212 / 409
第十一章
九話 【救助に来ました!】
しおりを挟む
海と違い、波が高くないので揺れもない。
湖の船は惣一郎の心配をよそに、快適そのものだった。
対岸までは半日程で着くそうで、のんびり遊覧船気分で、はしゃぐベンゾウとクロだった。
頼むから、もう落ちるなよ。
「なるほど…… 陣唱紙は魔導書みたいな物か」
「工程はほぼ同じですが、全く違います。魔導書の先に在るのが陣唱紙なのです」
「そうなの? 魔導書作る方が凄いと思ってたけど……」
「ある程度、一つの魔法を使い続けて理解が進むと、魔導書は割と多くの人が作れます。ですが陣唱紙は、その理解が進んだ人の記憶を切り分けると言うか…… 説明が難しいですが、封印術の様に思って頂けると」
「なるほどね~ さっぱり分からん」
「ええ、学者でも理解の及ばない世界です。コレを学会で発表した方は、正しく天才でしょう。ですが、その工程に問題があったそうで、学会を追放されたと聞きます」
人の居ない客室のベンチで、湖を眺めながらクオンと話していた惣一郎。
そこに現れた弁慶が、
「すまん旦那様…… 船長を殴ってしまった」
聞きたくありません……
夕方には対岸が見えてくる。
対岸の港も倉庫と家が並び、マリュウショの町程では無いが、町と言っても差支えない様な所であった。
船を降りると甲板で、何やら叫ぶ船長らしき人影が船乗りに押さえ付けられているのが見えたが、無視しよう……
「こちら側にギルドは無いので宿になりますが、どうしますか?」
「宿だとクロが泊まれないので、食事をしたら町を出て、テントで休もう」
だが、ベンゾウが顔を横に振る。
美味い店が無いと言う事かな。
残念だがそのまま町を出て、テントで夕飯になりそうだ。
町を出ると林が広がり、国境の街までの道が伸びていた。
暗くなって来たので、この辺にしよう。
テントの中でクオンのベッドを出し、仕切りを置くと驚かれる。
「これじゃ宿など要らない訳ですね」
夕飯はカレーうどん。
残ったカレーを蕎麦つゆで薄め片栗粉でとろみをつける。
白いローブに飛ばしまくるクオンだったが、箸が止まらない。
後でクリーンで綺麗にしてやろう。
余談だが、この世界で箸は普通に使われていた。
特にマナーはない様で、持ち方は様々だが、このクオンの箸の使い方は、今まで見た中で一番上手かった。
翌日から林の中を進み始め、二日経ってもまだ林の中だった……
相当な広さだ。
すると、ベンゾウの耳が動く。
「ご主人様、誰か戦ってる!」
クロを急がせると、道に冒険者の遺体が転がっていた。
ベンゾウが林の中でまだ戦っていると言うので、荷車を降りて走り出す。
3人の冒険者が、オークと交戦中だった。
「助けるぞ!」
理喪棍に引っ張られる様に飛び出す惣一郎は、オークの群れの中に突っ込んでいく。
幻腕でオークを殴り飛ばすと、ククリ刀を4つの円盤にして、冒険者を囲み結界を作る。
ベンゾウは端から閃光になり、バタバタとオークを斬り倒して行く。
遅れた弁慶が侃護斧でオークを潰して行く。
冒険者ギルドのギルドマスターは、その光景に、瞬きを忘れる。
「あ、あれは…… ハイオークですよ……」
惣一郎は3人の冒険者に薬草を出すが、1人は胸に大きな傷があり意識がなく、もう1人はすでに事切れていた。
最後の1人も出血が目立つ。
それ以上に奥歯をガチガチ鳴らし、完全に状況が分かってない様子だった。
「クオン、この人達を頼む!」
はっ!っと我に帰るクオンは、慌てて駆け寄り冒険者の手当てを始める。
「ベンゾウ! 弁慶! ここを頼むわ」
大分数を減らした弁慶が駆け寄り、
「旦那様は?」っと聞くと、
ベンゾウが急に現れ「私もアレと遊びたい!」っと視線を飛ばす。
「だ~め。俺がやるの!」
幻腕を実戦で試したい惣一郎が、理喪棍を片手に歩き出す。
前には、大きなハイオークの王がいた。
