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二章 小蘭(シャオラン)の掃除
狩りへの参加③
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高位貴族の娘達を集めてお茶会をしていたのは、第一皇女である美芭(ビーファ)である。社交の場では“妖艶な華”として有名で、皇女が主催するお茶会に選ばれれば、将来は安泰だと言われているので令嬢達はご機嫌取りに必死だ。
色とりどりの花が咲き乱れた美しい中庭では、美芭皇女と五人の令嬢が優雅に座りお茶を飲みながら世間話をしていた。そこへ美芭皇女付きの女官が急いでやって来て美芭に耳打ちする。
すると美芭皇女の顔色が変わり厳しいものになった。五人の令嬢は不安になるが、顔に出さずに必死に笑顔を浮かべていた。
「そう。蓉花(ヨウホワン)がねぇ⋯。ではわたくしもご挨拶に行かないといけないわね」
「⋯あの美芭様?何かありましたの?」
美芭皇女に声をかけたのは花のように可憐な女性であった。
「ええ、蓉花が馬に乗る練習をしているみたいだから応援に行こうと思うのだけど、貴女達もどうかしら?」
正直興味がないが、美芭に逆らう事など出来ずに皆が笑顔で頷いた。そして馬小屋に近づいていくにつれて独特な臭いや激しい土埃に顔を引き攣らせながらも、何とか到着した一同はその場にいる人達を見て驚愕した。
この国の皇帝陛下である龍飛(ロンフェイ)を始め、宰相である紅州王、商いの神と呼ばれる緑州王、そして英雄であり次期青州王である青栄樹、こちらも英雄であり次期白州王である白風雷、闇の番人である黒州王と錚々たる人物達が揃っていた。
そして第二皇子である英雄、黄龍麒(ロンキ)は赤馬に乗り颯爽と走っていた。それを女官達が黄色い声をあげながら見守っていたが、美芭皇女と五人の令嬢達が近付いて来たのに気づき、深々と一礼して急いで逃げて行った。
「美芭様、陛下達へご挨拶に行きませんか?きっと御喜びになりますよ!」
活発そうな令嬢が美芭に進言した。
「そうね、蓉花の為にこんなにも集まっていただいたんだもの。姉として挨拶しないといけないわね?」
笑顔でそう言った美芭だが、怒りを必死に抑えていたのだった。
「さて、蓉花皇女!まずはここに足をかけて、勢いで乗って下さい!踏ん張れ!」
「皇女に向かって踏ん張れなんて言うな!」
遠慮がない小蘭に、慣れて来た蓉花は文句を言いつつも言われた通りに足をかけて馬に乗ろうとする。最初は誰もがうまくいかないのだが、蓉花はすんなりと乗ってしまい、小蘭を始め、龍飛や龍麒を驚かせた。
「凄いです!」
パチパチと自分の事のように喜ぶのは天使のように可愛い末っ子の第三皇子である龍朱(ロンシュウ)だ。
「やるな」
感心する龍麒は、蓉花を少し見直していた。
「おお!初めてですんなり乗れるとは、蓉花よ!素晴らしいぞ!」
初めて父親である龍飛に褒められた蓉花は嬉しくて涙が込み上げそうになる。だが、そんな感動を邪魔する者達が近づいて来た。
「父上、そして皆様」
現れた第一皇女である美芭皇女と名のある家の令嬢達は、皇帝や五大名家、そして英雄達に品のある挨拶をする。
「美芭か、其方は馬に乗れるであろう?何しに来たのだ?」
薄い反応の龍飛達に、美芭の顔が強張る。
「あ、蓉花の応援に来たのです。一緒に狩りに行けるといいなと思いまして、私に教えられる事があればお手伝い致しますわ」
そんな美芭皇女に冷たい視線が突き刺さる。ここにいる者達に媚を売る事など出来るわけがない。裏も表も知り尽くした者達ばかりで、こんな小娘達の戯言を聞くほど暇でもない。
「蓉花皇女、気にしないで始めましょう!」
小蘭は気にする事なく、蓉花と共に馬に乗り訓練を始めた。あまりに失礼な小蘭の態度に唖然とする令嬢達。
「あれは誰ですか?」
「ああ、父上付きの女官で確か小蘭って言ったかしら?」
女官と聞いた令嬢達は怒りの視線を小蘭に向けた。
