えずにただただ女官服を受け取る事しかできない眉玲華。白風(バイフォン)に案内されて女官のテントに向かったのだった。
それを見送るのは、眉家の当主であり玲華の父親でもある眉盛胡(ミ・セイナン)伯だ。一人娘だと言う事もあり散々と甘やかしたせいで、一族の首が飛ぶかもしれない事態に陥った。盛胡は己の愚かさを反省して、心を鬼にして玲華を見送っていたのだった。
「おじさん!あの子は任せてください!どこに出しても良いくらいの娘に育てます!!」
「えー、なんか不安。ですが玲華をよろしくお願いします」
ドヤ顔の小蘭に一抹の不安を覚える盛胡だが、眉家の為であり玲華の為だと女官である小蘭に頭を下げたのだった。
「叔⋯酉炎様!狩りには参加するのですか?」
「ああ」
無表情のまま酉炎が頷くと、小蘭はニヤリと笑った。
「じゃあ久しぶりに対決しましょう!」
「いいぞ」
端的に答えてはいるが、どこか嬉しそうな酉炎を見て眉家当主は驚いていた。
「そういえばあの我が儘な第二皇女を手懐けたみたいだな?」
「おい、皇帝の前で言う事か?」
皇帝である自分がいる前で堂々と皇女の名を出す酉炎に呆れてしまう龍飛。
「蓉花(ヨウホワン)は良い子だよ。あの美芭(ビーファ)は救いようがないけどね」
女官である小蘭の信じられない不敬に、眉家当主の冷や汗が止まらず、確かめたくても恐ろしくて皇帝の方に視線を向けられない。
「おい、痛いとこを突くな。これからも蓉花の友でいてくれ」
「当たり前よ!」
龍飛と仲良く話す小蘭を見て、眉家当主も牢の中の揚揚も開いた口が塞がらない。
「紅州王、酉炎様。私はお腹が空いているので何か食べさせてください!」
「屋敷に来い。すぐに用意させる」
「わーーい!!」
紅州王こと紅司炎は小蘭に優しく微笑んでいるが、女官が信じられない事を言っているのを見て周りはざわついていた。
「朕も食事が途中だった。小蘭と共に紅州王の屋敷に行くぞ」
護衛長である霧柔に告げる龍飛だが、紅司炎も酉炎もあからさまに嫌な顔をしていた。
「じゃあ、行こう!」
嬉しそうな小蘭に続いて、こちらも機嫌が良い皇帝、そして苦虫を噛み潰したような顔の紅州王と酉炎が屋敷に向かい歩き出したのだった。
「一体あの少女は何者なんだ?」
「盛胡様!!」
命が繋がった眉家当主の盛胡が首を傾げながら歩き出そうとした時、揚揚が牢の中から盛胡を呼んだ。
「ん?女官長か。何なんだ?」
先ほどの事件の首謀者である揚揚とは関わりたくないので、あからさまに厳しい顔を向ける盛胡。
「実は美芭様にお会いしたいのです!取り次いでもらえないでしょうか?」
「はあ?私が簡単に会えるような方ではない!皇女だぞ!?もう何にも関わりたくない!!」
揚揚に冷たく吐き捨てると、盛胡はそそくさと去って行ってしまった。
「何とか逃げないと!!」
唇を強く噛み締めながらも逃げる方法を考えていた揚揚だが、他の女官達は諦めているのか放心状態なのか動かない。そこへ忍び寄る影にまだ揚揚は気付いていなかった。
「ウヒョーー!豪華だね!!」
紅州王の為に建てられた屋敷で、当たり前の様に紅州王と紅酉炎の間に座り、豪華な食事が並べられるのをキラキラした目で見つめている小蘭。そして龍飛が声をかけて第三皇子である龍朱もやって来た。そして声がかけられていない第二皇子の龍麒もしれっと座っていた。
先程の事件であまり食べれなかったのと、元気な小蘭を見て、泣いていた龍朱もすでに笑顔になり今はお腹をクーと鳴らしていた。
「元気になって良かった!!」
「元気だよ!だからいっぱい食べようね!」
「うん!」
ニコニコと嬉しそうな龍朱を見て、父親である龍飛も機嫌が良い。第二皇女の蓉花は弓の練習をしたいと言い、今は猛特訓中だ。これには、蓉花の女官達も驚きを隠せないでいた。あの傲慢で我儘な皇女はもういない。脳筋になりつつある蓉花を女官達も暖かく見守っていた。
