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97.天災の塔

天空の魔女 リプルとペブル

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97.天災の塔

「な、何?」
「みんな気をつけるんだ」
 ジールがみんなを気づかう。
 リプルは、いつでも弓がひけるよう準備した。

 しばらくするとかなり離れた場所で、ガラガラと岩がくずれるような音がして、その音が、やがてゴゴゴーという大きな音になった。
 音のする方を見ると、地面からゴツゴツといびつな形をした塔のような物が生えてくるのが見えた。
 それはぐんぐんと上へ向かって伸びていく。

「うわっ、闇の大地のタケノコは、成長早いね」
「ちがうだろ、どう見ても」
「あれは、おそらく闇の天魔たちの天災の塔だ。ヤツらは、地球に天災を起こす前に、塔を作ると聞いたことがある」
 ジールの言うとおり、みるみるうちに塔は、空の岩盤まで届くほどの高さになり、てっぺんがメリメリと音をたてて岩盤に食い込んだ。

「空の岩盤に到達したぞ。塔は闇の天魔たちが、僕らの世界へ攻めかかってくるための、足がかりともなるな」
 ジールの張りつめた声に続けてリプルが言った。
「私も本で読んだわ。そして、塔を作ったら、その次は、生け贄をそなえることにより、天災を起こすエネルギーをためる」

 生け贄と聞いたマーサがハッとした。
「生け贄! まさか、イザベスがあそこに」
「でも、闇の天魔たちが、生け贄に選ぶのは、悪しき心に支配された者だと言うわ。だからイザベスは大丈夫よ」
「リプル、そうでもないかも。いなくなった時のイザベス、ジェラシーの炎を燃やしてたから」
 ペブルの言葉に、リプルが驚く。

「ジェラシー、どうして?」
「リプルが、ジールと一緒にレッドに乗ってたからだよ」
「そうだったの? ! 気づかなかったわ。レッドに乗りたかったなら、言ってくれたら私がライオンに乗ったのに」
「えっと~、そっちじゃないと思うよ」
 ペブルがつぶやく。

 ジールが、状況を整理した。
「イザベスがいなくなったこと、イザベスが悪しき心に支配されていたこと、そして、今あそこに厄災の塔が建っている。と、いうことは、あの塔にイザベスがいると考えるのが自然だろうな」
「みんな、お願い。イザベスを助けてあげて。イザベスは、気位が高くて、生意気だけど、でも誰よりも純粋なの。ずっと近くであの子を見てきた私が一番良く知っているわ。お願い」

「マーサ、もちろんよ。イザベスは私にとっても大切な友だちよ」
 と、リプル。
「うん、イザベスがいてくれないと私が一番困ったキャラになっちゃうし」
 と、ペブル。

「イザベスの心が完全に悪に支配されてしまうまでに、助けださなくては。急ごう」
 ジールの言葉に、みんなが塔をめがけていっせいに走り出した。

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