「龍麒!こっちに来て蓉花皇女の背後にいて!」
「ああ!」
そんな小蘭が龍麒に指示を出した。それを見た美芭皇女と令嬢達は呆れて開いた口が塞がらない。第二皇子に対して女官ごときが馴れ馴れしい態度を取り、それを許すように親しくする龍麒の優しい顔つきにも驚く。
「龍麒殿下が笑う所を始めて見ましたわ」
一人の令嬢が呟く。
小蘭の態度にも驚くが、美芭が更に驚いたのが、蓉花に対する周りの反応であった。
「兄上!もう少し離れて下さい!馬が怖がってますわ!」
「おお、もう馬の気持ちが分かるようになったのか?」
「あんたの存在感は馬じゃなくても怖いわ!」
喧嘩しているように見えるが、それが異常なのだ。前までは顔すらまともに見なかったのに、今では睨み合いながらも楽しく会話をしている。
「姉上ーー!頑張ってーー!!」
楽しそうに手を振る末っ子の龍朱を見て、父親である龍飛が嬉しそうに笑っていた。美芭は酷い疎外感を覚え、沸々と怒りが込み上げて来る。
小蘭と龍麒のおかげなのか蓉花の才能なのか、もう完璧に馬に乗れる様になった。堂々と小屋の前に戻って来た蓉花の元に、龍飛がやって来た。
「蓉花!お前には馬術の才能があるな!」
「そうなんですよ!鍛えたらいい人材になるわ!!」
「ちょっと!皇女!私は皇女よ!?」
いい人材だから私に下さい!と龍飛に交渉する小蘭を必死に止める蓉花。
「才能はあると思うぞ?我が儘で傲慢な皇女より戦上手の皇女の方が良いだろう?」
話を聞いていた白風雷が説得に加わった。
「おい、前半はもう悪口よ!?後半も怖いわ!戦とか怖いわ!」
「今度我々の訓練に参加してみないか?」
大将軍の青栄樹が勧誘を始めた。
「大将軍、私は普通に結婚して暮らしたいので遠慮しますわ」
真面目な青栄樹には真面目に返す蓉花。そんな蓉花を見て激しい嫉妬を覚える美芭皇女。いつの間にか険悪だった白風雷や青栄樹と打ち解けている妹を見て信じられない思いでいっぱいだった。
「天使ちゃん!私と一緒に馬に乗ってみる?」
「うん!兄上みたいになりたいから頑張ります!!」
鼻息荒く宣言する龍朱に、小蘭はほっこりする。
だが、それを聞いていた一人の令嬢が小蘭に近づいていくのであった。
色とりどりの花が咲き乱れた美しい中庭では、美芭皇女と五人の令嬢が優雅に座りお茶を飲みながら世間話をしていた。そこへ美芭皇女付きの女官が急いでやって来て美芭に耳打ちする。
すると美芭皇女の顔色が変わり厳しいものになった。五人の令嬢は不安になるが、顔に出さずに必死に笑顔を浮かべていた。
「そう。蓉花(ヨウホワン)がねぇ⋯。ではわたくしもご挨拶に行かないといけないわね」
「⋯あの美芭様?何かありましたの?」
美芭皇女に声をかけたのは花のように可憐な女性であった。
「ええ、蓉花が馬に乗る練習をしているみたいだから応援に行こうと思うのだけど、貴女達もどうかしら?」
正直興味がないが、美芭に逆らう事など出来ずに皆が笑顔で頷いた。そして馬小屋に近づいていくにつれて独特な臭いや激しい土埃に顔を引き攣らせながらも、何とか到着した一同はその場にいる人達を見て驚愕した。
この国の皇帝陛下である龍飛(ロンフェイ)を始め、宰相である紅州王、商いの神と呼ばれる緑州王、そして英雄であり次期青州王である青栄樹、こちらも英雄であり次期白州王である白風雷、闇の番人である黒州王と錚々たる人物達が揃っていた。
そして第二皇子である英雄、黄龍麒(ロンキ)は赤馬に乗り颯爽と走っていた。それを女官達が黄色い声をあげながら見守っていたが、美芭皇女と五人の令嬢達が近付いて来たのに気づき、深々と一礼して急いで逃げて行った。
「美芭様、陛下達へご挨拶に行きませんか?きっと御喜びになりますよ!」
活発そうな令嬢が美芭に進言した。
「そうね、蓉花の為にこんなにも集まっていただいたんだもの。姉として挨拶しないといけないわね?」
笑顔でそう言った美芭だが、怒りを必死に抑えていたのだった。
