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41.いつか自分の魔石を
天空の魔女 リプルとペブル
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41.いつか自分の魔石を
「天の魔石を肌石のまま持っているなんて、物を知らないにも程がありますわ」
そう言いながら、自分のポーチの中から大きな赤い指輪を取りだしたのは、イザベスだった。
「私は、お父様がこのような素敵な指輪にしてくださいましたのよ。火の魔石にゴールドの台座がよく似合うでしょう」
イザベスが自慢気に指輪を指にはめてみせる。赤い石の中にめらめらと炎が燃えていた。
「うぉ、炎の天の魔石! おれ、それが欲しかったんだ」
ロッドがうらやましそうに見つめている。
「マーサのもわが家で作ってあげたんですのよ」
イザベスに促されて、マーサがいつも肩からかけているポシェットから緑色の石のついた指輪を取りだした。
中に黄緑色の葉が入っている。
「草の魔石だね」
ジールの言葉に
「へえ、マーサらしい。やさしい石だね」
とペブルが感心したふうに言った。
そして、みんなが一斉にリプルに注目した。
「私……持ってない」
リプルは、うつむきながらそう答えた。
使い魔がいないことに加えて、魔石も持ってないなんて。
(もしかして、私、魔女失格なのでは?)
リプルは、不安がこみあげてくるのを押さえられなかった。
そんなリプルの様子を見てペブルが励ますように言葉をかける。
「大丈夫だよ。私だってつい最近ゲットしたばかりだし、リプルならすぐに手に入るって。だってリプルって魔法得意だし、何だってよく知ってるし」
「そうだよ、天の魔石が現れる時期は人によって違うんだ。手に入る時期の早い遅いは、魔法の能力とは全く関係ないって言われている」
ジールも、リプルを励ました。
しかし、リプルは、これまでに感じたことのないショックを受けていた。
幼稚部でも初等部でも、いつも誰よりも魔法が得意で、みんなに頼りにされていたリプル。
それなのに、自分は天の魔石を持っていないばかりか、その存在すら知らなかったなんて。
リプルは、ペブルやジールのやさしい言葉にも顔を上げることができなかった。
その時、イザベスがさりげなくジールににじり寄ると、お皿に載ったクッキーを差し出した。
「どうぞ、お召し上がりになって。ところで、ジール様は、しばらくここにいらっしゃるのかしら。どちらにお泊まりになりますの?」
ジールは、イザベスに気圧されるように、クッキーを一つ手に取ったが、何かが気になったようで、少し眉をひそめ、後を向いてクッキーの匂いをかいで安全かどうか確かめてから、口の中に放り込んだ。
「今日は一泊して、明日すぐに王都に帰るんだ。宿泊先は、中等部の中にある校長先生の家の離れを使わせてもらうことになっている」
それを聞いたイザベスは、目を輝かせて、
「もし、不便なことがおありでしたら、この私に声をかけてくださいね。私、どなたかのお世話をするのが大好きですのよ。そして、家事も得意ですから」
と、猛烈にアピールを繰り返した。
「ああ、ありがと……う。そうだ、そろそろ魔女学園へと向かわねば。逢魔の刻になると、このあたりといえども危険だろうからね」
ジールは、そわそわと立ち上がった。
「あら、残念ですわ。せっかくお話が弾んでいましたのに」
イザベスは不満気に口をとがらせたが、そっと近寄ってきたペブルが耳元でささやいた一言で真っ青になった。
「ねえ、イザベス。手、臭いよ、ジールもその匂いが我慢できなかったんだよ。きっと」
「ま!」
と、言ったっきりイザベスは絶句した。
ジールに自分を売り込もうと必死だったあまり、手にリギン草のひどい匂いがついていることをすっかり忘れていたのだ。
(私としたことが一生の不覚。このミスをかならず取り返さねば)
イザベスは、奥歯をギリギリと言わせつつそんなリベンジを誓った。
一方、リプルは自分の胸に手を当てて、じっと考えていた。
(私が、天の魔石を手に入れてないのは、まだまだ魔女として足りない部分があるからなんだ。もっとがんばって勉強しなくっちゃ。そして、いつか自分にふさわしい天の魔石を手に入れるんだ)
リプルは、空を見上げながら決意した。
すると、目線の先、はるか遠くの山に虹が架かっているのが見えた。
夕暮れ時の虹は、はかなくもやさしい色合いで空を美しく彩っていた。
「天の魔石を肌石のまま持っているなんて、物を知らないにも程がありますわ」
そう言いながら、自分のポーチの中から大きな赤い指輪を取りだしたのは、イザベスだった。
「私は、お父様がこのような素敵な指輪にしてくださいましたのよ。火の魔石にゴールドの台座がよく似合うでしょう」
イザベスが自慢気に指輪を指にはめてみせる。赤い石の中にめらめらと炎が燃えていた。
「うぉ、炎の天の魔石! おれ、それが欲しかったんだ」
ロッドがうらやましそうに見つめている。
「マーサのもわが家で作ってあげたんですのよ」
イザベスに促されて、マーサがいつも肩からかけているポシェットから緑色の石のついた指輪を取りだした。
中に黄緑色の葉が入っている。
「草の魔石だね」
ジールの言葉に
「へえ、マーサらしい。やさしい石だね」
とペブルが感心したふうに言った。
そして、みんなが一斉にリプルに注目した。
「私……持ってない」
リプルは、うつむきながらそう答えた。
使い魔がいないことに加えて、魔石も持ってないなんて。
(もしかして、私、魔女失格なのでは?)