「じゃあ頂きますか!」
「ハーーイ!」
皇帝である龍飛を華麗に無視して、小蘭は龍朱と顔を見合わせて“頂きます!”と言い箸を動かし始めた。そんな不敬過ぎる態度の小蘭を皇帝の龍飛を始めとして、誰も咎めない事に女官や従者は驚いていた。
調理場でも、女官や料理人の間で小蘭の噂話が止まらない。
「ねぇ!あの女官は一体何者なの!?あの子って少し前まで下級女官だったのに今では皇帝付きの女官よ!?」
恰幅が良い女官が皿を拭きながら大声で捲し立てていた。
「あの子が関わってから女官長が二人消えたのよ!大物がバックにいるのよ!噂では陛下のお気に入りって話よ?」
細身の年配の女官が周りを見渡してから小声で皆に伝える。
「若くて美人な子って得よねぇ~?あの顔と体があれば男を虜にできるんだから何の努力もいらないってさ!アハハハ!」
恰幅の良い女官が嫌味たっぷりに吐き捨てると、周りもその通りとばかりに大笑いしていた。
「楽しそうですね?」
気配なく入口に立っている人物を見て、皆が顔面蒼白になり、ある者は持っていた皿を落とし、ある者は笑っていた顔を引き攣らせた。
「高青様⋯!!」
恰幅が良い女官は、冷たい視線をこちらに向け立っている大長秋の高青を見て急いで平伏した。他の女官や料理人も急いで平伏そうとした。
「ああ、平伏さなくて良い。先程の話は全て聞いていた。陛下の噂話とは⋯誰が聞いてるか分からないのだぞ?今回は私だった、不運だな。この仕事が終わったら全員解雇だ」
そう吐き捨てるとそそくさと去って行く高青。女官達や料理人は顔面蒼白でその場に崩れ落ちた。去って行く高青に縋ろうとする者もいたが、兵士が乱暴に引き離した。
こうして安定した暮らしを失う事になった女官や料理人は、つまらぬ噂を安易に鵜呑みにして騒いだ事を後悔したがもう遅かった。
「うめぇ!」
「うん!うめーー!」
「おい!龍朱は何でも真似する年頃なんだ!綺麗な言葉を使え!」
「へいへい」
「へーーい!」
小蘭が大好きで何でも真似する龍朱の将来に危機感を覚えた龍飛が、小蘭を注意するが全く効かない。そんなやり取りを微笑ましく見ている紅州王と紅酉炎、そして龍麒だったが、そこへまたしても空気の読めない者が現れたのだった。
「失礼致します。紅州の名酒として名高い“紅歌“(コウカ)をお持ち致しました。」
紅家の長女である紅星花(コウ・セイファ)と侍女の珊瑚(サンゴ)だった。
いきなり現れた星花を見て顔を顰めるのは父親である紅州王であった。叔父である酉炎は気にする事なく黙々と食べていた。
「ああ、星花か。貴重な酒だな。有り難く頂戴しよう」
それを聞いた星花は嬉しそうに皇帝である龍飛の元へ向かうが、そんな星花に冷たい視線を向け続けるのは、紅州王と小蘭、そして第二皇子の龍麒だ。
星花は龍飛に近づいて酒を注ごうとするが、護衛長である霧柔(ウールアン)に制止された。
「ああ、酒だけで良い」
顔も見ずに星花に告げる龍飛。星花は無理に笑顔を作り、今度は小蘭の方へ近づいて行く。
「麗⋯「小蘭だって言いましたよね?」
「⋯⋯。あ、龍朱殿下、楽しめていますか?」
小蘭に冷たく突き放された星花は、悔しそうな顔を一瞬覗かせたが、また笑顔に戻り龍朱に話しかけた。その時、小蘭に耳打ちされた龍朱はうんと頷き、そして星花に向けて笑顔を見せた。そして⋯⋯
「このすっとこどっこいーー!!」
その場が一瞬で静まり返った。星花は目が点になり、珊瑚は開いた口が塞がらない。
普段はあまり笑わない第二皇子である龍麒が大笑いして、紅州王もさえも肩を震わしていた。皇帝である龍飛も必死で笑いを堪えていたが、護衛長である霧柔は限界で吹き出してしまったのだった。
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