「さて、蓉花皇女!まずはここに足をかけて、勢いで乗って下さい!踏ん張れ!」
「皇女に向かって踏ん張れなんて言うな!」
遠慮がない小蘭に、慣れて来た蓉花は文句を言いつつも言われた通りに足をかけて馬に乗ろうとする。最初は誰もがうまくいかないのだが、蓉花はすんなりと乗ってしまい、小蘭を始め、龍飛や龍麒を驚かせた。
「凄いです!」
パチパチと自分の事のように喜ぶのは天使のように可愛い末っ子の第三皇子である龍朱(ロンシュウ)だ。
「やるな」
感心する龍麒は、蓉花を少し見直していた。
「おお!初めてですんなり乗れるとは、蓉花よ!素晴らしいぞ!」
初めて父親である龍飛に褒められた蓉花は嬉しくて涙が込み上げそうになる。だが、そんな感動を邪魔する者達が近づいて来た。
「父上、そして皆様」
現れた第一皇女である美芭皇女と名のある家の令嬢達は、皇帝や五大名家、そして英雄達に品のある挨拶をする。
「美芭か、其方は馬に乗れるであろう?何しに来たのだ?」
薄い反応の龍飛達に、美芭の顔が強張る。
「あ、蓉花の応援に来たのです。一緒に狩りに行けるといいなと思いまして、私に教えられる事があればお手伝い致しますわ」
そんな美芭皇女に冷たい視線が突き刺さる。ここにいる者達に媚を売る事など出来るわけがない。裏も表も知り尽くした者達ばかりで、こんな小娘達の戯言を聞くほど暇でもない。
「蓉花皇女、気にしないで始めましょう!」
小蘭は気にする事なく、蓉花と共に馬に乗り訓練を始めた。あまりに失礼な小蘭の態度に唖然とする令嬢達。
「あれは誰ですか?」
「ああ、父上付きの女官で確か小蘭って言ったかしら?」
女官と聞いた令嬢達は怒りの視線を小蘭に向けた。
「龍麒!こっちに来て蓉花皇女の背後にいて!」
「ああ!」
そんな小蘭が龍麒に指示を出した。それを見た美芭皇女と令嬢達は呆れて開いた口が塞がらない。第二皇子に対して女官ごときが馴れ馴れしい態度を取り、それを許すように親しくする龍麒の優しい顔つきにも驚く。
「龍麒殿下が笑う所を始めて見ましたわ」
一人の令嬢が呟く。
小蘭の態度にも驚くが、美芭が更に驚いたのが、蓉花に対する周りの反応であった。
「兄上!もう少し離れて下さい!馬が怖がってますわ!」
「おお、もう馬の気持ちが分かるようになったのか?」
「あんたの存在感は馬じゃなくても怖いわ!」
喧嘩しているように見えるが、それが異常なのだ。前までは顔すらまともに見なかったのに、今では睨み合いながらも楽しく会話をしている。
「姉上ーー!頑張ってーー!!」
楽しそうに手を振る末っ子の龍朱を見て、父親である龍飛が嬉しそうに笑っていた。美芭は酷い疎外感を覚え、沸々と怒りが込み上げて来る。
小蘭と龍麒のおかげなのか蓉花の才能なのか、もう完璧に馬に乗れる様になった。堂々と小屋の前に戻って来た蓉花の元に、龍飛がやって来た。
「蓉花!お前には馬術の才能があるな!」
「そうなんですよ!鍛えたらいい人材になるわ!!」
「ちょっと!皇女!私は皇女よ!?」
いい人材だから私に下さい!と龍飛に交渉する小蘭を必死に止める蓉花。
「才能はあると思うぞ?我が儘で傲慢な皇女より戦上手の皇女の方が良いだろう?」
話を聞いていた白風雷が説得に加わった。
「おい、前半はもう悪口よ!?後半も怖いわ!戦とか怖いわ!」
「今度我々の訓練に参加してみないか?」
大将軍の青栄樹が勧誘を始めた。
「大将軍、私は普通に結婚して暮らしたいので遠慮しますわ」
真面目な青栄樹には真面目に返す蓉花。そんな蓉花を見て激しい嫉妬を覚える美芭皇女。いつの間にか険悪だった白風雷や青栄樹と打ち解けている妹を見て信じられない思いでいっぱいだった。
「天使ちゃん!私と一緒に馬に乗ってみる?」
「うん!兄上みたいになりたいから頑張ります!!」
鼻息荒く宣言する龍朱に、小蘭はほっこりする。
だが、それを聞いていた一人の令嬢が小蘭に近づいていくのであった。
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