リプルは、不安がこみあげてくるのを押さえられなかった。
そんなリプルの様子を見てペブルが励ますように言葉をかける。
「大丈夫だよ。私だってつい最近ゲットしたばかりだし、リプルならすぐに手に入るって。だってリプルって魔法得意だし、何だってよく知ってるし」
「そうだよ、天の魔石が現れる時期は人によって違うんだ。手に入る時期の早い遅いは、魔法の能力とは全く関係ないって言われている」
ジールも、リプルを励ました。
しかし、リプルは、これまでに感じたことのないショックを受けていた。
幼稚部でも初等部でも、いつも誰よりも魔法が得意で、みんなに頼りにされていたリプル。
それなのに、自分は天の魔石を持っていないばかりか、その存在すら知らなかったなんて。
リプルは、ペブルやジールのやさしい言葉にも顔を上げることができなかった。
その時、イザベスがさりげなくジールににじり寄ると、お皿に載ったクッキーを差し出した。
「どうぞ、お召し上がりになって。ところで、ジール様は、しばらくここにいらっしゃるのかしら。どちらにお泊まりになりますの?」
ジールは、イザベスに気圧されるように、クッキーを一つ手に取ったが、何かが気になったようで、少し眉をひそめ、後を向いてクッキーの匂いをかいで安全かどうか確かめてから、口の中に放り込んだ。
「今日は一泊して、明日すぐに王都に帰るんだ。宿泊先は、中等部の中にある校長先生の家の離れを使わせてもらうことになっている」
それを聞いたイザベスは、目を輝かせて、
「もし、不便なことがおありでしたら、この私に声をかけてくださいね。私、どなたかのお世話をするのが大好きですのよ。そして、家事も得意ですから」
と、猛烈にアピールを繰り返した。
「ああ、ありがと……う。そうだ、そろそろ魔女学園へと向かわねば。逢魔の刻になると、このあたりといえども危険だろうからね」
ジールは、そわそわと立ち上がった。
「あら、残念ですわ。せっかくお話が弾んでいましたのに」
イザベスは不満気に口をとがらせたが、そっと近寄ってきたペブルが耳元でささやいた一言で真っ青になった。
「ねえ、イザベス。手、臭いよ、ジールもその匂いが我慢できなかったんだよ。きっと」
「ま!」
と、言ったっきりイザベスは絶句した。
ジールに自分を売り込もうと必死だったあまり、手にリギン草のひどい匂いがついていることをすっかり忘れていたのだ。
(私としたことが一生の不覚。このミスをかならず取り返さねば)
イザベスは、奥歯をギリギリと言わせつつそんなリベンジを誓った。
一方、リプルは自分の胸に手を当てて、じっと考えていた。
(私が、天の魔石を手に入れてないのは、まだまだ魔女として足りない部分があるからなんだ。もっとがんばって勉強しなくっちゃ。そして、いつか自分にふさわしい天の魔石を手に入れるんだ)
リプルは、空を見上げながら決意した。
すると、目線の先、はるか遠くの山に虹が架かっているのが見えた。
夕暮れ時の虹は、はかなくもやさしい色合いで空を美しく彩っていた。
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