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第八章

十六話 【復讐】

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惣一郎は、あのまま巻き込まれていては、自分がこの国を壊しかねないと、頭を冷やしに街に来ていた。

「結局全部、王子が招いた、この国の問題じゃね! 何で俺が巻き込まれてこんな思いを……」

「おっしゃる通りかと」

惣一郎だけでは城を出るのも大変だろうと、宰相さんがなぜか、お供をしてくれていた。

「何処か興味があればご案内致しますぞ!」

「ご飯!」

「えっ、さっき食ったでしょ?」

宰相さんは、街の穴場を色々と案内してくれた。

行く店々で宰相さんは、流石に顔が知れてる事もあり驚かれるが、人柄の良さなのだろう何処に行ってもすぐ人集りが出来る。

街はまだエリシアの帰国と兄[エリオット]の追放でお祭り騒ぎであった……



夕方、城に戻るとモモが待っていた。

「惣一郎様……街はいかがでしたか?」

「あぁ、いい街だな」

惣一郎はそのまま、王の部屋へ案内される。

部屋には王の他に、宰相さんとモモ、ヌイバリだけで、大臣達はいなかった。

すると王様が立ち上がり、

「惣一郎殿、国の問題に巻き込んでしまい誠に申し訳ない。だが厄災に対しこの国はあまりにも無力…… 国の為、民の為にどうか御助力願いたい」

深々と頭を下げる王に惣一郎は、

「わかりました、約束はお忘れなく」

と答えると、その場にいた全員が頭を下げる。

何でベンゾウも?



またまた部屋を変え、モモとヌイバリとマルジさんに、今掴んでる情報を教えてもらう。

先ず隣国との関係から……

隣国の[ワーテイズ国]とは、戦争とまでは行かないが、物流も無く、お互い領土を広げる余裕もない為、睨み合いが続いてる状況と。

厄災については……

最後に目撃されたのは280年前? 魔族が地中に閉じ込め封印したとの伝承で、それによると2本の触角に強靭な顎の漆黒の厄災で、体長は1m程、それが何千匹と街を襲っては地中の巣へ列を作るという…… アリかな?

モモの兄、エリオットについては……

消息は掴めてないが、封印の鍵となる魔道具を手に入れたとの報告はあり、隣国ワーテイズと手を組んだとの情報だが、詳細は不明。

一部の関係者止まりの可能性もあり、既に追放となっている兄の処遇については、今回の件から最悪、殺しても問題ないと……

時期と場所について……

封印された場所は、国境から約50kmと割と近く、魔獣などの死体を使いこちらの国へ誘導するだろうと予測され、すでに近隣では大規模な魔獣狩りが行われているとの情報もあり、時期的にもまだ一週間は先になると予想される。

なるほど短期間でよく調べている。

だが厄災をそんな簡単に誘導出来るのか?

その後は? 

よく分からん復讐を思いつく兄だ。

軍務大臣のマルジさんに確認する。

「俺の仕事は、厄災からこの国を守るだけでいいのか? 厄災が矛先変えてその隣国を襲っても問題はないのか?」

「ふむ、ワーテイズ国からの攻撃なら問題ないが、そうだな先にエリオット元王子が何処まで介入しているか知る必要があるか……」

「その方がいいですよね、国が関係してなければ元王子がした事だアロス国からの攻撃と思われかねない」

「了解した、急ぎワーテイズを調べよう」

厄災に襲わせるか、戦争の火種を作らせるか、エリオットの狙いもその辺りかも知れないな……


もしそうなら……

「命懸けの復讐か、やっかいだな……」





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