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第四章

五話 【噛み合わない歯車!】

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「いかがですかな、ププのお味は?」

普通だよな……

下味の付いてない唐揚げだし……

「ど、どうだ? 美味いかベンゾウ!」

「美味い!」

ナイスベンゾウ! 喜ぶ村長! 

「しかし変わったゴーグルですな~ 奥が歪んで見える様な…… いや失礼、お嬢さん。皆さんは冒険者の方々で?」

スワロが冒険者でエリリンテを目指していると、勝手に答える。

すると村長は直接、討伐依頼を受けてくれないかと頼んで来た。

本来ならギルドに依頼したいが、貧しい村な為に依頼料が都合付かず困っていると初対面の惣一郎に、打ち明けて来た。

図々しいにも程がある頼みに「申し訳ない、先を急ぐので」と丁寧にお断りする。

村長は近くの湿地に現れた魔獣のせいで、村周辺の生態系が崩れて来てると話を続ける……

アレ? 聞いてないのかな?

「ほぉ魔獣ですか?」と、スワロが余計な興味を持つもので、

「大変かと思いますが、我々も輸送依頼の途中で先を急ぐ身、申し訳ない」

っと、軌道修正する。

すると村長が湿地のププを食べる魔獣の所為でププが減り、ププが食べるムイムリが異常発生していると言う。

アレアレ? 俺、断ってるよな? 

「それは大変ですね」っとスワロのアホが、また余計な事を言うもんだから、村長は嘘臭くハンカチで涙を拭き出す。

「このままではこの村は……」っと、御涙頂戴!

ベンゾウまで、可哀想、放って置けない!って目で俺を見てくる。

「して、魔獣とは?」

って、もうスワロは黙れ! 

「ご主人様~」

ああもう!って、俺は爆発寸前!

村長は「魔獣は[バリスキラ]です」って、何それ知らん! 無理無理。

「ご主人様~」

始まったよ『可哀想だよ、助けてあげようよ!』とか言い出すんだろベンゾウ!

だが断る!

「バリスキラですか、それはさぞお困りでしょう」ってスワロまでこっちを見てくる!

「このままではこの村は……」っと涙を抑える指の隙間からチラ見する村長。

「ご主人様のププも食べていい?」

えっ! お前はそっちだったの?

「いいよ」

「おお~ ありがとうございます!」

「流石だな惣一郎殿!」

「わーい、お肉~」

アレ?

何が起こったんだ?


知らないうちにバリスキラとか言う、知らない魔獣の討伐に行く事になっていた惣一郎。

明日にでも村の者が湿地まで案内するとの事で、村の宿屋に泊まる事になった……



宿屋の受付には、胸の大きなグラマーマダムがドレスエプロン姿で立っていた。

「いらっしゃいませ、この度は村の為にご助力下さると聞いております。何も無い村ですが、故郷を想う気持ちは村に住む者、皆同じです。宿泊料はもちろんいりませんので、どうかよろしくお願いします」

「何も無いなんて、あなたがいるじゃないですか♡ 任せて下さい! バリスタだかバリアフリーだか知りませんが、私が村を救ってみせましょう♡」

決まった!っと格好付けていると、両腕をベンゾウとスワロに抱きつかれる。

何? 邪魔せんとき~

「まぁ、可愛いお連れさんですね。お仲間ですか?」

「嫁!」

「愛人です」

「そうでしたか、ではお部屋にご案内します。どうぞこちらへ」

ふぇ?




惣一郎は怒っていた。

スワロにはガツンと言っておかねばなるまい!

部屋のベッドに腰を下ろし、腕を組み、眉間に皺を作りスワロに話を聞く。

「ちゃんと説明してもらおうか!」

「あぁ、バリスキラとは大きな魔獣で、長い舌と鋭い牙を持っている四足獣。全身に毛はなく、硬い皮膚で爪と尻尾にも棘がある。大きさは通常、荷馬車程の大きさで素早く、問題は雷を帯びている事だ」

いやそうじゃなくて、なんで勝手に……

「ご主人様~ お菓子食べたい」

お前食ってばっかじゃね、最近。

はぁ、もういいや……

溜め息を吐く惣一郎は、ベンゾウにお菓子あげて、ベットで仰向けに寝る。


「はぁ~ 知らない天じょ「 冒険者様! 」」

コンコンコン! 「冒険者様!」

………… そうか厄日か。





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