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第七章

十四話 【仮説】

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謎は考えても謎なので謎のままに!

「ベンゾウ、下は大火事、上は洪水コレな~んだ!」

ダンジョンの謎に、完全に脳のキャパを超えた惣一郎が、謎なぞを出し始める。

「焼肉!」

「ぶっぶー ん? なんで焼肉? 上の洪水は?」

すでにヨダレを垂らすベンゾウだった。

なるほど…… じゃ正解なのか?

ここはダンジョンである。しかも未踏の地!

モモはそんな緊張感の無いふたりを見て、肩を落とす。

『お鍋じゃ…無いのですか……言わなくて良かった』



ボス部屋に到着。

「意外と早く着いたな~」

大きな扉を開けると、一本の木が生えていた。

コレは…… アレだよな……

木は目を見開き、大きな口を開けると枝で攻撃をしてくる。

鞭の様にしなる枝は、惣一郎に届かない……

根付いているのか、動こうともしない。

惣一郎は、攻撃の届かないその場で、薪を取り出し着火剤で火をつけると、木の根元に投げるを繰り返す。

次第に火は大きくなり、枯れ木の魔物に燃え広がる。

3人と1匹は、ただ燃える木を無言で見ていた。

宝箱が出る部屋の魔物の方が、毎回強い気はしていたが、階層のボスはランダムで決まりは無いのだろうか……

またダンジョンの謎にハマる惣一郎だった。

燃え尽きた木は宝箱を出さなかった。

アレ? ボスは確定じゃ無いのか?

奥の階段を降りて行き、また魔法陣があるスペースの端で、テントで休む。

食事を済ませた後、惣一郎は階層主は必ず宝箱を出すと聞いていたが、例外もあるのだろうか?っとその事を考えていた。

惣一郎はふと、ダンジョンが魔物と言う事を思い出す。

ダンジョンに餌をあげずに燃やしたから、褒美をくれなかった……

階層主は、強さじゃなくダンジョンが食べたい魔物?

惣一郎は、仮説が妙にハマった様な気がした。

冒険者と魔物をおびき寄せ、戦わせて養分を獲るダンジョン……

「なぁ、ベンゾウ。さっきオーガと戦った時、何を考えてた?」

「うんと…… 分かんない」

「オーガの、あの攻撃を躱しながらそんな余裕ないか!」

「あ、でも楽しかった!」

「楽しかった?」

「うん、ご主人様と初めて船乗った時も楽しかった!」

やはり、そう言う事か……

強く思えば、欲しい物が手に入るダンジョン。

惣一郎の仮説が正しければ、ダンジョンに終わりなんて無い気がした……




よく寝た後、軽く食事を摂り、階段を降りて七階層に入る。

七階層は森の中だった。

ダンジョンが魔物をおびき寄せる餌が、住みやすい環境なのだろうか? 早速トロールが現れる。

「ベンゾウ、少し休んでて、俺がやるから!」

コクンと頷くベンゾウが下がる。

惣一郎は苦無を出し印を結び、現れたトロールの頭部に簡単に穴をあける。

森の中をモモの案内で進みながら、出てくるトロールを惣一郎が倒して行くと、21匹目で宝箱を出す。

ダンジョンからのご褒美だ。

モモは? 大丈夫と頷く。

宝箱を開けると中には、皮の胸あてが入っていた。

まだ思いが弱かったのか、そうそう欲しいものは貰えない様だ。

「残念……」

惣一郎達は、また奥を目指して歩き出す。





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