異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付

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第二章

十話 【腐っても商売人!】

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ススの森では二度も滅多に遭う事も無い魔物に遭っている。

二度あることは三度ある!

っとフラグを立てるも、何事も無く森を抜ける。

本来この街道の危険度は低い。

これが普通なのだろう。

もう一晩野営を覚悟していたが順調過ぎて、夜までにはムイの町に着きそうであった。



結局一度も戦うことなく、初の依頼は終わりを迎えた。

ムイの町に着き姉弟は町に入る為に税金を払う。

キチンとした子供である。


ふたりを親戚の家まで送り届けると、叔母にあたる膨よかな女性が突然の訪問に驚いていた。

だが、事情を聞くと優しく姉弟を迎えいれてくれた。

ふたりに別れを告げ、惣一郎達も宿に向かう。

「いらっしゃい! 宿屋グリアミルチノウエリへって… あら、お早いお帰りだったねぇ、用事は済んだのかい?」

女将を見て疲れも吹っ飛ぶ惣一郎。

無事キネスの街に行って来たと報告し、前と同じ部屋を借りる。

異世界に来て初めてのこの町にも、顔見知りが増えていく事が嬉しかった惣一郎は、今後の事を考えていた。

「ベンゾウ、これからなんだが… どうしたい?」

質問が下手な惣一郎の問いに、

「ベンゾウ、ご主人様と一緒」

っと、これまた下手な答えのベンゾウさん。

ただ、ほっこりとする雰囲気だけが伝わっていた。

「じゃ、旅にでも出るか!」っと、どうしてその答えになったのかは不明だが、今後があっさりと決まった瞬間であった。

ここでジュグルータさんからの情報を待っていても[サトウ]の情報が来ることが無い事は知っている…




翌日、次の目的地を探そうと朝から冒険者ギルドを訪れていた。

お決まりの絡んで来た冒険者を、ベンゾウがあっさり一蹴し、それを気にも止めなくなった惣一郎が掲示板を見ている。

[セルネル城]へ物資の搬送依頼 報酬500ギー

おっ、丁度いいじゃん、これで行こう!

依頼書を取り受付で話を聞くと、荷車二台分の物資を街を三ヶ所程越えた先にある、セルネル城に届けるだけとの事。

荷物は依頼者から受け取るそうだ。

大きなマジックバッグに入らなくても、惣一郎の収納スキルがあれば、手ぶらで行けるし丁度いい。

依頼受ける旨を伝えて、依頼者宅に向かう…





依頼主はジュグルータさんでした。

数日ぶりの再会に、お茶を飲みながら応接室で、惣一郎はここ数日の事を話す。

「いや驚きましたよ、まさかソウイチロウ殿が[銀の疾風]をお連れとは」

銀の疾風? ベンゾウの事かな?

「ベンゾウはご主人様の奴隷! 過去は過去、今はベンゾウ!」

言いたい事を上手く伝えられない苛立ちを、隠せないベンゾウが言葉を挟む。

会話もない長い牢屋生活で語彙力は落ちていたベンゾウだが、コレでもだいぶマシになってきていた。

「そうですな、失礼。こちらとしても依頼をこなせるかどうかが分かれば、問題はありません。ソウイチロウ殿の人柄は問題ありませんが、依頼をこなせる強さはお示しいただきたいのです。失礼ですが特にそちらのベンゾウ殿は、戦えなくなったから奴隷落ちしたと聞いております。護衛は務まるのですかな?」

まぁ、もっともな言い分だな。

「では、どう示せばいいでしょうか?」




庭に案内されるふたりの前に、ニールさんがサーベルの様な武器を手に立っていた。

そういえば元冒険者だったね…

「この執事長ニールと戦っていただきたい。元冒険者だが、いまだ現役に劣らぬ強さを持っております。手加減は無用!」

ニールさんの強さがわかるのか、冒険者の顔になっていくベンゾウ。

「殺すなよ」

ベンゾウはコクンと頷き、両手に包丁を構える。

「始め!」

合図と同時に疾風と化すベンゾウ! 

その素早い攻撃に反応するも、防御が遅れるニールさんの首には、包丁が鈍く光っていた。

えっ、はや!

素晴らしい!っと大興奮のジュグルータさん。

冷や汗をかき、参りましたと頭を下げるニールさん。

それを見もせず褒めて!っと擦り寄るベンゾウさん。

これ大丈夫か? 惣一郎さん…



キラッキラした目でジュグルータさんがベンゾウを見ている。

「こんなにあっさり負けたニールを見たのは初めてだ、素晴らしい! 依頼の件、改めてこちらから指名依頼としてお願いしたい!」

あっさり合格と言う事で、運ぶ荷物を検める事になる。



荷物は木箱に入っており、城で使われる高価な布など、調度品も含まれている。

高価な物だし、ジュグルータさん本人が届けたいそうだが、今回はその都合がつかず、赤字覚悟の高額で依頼を出したそうで… 料金は城に着いてから受け取り側が払うそうだ。

こんな高価な物を…

持ち逃げされないのか?

惣一郎の疑問を浮かべた表情に、ジュグルータが察して答える。

「ちゃんと分かるようにはしてありますので」

わかるように? 何それ怖い…

この木箱の模様かな?

ニコニコ笑うジュグルータ。

これ以上聞くのはやめておこう…



マジックバッグに詰め込めるだけ詰め込み、残りはリアカーに乗せる惣一郎。

そのリアカーを見て、またもキラッキラな目のジュグルータが興奮する。

散々世話になったしなぁ…

お礼も兼ねて二台ほどリアカーを出す。

このリアカー、サスペンション付きで静かな走行を実現!

アルミボディーは美しく、硬くて丈夫! 

軽量の上ノーパンクタイヤと、この世界では最高級の荷車だろう。

仕入れ先は絶対に内緒と強調して、一台100ギーで売れました!

お礼じゃなかったの? あはは…

喜んでいるので、全てよし!

200ギーの臨時収入を得て、セルネル城を目指す旅に、いざ!






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