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23.飛べなかった理由
天空の魔女 リプルとペブル
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23.飛べなかった理由
その時だった、マーサを助けに向かっていたホキントン先生が「うわっ!」と大声をあげた。
先生は、突然、山の方から吹いてきた黒い突風に100メートルほど横に流されてしまったのだ。
マーサは、目の前にせまってきたガガイルたちになすすべもなく、呆然と立っている。
「あぶない、マーサ」
「助けなきゃ!」ペブルは、とっさに地面をけった。
すると、ふっとほうきが浮かんだ。
リプルとペブルは手をつないだままほうきに乗って空に浮いていた。
でも、そんなことに喜んでいるヒマはなかった。
リプルとペブルは、すぐさまマーサに向かって飛んでいき、「マーサ両手を挙げて」と叫ぶ。
マーサが二人を振り返って、とっさに手をあげた。
その両手をリプルとペブルが片方ずつつかんで、空に持ち上げる。
一瞬の差で、ガガイルの群れが三人の下を駆けぬけていく。
群れが駆け抜けた後の土埃が収まると、そこにさっきまでマーサが持っていたほうきがバラバラに踏み砕かれて残っていた。
「危なかった」リプルがぽつんとつぶやいた。
そのまま、三人は、学校の門の前まで飛んでいき、そっと地面に降り立った。
「リプル、ペブル、ありがとう」
マーサが二人に小さな声でお礼を言った。
そこにホキントン先生も、やってきてほうきからすとんと降りた。
「マーサ、よかったわね」
ホキントン先生は、そう言うと、マーサの肩を軽く抱いた。
マーサは、先生の腕からそっと、逃れるとうつむきながら、小さな声で言った。
「先生…リプルとペブルにまた助けてもらいました」
「また?」先生が笑顔を向けると、マーサが意を決したように顔を上げた。
「はい、魔法の杖を探しに行った時も、本当は、リプルとペブルが助けてくれたんです。私とイザベスが助けてもらったんです」
マーサがしっかりした口調でそう言うと、ホキントン先生がニコリとした。
「そう…マーサ。正直に言えたのね。これで、飛べるわね」
先生の言葉に、マーサは不思議そうな顔をした。
「ほら、これを貸してあげるから飛んでごらんなさい」
ホキントン先生にうながされたマーサは、おどおどしながらも、ほうきにまたがり、とんと軽く地面を蹴った。
すると、ふわっと軽くほうきが空に舞い上がった。
「うわ、私、飛べた」
マーサが空の上で満面の笑みを浮かべた。
「ほら、ペブルも飛んでみなさい。できるでしょ、あなたとても上手に飛んでいたわ」
ホキントン先生にうながされ、我にかえったペブルは、
「そうだった!私、飛んでた」
と、大声と両手をあげてぴょんぴょん飛びはねる。
初めて上手に飛べた喜びが心の底からわいてきたのだった。
興奮が収まるとペブルは
「でも、どうやって飛んだんだっけ…」と、首をかしげながらも、ほうきにまたがり、とんと地面を蹴ったが、何も起こらなかった。
ところが、先生が両手を口の両側にあてて、
「あぶない、ガガイルが!」と、叫んだ。
その瞬間、ひえーっと言いながら、ペブルは、空へと飛び上がった。
「ほら、飛べた」その様子を見た先生は、隣にいたリプルにウィンクしながら言う。
空の上で、ペブルは、ほうきがうまくコントロールできず、豚の丸焼き状態になったりしながら、ふらふらと飛んでいる。
先生はその様子を見守りながらうんうんとうなずいている。
「マーサは、自分の嘘が重しになっていた。だから飛べなかったのよ。ペブルは、そうね、絶体絶命にならないと気持ちが切り替えられないところがあるのよね」
リプルは、先生のその言葉を聞いた時、はっと気づいた。
あたりを見回すと不思議なことにあれだけたくさんいたガガイルたちの姿は一頭も見当たらない。
「先生、もしかして…。あのガガイルたちは、先生の魔法?」
