異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付

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第十一章

二十九話 【請負人】

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惣一郎は獣王のジンに、ベリルについて話し始める。

「なんだその腕、野郎にやられたのか」

「自業自得だけどね」

自分の苦無が返ってきてやられた結果だと話すが、それで得た物もあった。

「取り敢えず、奴の狙いは分からないが、また来る可能性が高いので注意した方がいい」

「なるほどな……」

「ウチのベンゾウとクロは、奴が姿を変えても近くに来ればわかる」

獣王は目を閉じ、深く考えていた。

「お前ら、席を外せ! 惣一郎とサシで話がしたい」

獣王が部屋にいた者に退室を命じる。

惣一郎もベンゾウ達に外で待つ様に頼む。

獣王は立ち上がり、惣一郎の前に立つと、

「惣一郎、今回は運が良かった! 野郎は知り合いの死体に乗り移っていやがったからな! 死んだ人間が現れたんだ、すぐ気付いて返り討ちよ! だが、真っ向勝負なら勝てたんだがこのザマだ。獣王なんて呼ばれて恥ずかしいぜ」

「ベリルはそれで、ワーテイズの王族を殺したんだ、奴の強みはその転生魔法だ」

「そうそれだ、倒した所でキリがね~ どうする気なんだ?」

惣一郎は幻腕を出して、獣王に見せる。

「なっ、なんだそりゃ! とんでもねぇ魔力だ……」

惣一郎が握手を求める。

「触れても?」

獣王は手に触れると顔色を変える!

「なるほど…… 捕まえりゃ逃さねぇってのは分かった。だが、自爆されたらどうする? 陣唱紙じゃその左腕も効かねぇぜ!」

惣一郎はアイテムボックスから強回復薬を出して、獣王に見せる。

「耐えるさ! 耐え切れば奴は死ぬ」

「ハハ、アッハハハハ~ 狂ってるな、惣一郎! 確かに…… 気にった! 気に入ったぜ!」

獣王は笑いながら惣一郎に、紫色の玉を差し出す。

「野郎の狙いはこれだ、お前が持ってろ!」

えっ! 宝じゃ無いの? 

「お前が持ってりゃ、野郎はお前の前に現れるだろう! 押しつけてやるよ、ベリル討伐を」

「ハハ、獣王も大概狂ってるな!」

「だろ! ハハハ!」

初対面の惣一郎に、各国が危険視する宝を簡単に差し出す獣王! 

確かに狂っていた。

だが、転生魔法のせいで他に手が無いのも事実。

倒しても被害を出し、いずれ奪われるなら気に入った相手に! 

シンプルな答えに惣一郎は好感が持てた。

ジンは人を呼び、宴の準備をさせる!

そこで大々的に、死玉は惣一郎に譲ったと話す!

話はすぐに広まるだろう……

宴は、遅くまで盛り上がる……




この街の建物の屋上には、あちこちに畑が広がっていた。

スペースの有効活用だろう……その一角を借り、テントを出す惣一郎は、ヒロヨシーに連絡を取っていた。

『わかりました、それとなく惣一郎殿が死玉を持っていると話を広げましょう! 以上』

『ああ、頼むよ。 以上』

後は周りを巻き込まない場所で、待ち構えるだけかな?

獣王にでも相談してみるか……




惣一郎はギルドで、ベルフなど溜まった魔獣を売ろうと訪れていた。

静まり返るギルドの受付で、買取をお願いすると、慌ててガラガが現れる。

職員に「後は私が」的な態度で引き継ぐと、惣一郎を買取解体の倉庫に案内する。

「それで惣一郎殿! 何をお売りに?」

「ええ、出して良いですか?」

ガラガもそれなりに覚悟していただろうが、ライノルフの数に驚き、その王に言葉を失う。

「まだあるんだが、ここじゃ出せないと思う」

長年このギルドで働いて来たガラガは、土地柄的に他所より高額の買取をこなして来たが、ライノルフの王は初めて見た様だ。

更にその上があると言うのか?

倉庫を出た裏庭に、惣一郎はムカデを2体出す。

ギルドの建物から見ていた職員や冒険者が驚き集まり出す。

昨日の一件で、惣一郎を恐怖の対象と見ていた冒険者達も、憧れの眼差しに変わっていく。

「すまん惣一郎殿、金額がすぐ出ないので時間が欲しい」

惣一郎は了承してギルドを後にする。

ベンゾウも弁慶も誇らしげだった。






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