飲尿鬼との生活

カルキ酸

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9 尿道

 眩しさに目を覚ました男は、手だけ伸ばして頭上のスマートフォンを探した。
 ロックを解除すると、液晶画面には日付と時間が表示される。日曜日の13時42分。スマートフォンを枕元に投げた男は、ため息をつきながら天井を見上げた。

 昨晩の疲労感が未だに残り、怠くて起き上がることも出来ない。懲りずに、じんわりと尿意は感じるが、トイレに起き上がるのも億劫だった。

 一度おねしょしたベッドだ。また洩らすくらい、どうってことない。我慢がいよいよになった時は、そのまま身を任せようと思ったところに、笑顔の飲尿鬼が彼を覗き込んだ。
 もう機嫌直したのか、と思いながら、男は気怠げに
「おしっこなら、勝手に飲めよ。俺、疲れて起きられないからさ」
と股間を指差した。

 眠り足りないと目を閉じた男の下着を、彼はずるりと引き下ろす。男は、咥えられたら、出してやる。と軽く股を開くも、飲尿鬼は一向に口に含んではくれない。

 どうしたんだ?と首をもたげて自分の股間を見ると、細く透明な管と洗面器を持った飲尿鬼が楽しそうにしていた。

「何・・・それ」
男の問いに、飲尿鬼は嬉々として
「カテーテルです!今日は、一気飲みがしたくて」
と答えた。

 理解が追いつかず、ぼんやりする男に、飲尿鬼は容赦なくカテーテルの先を男の穴に突っ込んだ。瞬間、尿道に擦り傷のような激しい痛みが襲いかかる。

「いってぇ!!!」
飛び起きた男は、慌ててカテーテルを引き抜く。
「何しやがる!」
 男の剣幕に怯えながらも、飲尿鬼は小さな声で謝罪した。その落ち込む姿に、男も怒りを鎮めていく。

「・・・やるなら、ローション使ってくれよ」
 男は、ベッド横の棚を探る。確か、恋人がいた時に買ったローションがあったはずだ。
 電動マッサージ機や、数種類のコンドームが散乱するなかから、水のりのような容器を取り出す。 そして男は、手のひらにたっぷりとローションを出すと、カテーテルにしっかりと擦りつけた。

「ん」
 カテーテルを飲尿鬼に返すと、再び男は仰向けに寝転ぶ。
 そして妊婦の出産の時のように、膝を立てて股を広げた。下着とズボンが足首まで落ちてきたのが煩わしくなって、全て剥ぎ取り、ベッドの下に投げる。

 やるなら、とっととやれよ。注射が刺される瞬間のちょっとした恐怖を感じながら、男は再び目を閉じた。

 ふいに、性器をそっと持ち上げられて、ぬるりと違和感が侵入してくる。気持ち良くはないが、痛みもない。ホッと胸を撫で下ろしながら、男は大人しくしていた。

 しばらくすると、ジョボジョボと水音が聞こえた。

「え?出てる?」

 男は目線だけ下に向けながら言う。

「はい。いっぱい出てます」
飲尿鬼は、みるみる尿が溜まる洗面器を嬉しそうに眺めながら言った。
「嘘、ぜんぜん感覚ない」
 男は、ゆっくりまばたきをする。おしっこしている気がしないのに、不思議なものだ。

 流れが止まると、飲尿鬼は尿道からカテーテルを抜いた。
「あ」
男が呟く。
「なんですか?」
 飲尿鬼が問う。抜いたカテーテルや陰茎からは数滴の尿が滴り落ち、ベッドの白いシーツに黄色いシミを残した。
「今、抜いたの、ちょっと気持ちよかったかも」
貸して、というように手を出す男に、飲尿鬼は濡れたカテーテルを渡す。

「じゃあ、僕は向こうで飲んできますから。また溜まったら呼んでください」
笑顔の飲尿鬼は、たぷたぷの洗面器を持って、寝室を後にした。

 1人になったあと、男は、仰向けのままそっとカテーテルを尿道に挿した。ゆっくり奥に進めたり、戻したりして遊ぶうちに、ムズムズと感じる箇所を発見する。淡いが、昨晩、尻の中から触られた時と似たような快感。

 ふうぅぅ、とゆっくり息を吐きながら、今度はローションを塗った中指を肛門に滑り挿れていく。ぬるぬると濡れた肉襞を撫でながら、指先で体温を感じる。

 確か、もう少し奥。記憶を頼りに動かしていくと、じわりと感じるしこりを探り当てた。腹の方に向かって押しながら弄ると、快感で、カテーテルを挿したままの陰茎が徐々に上を向く。

 左手でカテーテルを上下しながら擦り、同時に右手の中指で弄る。しばらく楽しみ、疲れたところで指を抜くと、へたりと陰茎は柔らかくなっていく。
 最後まで半勃ちくらいで射精もしなかったが、満足した様子で男は二度寝についた。

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