湖の船は惣一郎の心配をよそに、快適そのものだった。
対岸までは半日程で着くそうで、のんびり遊覧船気分で、はしゃぐベンゾウとクロだった。
頼むから、もう落ちるなよ。
「なるほど…… 陣唱紙は魔導書みたいな物か」
「工程はほぼ同じですが、全く違います。魔導書の先に在るのが陣唱紙なのです」
「そうなの? 魔導書作る方が凄いと思ってたけど……」
「ある程度、一つの魔法を使い続けて理解が進むと、魔導書は割と多くの人が作れます。ですが陣唱紙は、その理解が進んだ人の記憶を切り分けると言うか…… 説明が難しいですが、封印術の様に思って頂けると」
「なるほどね~ さっぱり分からん」
「ええ、学者でも理解の及ばない世界です。コレを学会で発表した方は、正しく天才でしょう。ですが、その工程に問題があったそうで、学会を追放されたと聞きます」
人の居ない客室のベンチで、湖を眺めながらクオンと話していた惣一郎。
そこに現れた弁慶が、
「すまん旦那様…… 船長を殴ってしまった」
聞きたくありません……
夕方には対岸が見えてくる。
対岸の港も倉庫と家が並び、マリュウショの町程では無いが、町と言っても差支えない様な所であった。
船を降りると甲板で、何やら叫ぶ船長らしき人影が船乗りに押さえ付けられているのが見えたが、無視しよう……
「こちら側にギルドは無いので宿になりますが、どうしますか?」
「宿だとクロが泊まれないので、食事をしたら町を出て、テントで休もう」
だが、ベンゾウが顔を横に振る。
美味い店が無いと言う事かな。
残念だがそのまま町を出て、テントで夕飯になりそうだ。
町を出ると林が広がり、国境の街までの道が伸びていた。
暗くなって来たので、この辺にしよう。
テントの中でクオンのベッドを出し、仕切りを置くと驚かれる。
「これじゃ宿など要らない訳ですね」
夕飯はカレーうどん。
残ったカレーを蕎麦つゆで薄め片栗粉でとろみをつける。
白いローブに飛ばしまくるクオンだったが、箸が止まらない。
後でクリーンで綺麗にしてやろう。
余談だが、この世界で箸は普通に使われていた。
特にマナーはない様で、持ち方は様々だが、このクオンの箸の使い方は、今まで見た中で一番上手かった。
翌日から林の中を進み始め、二日経ってもまだ林の中だった……
相当な広さだ。
すると、ベンゾウの耳が動く。
「ご主人様、誰か戦ってる!」
クロを急がせると、道に冒険者の遺体が転がっていた。
ベンゾウが林の中でまだ戦っていると言うので、荷車を降りて走り出す。
3人の冒険者が、オークと交戦中だった。
「助けるぞ!」
理喪棍に引っ張られる様に飛び出す惣一郎は、オークの群れの中に突っ込んでいく。
幻腕でオークを殴り飛ばすと、ククリ刀を4つの円盤にして、冒険者を囲み結界を作る。
ベンゾウは端から閃光になり、バタバタとオークを斬り倒して行く。
遅れた弁慶が侃護斧でオークを潰して行く。
冒険者ギルドのギルドマスターは、その光景に、瞬きを忘れる。
「あ、あれは…… ハイオークですよ……」
惣一郎は3人の冒険者に薬草を出すが、1人は胸に大きな傷があり意識がなく、もう1人はすでに事切れていた。
最後の1人も出血が目立つ。
それ以上に奥歯をガチガチ鳴らし、完全に状況が分かってない様子だった。
「クオン、この人達を頼む!」
はっ!っと我に帰るクオンは、慌てて駆け寄り冒険者の手当てを始める。
「ベンゾウ! 弁慶! ここを頼むわ」
大分数を減らした弁慶が駆け寄り、
「旦那様は?」っと聞くと、
ベンゾウが急に現れ「私もアレと遊びたい!」っと視線を飛ばす。
「だ~め。俺がやるの!」
幻腕を実戦で試したい惣一郎が、理喪棍を片手に歩き出す。
前には、大きなハイオークの王がいた。
29
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる