異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

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第六章

十話 【ダンジョンへの決意!】

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かれこれ12時間が経過。

まだ巨人には戻らない。

このまま治る事を祈るばかりだ。

「なぁモモ。ダンジョン産の薬って、よくある物なのか?」

「珍しい……と…思います」

「ダンジョン産に弱くなる薬や、何でも治す薬でもあればなぁ」

ネットで毒に効く薬が買えれば効きそうなのだが、処方箋がいる物は買えないし、そもそもなんの毒なのかも分からない。

そんな惣一郎も言うほど知識がある訳でもない。

「いえ……でも…ダンジョンのクリア報酬は……その…強い思いに…左右されると…聞いた事が……」

まどろこしい喋り方だ。

意見を言えない環境で育って来たのだろうか?

「まぁダンジョンは、行ってみるつもりだったし、いっちょ狙って見ますか!」

「おお!」っと返事をしたのは、やはりベンゾウだけであった。

そこでモモが巨大化する! 

半日はもちそうだな…

テントの中にベッドを増やして、明日出発する事にした。





翌朝、ご飯と納豆と味噌汁と和食な朝食を食べ、今度こそエルサムロへ向かう!

意外にモモは、納豆が気に入ったそうだ。

リアクションを期待する惣一郎は面白くない。



クロの荷車で草原を北に進む。

地図によればこの先の小さな森を抜けるとエルサムロの街があるはずなのだが、まっ距離はまだあるので、のんびり行きましょう!

荷車に揺られながら冒険者と言うモモは、どんなタイプか質問すると、槍が得意なのだそうで、魔法は[サーチ]とキュアが使えると言う。

基本このサーチと言う索敵魔法で無駄な戦闘は避けて行くそうだが、残念ながら索敵はクロとベンゾウが普通に出来るので、期待はしていなかった。


モモの心…

『惣一郎様は、面倒臭さそうにしながらも、最後には助けてくださる。ただのキュアにここまでの効果があるなんて…… 本当にすごい。この方が現れなければ、わたくしはずっとあの林を出る事が出来なかったでしょう… 名の知れる大魔導士なのかも知れません…それにマジックバッグを必要としない魔法も… 年上とお見受けするが、ベンゾウ殿とはどういった御関係なのでしょうか… 気になります』



軽やかな足取りのクロは疲れる様子も無く、3人を乗せ荷車を引いて行く。

荷車の秘密を知らないモモには、凄い犬に見えるだろう。

そんなクロが、右遠くに見える岩と木が固まってる場所を気にしてる様だった。

そして進行方向先に見える大岩の手前で足取りがゆっくりと止まり、惣一郎の顔を見る。

何かあるのだろうか…

ベンゾウも腰の小刀に手をかけている。

すると岩陰から数人の異様な姿の男が現れる。

ベルフ? ではない様だが…

オオカミの様な顔に冒険者の様な格好で、手には武器を持っている。

十中八九盗賊の類いであろう、この異様な種族は…

「あれは[ニキ族]! 惣一郎様、逃げましょう… ニキ族です!」

パンダ達の様な、獣人が色濃く出た種族なのだろうか?

逃げる事はないだろうと惣一郎は、荷車から降り杖を持つ。

ベンゾウもすでにクロの前にいる。

「おいおい、賢いワンちゃんだなぁ」

「ウヒョーこりゃ、べっぴんさんだ! 俺がもらうぜ!」

はい、ゲス確定です。

惣一郎の周りにはすでに、苦無が4本浮かんでいた。

「何か用か?」

惣一郎の問いを無視するオオカミ男達は、いやらしい笑みを浮かべ、仲間を呼ぶ。

アオーーーン!

するとクロが気にしてた右の岩場から、さらに七人のオオカミ男が馬に乗り、こちらへと向かって来る。

ヨダレを垂らし、ベンゾウを見る五人のオオカミ男。

モモの顔は引き攣っていた。

「ベンゾウ、そっちは任せた。俺は向こうから来るのをやるよ」

淡々と指示する惣一郎の言葉を聞くと、ニヤっと口元を上げるベンゾウ。

一瞬で五人の背後にまわる!

惣一郎の周りの苦無は回転を始め、まだ遠いニキ族へ飛ぶ。

目の前の獣人の少女が消えた事に遅れて気付くオオカミ男達は、慌てて武器を前に少女を探す。

すると、一番後ろのニキ族の首が落ちる。

ドサっと倒れる音に振り返る四人には、ベンゾウは映らなかった。

宙を舞うベンゾウは四人の後ろに音もなく降りると、また後ろの男が左右の肩から対角線に四つになってバサバサっと崩れる。

馬に乗って向かって来るニキ族も後ろから、惣一郎の苦無の餌食になって行く。

馬で前を走る者は気付かずに、その後を馬だけが追う。

ベンゾウの前の三人が、二人減った事に気付くと、笑みは消えていた。

「な、なんなんだテメー!」

ゆっくり歩き出すベンゾウ、三人は答えないベンゾウに一斉に襲い掛かる。

上から振り下ろされる剣を体を少し捻って、やり過ごすと國千代が両腕ごと首を刎ね、右から来る2人目の突きを背中で無視すると、振りかぶる左の3人目が下半身と分かれる。

ようやく惣一郎の前に馬で着いたニキ族の援軍は、ベンゾウと戦う仲間を見て手綱を引き、後ろの六人に「先にあの女だ!」と振り返る!

だが後ろには、馬だけが六頭いるだけだった。

さらに自分達が来た方向に点々と倒れている仲間を見つける。

突きを躱された男は、なんの抵抗も見せない剣に勢いが余り、バランスを崩し前に出過ぎると、後ろから首を冷たい感触が通過するのを感じ意識を失くす。

惣一郎は鉄球を出し、馬上で振り返り驚く最後の一人に飛ばす。

下顎を鉄球で殴られ、馬から落ちるオオカミ男は地面が回り、すぐには立てずに暴れる。

モモは何が起きたか理解するのに、時間がいる様だった。






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