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十二章

十七話 【騎士との遭遇】

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惣一郎は、やはり砂漠用のテントも作ろうと決心する。

朝食は、作り置きのおにぎりを食べながら、みんなで砂漠迷彩のテントを組み上げる。

元のサイズだが、背に腹は代えられない。

出来上がると、新たにベッドを置き、家具は全て新調する。

毎度移動するのも面倒なので。

出来上がると、風呂だけは別で収納し、大きなテントも収納する。

完成した砂漠バージョンのテントの中は、砂だらけだった。

「ほんと厄介だな~」

クリーンでも砂は対象外。

「旦那様、テレポなら砂だけ外に出せるかも!」

「だといいが、一粒づつは勘弁だぞ」

淡い期待が更に、ダンジョンへの期待値を上げる。

惣一郎達はまた舟に乗り、オアシスを目指す。

砂漠の上1mの高さを滑る様に、省エネで飛んで行く。

景色は変わらず、地平線の向こうまで砂漠が広がる中、小さな影が見える。

近づくと徐々に数を増し、それが建物の残骸である事が分かる。

「遺跡か?」

元は大きな街があったであろう遺跡には、あまりいい思い出が無い。

そのまま通り過ぎようとすると、遺跡の影でワニと戦う冒険者がいた。

助けがいるか様子を伺うと、この冒険者……

強い!

体格の良い男の冒険者は盾に片手剣で、数匹のワニを倒し、最後の一匹を盾でいなし、剣を突き刺し倒す。

剣闘士の様な、無駄の無い動きであった。

見惚れた惣一郎は、舟をおろし声をかける。

「いや、お見事! 助けがいるかと思ったが、要らぬ心配だった様だ!」

「誰だ?」

「同業者かな? オアシスを目指している」

「冒険者か、気遣い感謝する」

冒険者はワニを解体し始めながら、自己紹介を始める。

「我は[ギリシアルイン王国]の冒険者[ダリダリ]と申す、この砂漠で宿敵を倒す為、旅を続けている」

「宿敵? あぁ、ジビカガイライの惣一郎だ」

「ほう、其方があの!」

どの?

「この様な場所でお目にかかれるとは……」

「ご存じで?」

「もちろん! 我が国でもその名は通っておる」

マジか……

ジジイ口調だが、見た目30前後のこの男、手早くワニを解体すると、マジックバッグに仕舞い込み、入り切らない分を焼き始めた。

「何かの縁だ。新鮮なゲーゲートを馳走しよう!」

「えっ、あ、ありがとう……」

ベンゾウはすでにヨダレを垂らしながら、手伝っている。

ならばと、惣一郎はテーブルを出し、飲み物や付け合わせを並べ出す。

ダリダリが焼けたワニの肉を皿に置いていく。

「熱いうちに食うが良い!」

「頂きます!」

ワニは予想よりチキンだった。

味付けもなく、焼いただけのワニが美味い!

「美味いな! いやこれなら……」

惣一郎はコンロを出して、鍋に油を入れ、密封パックに片栗粉や調味料小麦粉を入れ、唐揚げを作り始める。

ダリダリも、初めて見る料理法に興味を持ったのか、ただ焼くだけの料理に飽きたのか、いつの間にかテーブルに座り、惣一郎の料理を待っていた。

「出来たぞ! 熱いから気をつけて食えよ!」

大皿に、どんどん盛り重ねていく惣一郎。

その一つをフォークに刺し、一口で頬張るダリダリ。

「あ、ふぉ、ハァ、フォ、美味い!」

その一言で多くを語らず、だが手も止まらないダリダリ。

ベンゾウ達も美味そうに頬張る!

確かにコレは美味い!

たまらず惣一郎はプシュ!っと、ビールを飲み出す。

みんなにも!っと、テーブルにビールを並べる。

ダリダリも、唐揚げとビールが、相当気に入った様だ!





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