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十二章

八話 【小さな幸せ】

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翌朝、新しいテントにベッドを並べ寝ていた惣一郎達が、外の賑やかな音で起きる。

外では、美王の元気な声に従うドワーフ達が歌いながら、崩れた外壁を修理していた。

「惣一郎殿! いや~ お見事でしたぞ!」

笑顔のギルバンが、大きな顔を覗かせる!

「こんなに嬉しい事は、ほんと久々じゃ!」

そこに美王も降りて来る!

「惣一郎! ソナタが妾の間違いを気付かせてくれた! 本当に感謝するぞ!」

化粧っ気の無い、美王の笑顔は本当に綺麗だった。 

ドワーフにしては……

「いや、まぁ、たまたまです! たまたま」

「謙遜するな! 後で屋敷に寄れ、魔獣討伐の褒美を渡すからの! ほれ、お前達! 声が小さいぞ! もっと歌わんか!」

朝から元気なドワーフ達は、楽しそうに歌いながら、次々と外壁を直して行く。



朝食を済ました惣一郎は、風呂桶を取りに向かう。

「やぁ、惣一郎殿、昨夜は楽しかったの!」

ゴマサも機嫌が良さそうだ!

「出来てますよ、良い出来です!」

おお~ イメージ通り! 

「ありがとう、良い出来だ! それでいくらだ?」

「安くするよ! 310ギーね!」

コイツらボッたくる気なのか?

「アスラの木は高級品ね! それでこの値段はココだけなのね!」

くそ、相場が分からん……

先に見積もり取ればよかったと、仕方なくお金を払う惣一郎。

ドワーフへの依頼は高額なのか…… いい勉強になった。


早速戻って試したくなる。

テントの風呂用のスペースにタイルを敷き、新しい桶を設置!

水をウォーターの魔法で入れる。

結構な量だが最初だけだ!

すると濡れた熱石が、淡い光を帯びる。

この量だ結構な時間がかかると思われるので、観葉植物などを置き、お風呂グッズも並べ、しばらく放置する。

上手くいけば、毎回出し入れしなくても、温泉の様にいつでも入れる!

そう考えると、高くない気もして来る。

ついでに、トイレもテント内に設置して仕切りを付ける。

防音シートも巻いておこう!

スライムは見つけ次第たまに入れる程度だが、今のところ問題ない。

屋外用のキッチンも置き、タンクに水を入れておく。

排水は樽にいくようにする。

カセットコンロも置き、もう完璧に家である!

楽しそうな惣一郎だった。

「後は、気付き次第でいいか!」

「ご主人様! ご飯食べるところは?」

ワン!(我の寝床は?)

すっかり忘れていた!

真ん中にフローリングタイルを敷き詰め、大きなテーブルとベンチを並べる!

クロの所には板を敷き低反発の大きなクッションを置く。

くつろげるソファーも置くと……

何という事でしょう~

あの広かったテントが匠の業で、もう手狭に!

「ん~ ま、いっか!」

ベッド横にはクローゼットも置けたし!

「さて、風呂は……」

うん、あったかい!

さっそく全裸で飛び込むベンゾウ!

「普通よ~ 一番風呂は譲らねぇか? ご主人様に!」

隣で脱いでる途中の弁慶が、固まる。

コイツら……

まぁ、いいだろう!

入浴剤を入れて、惣一郎も入る。

「最高だ~!」

湯船の中の段差に座り、足を浮かせる惣一郎!

弁慶も深い所に座ると肩まで浸かれる!

「ふぁ~ 最高だ~ 旦那様~」

ベンゾウはうつ伏せで水死体の様に浮いている。

白い尻から生えた尻尾が、嬉しさを伝える。

高い買い物した甲斐はあったな~ ぽっかぽか!







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