異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む！

第十一章

十三話 【うんざり！】

中庭に行くと石畳の闘技場の様な場所があり、3人の冒険者を指導する教官の様な男がいた。

人目があるウチはテントは出せないと、場所だけ確認する事になる。

「ギルド長、そちらは？」

戦闘訓練中の教官らしい男が、ガントールに話しかける。

「ジビカガイライの皆さんです。悪いが今日は中庭を使用しない様にお願いします」

「おおぉ！　噂のジビカガイライですか！　わかりました訓練はここまでで、ですがギルド長！　噂のジビカガイライ様に是非ともご指導願いたいのですが！」

どんな噂か知らないが、この男は信じて無い馬鹿にした笑みだった。

「［アガシ］！　大事なお客様ですよ！」

「構いませんよ！」

ガントールが惣一郎を見る。

「構いませんよ。5人でいいのですか？　戦える人がいれば、全員呼んで来てくれても構いませんよ」

惣一郎が歩き出し、闘技場に入る。

固まる4人に惣一郎は、

「ほら、早く呼んで来て下さいよ！」

「い、いや、私が」

「呼んでこいよ！　お前みたいなのが後から出てきても面倒だし、全員呼んで来て下さいよ！」

額に汗をかき始める教官のアガシ。

虎の尾を踏んだ！っと頭を抱えるガントールとクオン。

惣一郎は笑顔だった。

「何してるの早く！　固まってないでほら！」

教え子の3人を前に引けなくなるアガシが、持っていた剣を構えようと前に向けると、鉄球が剣を砕く。

「雑魚一人が向かって来てどうするのよ！」

惣一郎の周りにはどんどん鉄球が浮かび上がる。

もう惣一郎は笑っていなかった。

「いちいち絡んで来られて、本当うんざりなんだわ。さっきもウチの仲間が絡まれたし、お前らギルドじゃ誰かれ構わず絡めって教えてるのか？」

剣を折られた際に手首も折れたのだろうアガシが、右手首を庇いながら震えた声で、

「す、すいません……でした……」

っと視線をずらす。

ガントールが直ぐに割って入り、惣一郎に頭を下げる。

「あと仲間の募集も一切してませんので、審査もしてません！　次そんな奴が現れたら、冒険者を続けられなくしますので！」

「わ、分かりました。直ぐにでも通達をし、各ギルドで徹底させます。申し訳ありませんでした」

ガントールに連れられ、去って行く冒険者達。

中庭には惣一郎達だけになった。

惣一郎の虫の居所が悪い時に、運がない冒険者だった。




テントを出し、お茶を淹れる惣一郎。

いかんいかん、魔王ルートは避けなければ……

早くも感情のままに振る舞う惣一郎だった。

『アタイの為に……　あぁ旦那様～♡』

ここにも暴走する者が……




翌朝、国境を越える為に関所へ向かう。

昨日からよそよそしいクオンが職員と話し、簡単に通る事が出来た。

橋を渡り対岸の町に入る……