57 / 103
57.それぞれの思い
天空の魔女 リプルとペブル
しおりを挟む
57.それぞれの思い
「あれっ、さっきトランク積んだ時、こんな箱あったかな?」
荷台に置かれた大きな木箱を見てペブルが首をかしげたが、
「ま、いいか」
と、荷台に乗り込み、すぐに自分のトランクを開けるとクッキーの缶を開け、パリポリとかじりはじめた。
「出発するよ」
ジールの声が聞こえてきて、クッキーを口いっぱいほおばったままのペブルは
「ほおい」
と、返事する。
「うふふ、一人でここにいられるの最高!」
ジールとロッド、リプルは御者台に座っていて、後ろの幌の中は見られる心配はない。
ペブルは、クッキーの缶を抱えたままごろんと寝転んだ。
それから一時間ほど後のこと。
がたがた揺れる馬車の荷台で、ロッドは、ぶすっとした顔をしていた。
その隣で、ペブルは、頭をガクガクさせながら魂が抜けたような顔をしていた。
ロッドがぶすっとした顔をしていたのは、御者台のジールの隣に、自分に代わってリプルが座っていきいきと馬を御していたからで、しかもそれが、自分より上手だったからだ。
しかも、ジールとリプルは、魔法のことや歴史のことと、何かと二人で話が盛り上がる。
(なんだこれ、居場所がない)そう思ったロッドは、途中の休憩場所で荷台へと移動してきたのだ。
リプルの馬を操る様子を誉めるジールを思い返しながらロッドは、
「クッ、負けないぞ」
と、リプルに対して密かにライバル心を燃やしていた。
いっぽうペブルが魂が抜けたような顔をしていたのは、初めて乗った馬車に酔ったからだった。
「馬車に乗りながら、物食べるなんて自殺行為だぞ」
ロッドの厳しい言葉にも、ペブルは返事ができないでいた。
さらに、二人の背後にある木箱の中……息をひそめている人影があった。
「痛っ! もう、何ですの? この揺れ、髪が乱れてしまいますわ」
と、小声で文句を言っているのは、イザベス。
「しっ、イザベス。外に聞こえるわよ」
マーサがあわててイザベスをいさめる。
二人は、こっそり馬車の荷台に置かれていた衣装箱の中に忍び込んでいた。
イザベスが、自分もジールと一緒に王都に行くと主張し、止めるマーサをも引きずりこんだのだった。
そんな事とは知らないリプルたちは、隣村のハルケスを目指してのんびりと馬車の旅を楽しんでいた。
「あれっ、さっきトランク積んだ時、こんな箱あったかな?」
荷台に置かれた大きな木箱を見てペブルが首をかしげたが、
「ま、いいか」
と、荷台に乗り込み、すぐに自分のトランクを開けるとクッキーの缶を開け、パリポリとかじりはじめた。
「出発するよ」
ジールの声が聞こえてきて、クッキーを口いっぱいほおばったままのペブルは
「ほおい」
と、返事する。
「うふふ、一人でここにいられるの最高!」
ジールとロッド、リプルは御者台に座っていて、後ろの幌の中は見られる心配はない。
ペブルは、クッキーの缶を抱えたままごろんと寝転んだ。
それから一時間ほど後のこと。
がたがた揺れる馬車の荷台で、ロッドは、ぶすっとした顔をしていた。
その隣で、ペブルは、頭をガクガクさせながら魂が抜けたような顔をしていた。
ロッドがぶすっとした顔をしていたのは、御者台のジールの隣に、自分に代わってリプルが座っていきいきと馬を御していたからで、しかもそれが、自分より上手だったからだ。
しかも、ジールとリプルは、魔法のことや歴史のことと、何かと二人で話が盛り上がる。
(なんだこれ、居場所がない)そう思ったロッドは、途中の休憩場所で荷台へと移動してきたのだ。
リプルの馬を操る様子を誉めるジールを思い返しながらロッドは、
「クッ、負けないぞ」
と、リプルに対して密かにライバル心を燃やしていた。
いっぽうペブルが魂が抜けたような顔をしていたのは、初めて乗った馬車に酔ったからだった。
「馬車に乗りながら、物食べるなんて自殺行為だぞ」
ロッドの厳しい言葉にも、ペブルは返事ができないでいた。
さらに、二人の背後にある木箱の中……息をひそめている人影があった。
「痛っ! もう、何ですの? この揺れ、髪が乱れてしまいますわ」
と、小声で文句を言っているのは、イザベス。
「しっ、イザベス。外に聞こえるわよ」
マーサがあわててイザベスをいさめる。
二人は、こっそり馬車の荷台に置かれていた衣装箱の中に忍び込んでいた。
イザベスが、自分もジールと一緒に王都に行くと主張し、止めるマーサをも引きずりこんだのだった。
そんな事とは知らないリプルたちは、隣村のハルケスを目指してのんびりと馬車の旅を楽しんでいた。
0
あなたにおすすめの小説
先祖返りの姫王子
春紫苑
児童書・童話
小国フェルドナレンに王族として生まれたトニトルスとミコーは、双子の兄妹であり、人と獣人の混血種族。
人で生まれたトニトルスは、先祖返りのため狼で生まれた妹のミコーをとても愛し、可愛がっていた。
平和に暮らしていたある日、国王夫妻が不慮の事故により他界。
トニトルスは王位を継承する準備に追われていたのだけれど、馬車での移動中に襲撃を受け――。
決死の逃亡劇は、二人を離れ離れにしてしまった。
命からがら逃げ延びた兄王子と、王宮に残され、兄の替え玉にされた妹姫が、互いのために必死で挑む国の奪還物語。
【奨励賞】氷の王子は、私のスイーツでしか笑わない――魔法学園と恋のレシピ【完結】
旅する書斎(☆ほしい)
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞で奨励賞をいただきました】
魔法が学べる学園の「製菓科」で、お菓子づくりに夢中な少女・いちご。周囲からは“落ちこぼれ”扱いだけど、彼女には「食べた人を幸せにする」魔法菓子の力があった。
ある日、彼女は冷たく孤高な“氷の王子”レオンの秘密を知る。彼は誰にも言えない魔力不全に悩んでいた――。
「私のお菓子で、彼を笑顔にしたい!」
不器用だけど優しい彼の心を溶かすため、特別な魔法スイーツ作りが始まる。
甘くて切ない、学園魔法ラブストーリー!
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
つきのさばくで はたらく らくだ(α版)
山碕田鶴
絵本
つきのさばくで はたらく らくだ らくだの おしごと らくじゃない。
月の観光地で働く らくだ が、もっと楽なお仕事を探しに地球へ向かうお話です。
※絵本レイアウトにした改稿版が「絵本ひろば」にあります。
未来スコープ・コンセプト絵本 ―みらいのたまごとカメのトト―
米田悠由
絵本
「ちゃんと ふつうに しなさい!」
──どうして ぼくは みんなみたいに できないんだろう……
森の奥で、のんびり屋のカメ・トトは「みらいのたまご」を見つけます。
そのたまごには、見えた未来 がほんとうになる不思議な力がありました。
トトは、たまごに映る立派な姿を なりたい自分 だと信じて、努力を始めます。
でも、仲間たちとの出会いを通して、少しずつ問いが生まれます。
──それは、ほんとうにぼくが望む未来なのかな?
やがて、たまごは失われ、未来も見えなくなります。
けれどその喪失の中で、トトは気づきます。
「未来は、見えるものじゃなくて、歩きながらつくっていくもの」
誰かに決められた 普通 ではなく、自分のペースで、自分らしく生きることを選んだトト。
違いを抱えた仲間たちとの出会いが、トトの心をほどき、再び歩き出す力をくれました。
挫折と再生、多様性と希望を描いた、すべての 選び直したい人 にそっと寄り添う絵本です。
水色オオカミのルク
月芝
児童書・童話
雷鳴とどろく、激しい雨がやんだ。
雲のあいだから光が差し込んでくる。
天から地上へとのびた光の筋が、まるで階段のよう。
するとその光の階段を、シュタシュタと風のような速さにて、駆け降りてくる何者かの姿が!
それは冬の澄んだ青空のような色をしたオオカミの子どもでした。
天の国より地の国へと降り立った、水色オオカミのルク。
これは多くの出会いと別れ、ふしぎな冒険をくりかえし、成長して、やがて伝説となる一頭のオオカミの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