リプルがそう聞くと、先生は、シーッと言いながら、口の前に人差し指を立てた。
その時だった、マーサを助けに向かっていたホキントン先生が「うわっ!」と大声をあげた。
先生は、突然、山の方から吹いてきた黒い突風に100メートルほど横に流されてしまったのだ。
マーサは、目の前にせまってきたガガイルたちになすすべもなく、呆然と立っている。
「あぶない、マーサ」
「助けなきゃ!」ペブルは、とっさに地面をけった。
すると、ふっとほうきが浮かんだ。
リプルとペブルは手をつないだままほうきに乗って空に浮いていた。
でも、そんなことに喜んでいるヒマはなかった。
リプルとペブルは、すぐさまマーサに向かって飛んでいき、「マーサ両手を挙げて」と叫ぶ。
マーサが二人を振り返って、とっさに手をあげた。
その両手をリプルとペブルが片方ずつつかんで、空に持ち上げる。
一瞬の差で、ガガイルの群れが三人の下を駆けぬけていく。
群れが駆け抜けた後の土埃が収まると、そこにさっきまでマーサが持っていたほうきがバラバラに踏み砕かれて残っていた。
「危なかった」リプルがぽつんとつぶやいた。
そのまま、三人は、学校の門の前まで飛んでいき、そっと地面に降り立った。
「リプル、ペブル、ありがとう」
マーサが二人に小さな声でお礼を言った。
そこにホキントン先生も、やってきてほうきからすとんと降りた。
「マーサ、よかったわね」
ホキントン先生は、そう言うと、マーサの肩を軽く抱いた。
マーサは、先生の腕からそっと、逃れるとうつむきながら、小さな声で言った。
「先生…リプルとペブルにまた助けてもらいました」
「また?」先生が笑顔を向けると、マーサが意を決したように顔を上げた。
「はい、魔法の杖を探しに行った時も、本当は、リプルとペブルが助けてくれたんです。私とイザベスが助けてもらったんです」
マーサがしっかりした口調でそう言うと、ホキントン先生がニコリとした。
「そう…マーサ。正直に言えたのね。これで、飛べるわね」
先生の言葉に、マーサは不思議そうな顔をした。
「ほら、これを貸してあげるから飛んでごらんなさい」
ホキントン先生にうながされたマーサは、おどおどしながらも、ほうきにまたがり、とんと軽く地面を蹴った。
すると、ふわっと軽くほうきが空に舞い上がった。
「うわ、私、飛べた」
マーサが空の上で満面の笑みを浮かべた。
「ほら、ペブルも飛んでみなさい。できるでしょ、あなたとても上手に飛んでいたわ」
ホキントン先生にうながされ、我にかえったペブルは、
「そうだった!私、飛んでた」
と、大声と両手をあげてぴょんぴょん飛びはねる。
初めて上手に飛べた喜びが心の底からわいてきたのだった。
興奮が収まるとペブルは
「でも、どうやって飛んだんだっけ…」と、首をかしげながらも、ほうきにまたがり、とんと地面を蹴ったが、何も起こらなかった。
ところが、先生が両手を口の両側にあてて、
「あぶない、ガガイルが!」と、叫んだ。
その瞬間、ひえーっと言いながら、ペブルは、空へと飛び上がった。
「ほら、飛べた」その様子を見た先生は、隣にいたリプルにウィンクしながら言う。
空の上で、ペブルは、ほうきがうまくコントロールできず、豚の丸焼き状態になったりしながら、ふらふらと飛んでいる。
先生はその様子を見守りながらうんうんとうなずいている。
「マーサは、自分の嘘が重しになっていた。だから飛べなかったのよ。ペブルは、そうね、絶体絶命にならないと気持ちが切り替えられないところがあるのよね」
リプルは、先生のその言葉を聞いた時、はっと気づいた。
あたりを見回すと不思議なことにあれだけたくさんいたガガイルたちの姿は一頭も見当たらない。
「先生、もしかして…。あのガガイルたちは、先生の魔法?」
リプルがそう聞くと、先生は、シーッと言いながら、口の前に人差し指を立てた。
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