天空の魔女 リプルとペブル

やすいやくし

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24.先生のあやしい行動

天空の魔女 リプルとペブル

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24.先生のあやしい行動

 週末になった。中等部に入ってからはじめてのお休みだ。
 世の中のことわりをゆがめる魔法という力を使う魔法使いたちは、多くのエネルギーを消耗する。
 そのため休日には魔法を使わず、しっかりと休養しなければならないきまりがある。
 休日には、二度寝したり、昼寝をたっぷり取る魔法使いがほとんどだ。

 ただし、中には「知りたい欲」をおさえきれない好奇心旺盛な魔女もいる。
 ペブルがぐーぐーといびきをかいて寝ているのをたしかめたリプルは、こっそりと部屋を抜け出した。

 こういうときに使い魔がいないのは、身軽でもある。
 もしも、リプルに使い魔がいたとしたら「どこ行くの? しっかり休養しないとダメだよ」などと注意を受けたはずである。

 しかし、自身の体に使い魔の能力を宿しているリプルには、生まれつき使い魔がいない。
 その分、自分のことは自分で管理しないといけないが、生まじめなリプルは、時間の管理はきっちりしているし、 やらなければならない勉強なども、サボることなくこなす。
 ただし、好奇心をおさえることだけは、苦手なのだ。

「中等部には、私の読んだことのない本がいっぱいあるはず。寝てるなんてもったいない」
 リプルは、目をキラキラさせて図書館へとむかった。
 図書館は、中等部の敷地の東のほうにある。魔法界では、東は知恵のエネルギーが満ちる場所とされているからだ。

 中等部の寮を出て東に向かって小道を歩き始めたリプルだったが、ふと、かすかなガラガラという音に気づいた。
 見ると、ホキントン先生が台車にたくさんの本を乗せて校舎を出てきたところだった。先生は、本が落ちないように片手で本を押さえ、片手で台車を押しつつ、西のほうへ向かって歩いていく。
 リプルは首をかしげた。



 西には薬草を育てている温室と、校長先生の家があるだけだけど、先生はなぜ本を運んでいるんだろうか?
 少し迷った後、リプルは先生の後を追うことにした。
 それは、いつもと違って先生の足音がひそやかだったからだ。
 廊下を歩く先生の足音はいつも勇ましく堂々としている。
 しかし、今日の先生は、なるべく足音を立てずに歩こうとしているように思える。

 とは言え、台車の車輪がガタゴト大きな音を立てているので、あまり意味がなかったのだが。
 狼の聴力を持つリプルには、足音の違いがはっきりとわかった。

 そんなわけで、こっそり先生の後をつけはじめたリプルだったが、先生と台車は温室も校長先生の家もとおりすぎてしまった。
(……この先には何もなかったはずだけど)

 中等部を守っているレンガ壁が見えてきた。
 先生は壁に向かってまっすぐ歩いて行く。と、思ったら急に台車を右に曲げた。

 そこには樹齢1000年を超えると言われているケヤキの大木が立っている。
 生徒たちが4~5人で手を伸ばしてようやく幹を囲めるくらい根元は太くて堂々としている。
 先生はケヤキにむかってまっすぐに台車を押していった。
 まったくスピードをゆるめることなく、台車がガラガラとケヤキに迫る。

(ぶつかる!)
 リプルは、思わず目を閉じた。
「ガシャン!」という音がすると思った。しかし、予想していたような音は聞こえない。
 
 不思議に思ったリプルはゆっくりと目を開けた。
 先生の姿も台車も消え失せていた。
「な、なんで!?」

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