異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付

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十二章

二十九話 【ホントに第一階層?】

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惣一郎は、白いゴドルが落とした宝箱を収納し、ベンゾウが目を覚ますのを待っていた。

時折、穴に向かって弁慶が叫ぶ。

上では弁慶達も心配している。

奴隷紋による罰が、ここまで奴隷を苦しめるものだったのか、惣一郎は奴隷について考えを改める。

ベンゾウの事は信用しているし、解放して仲間として旅をすればいいだけの話だ。

だが、解放して奴隷紋を消すには、奴隷商に行かなければならない。

来て早々、ダンジョンどころではない惣一郎だった。

するとベンゾウが目を覚ます。

「ベンゾウ! 大丈夫か!」

「ご主人様…… ごめんなさい」

「事故だ、気にしなくていい!」

意気消沈のベンゾウ。

惣一郎がいくら、気にしなくていいと言っても、ベンゾウは気にするだろう。

「動けるか? 弁慶達が上で待ってる」

コクンと頷くベンゾウ。




落ち込むベンゾウと洞窟を出ると、弁慶とクロが肩で息をしていた。

周りには宝箱が2つ。

「弁慶!」

「ハァハァ、旦那様! ベンゾウ殿は、ハァハァ、無事か!」

クロは傷だらけだった。

「ゴドルか!」

すると言ってる側から、またゴドルが現れる!

弁慶はゴドルの爪撃を左で払いのけ、侃護斧を打ち込む!

顎が砕け曲がるゴドルが、膝を突くと、更に侃護斧を頭部へ撃ち込む!

「ハァハァ、ひっきりなしだ、もう魔力が!」

疲れ切った表情の弁慶が、侃護斧をマジックポーチに仕舞う。

重い侃護斧を、持ってるのも辛いのだろう。

代わりに惣一郎がククリ刀を出し、回し始める。

「ここを離れよう、クロ! 疲れてる所悪いが、案内を頼む!」

宝箱を収納すると、消えたのは一個だけだった。



落ち込むベンゾウと疲れ切った弁慶を後方に、惣一郎が前に立ち、クロの後を追う。

少し進むと、またゴドルが現れる。

惣一郎は素早くククリ刀を飛ばし、倒して行く。

オークに腰を抜かしていたとは、思えないほど強くなった惣一郎に、ゴドルもすでに雑魚扱いだ。

幾つものククリ刀の円盤を浮かせ、隙なく仲間を守る惣一郎。

すると疲れからか、よたよた歩くクロが大きな木の前で立ち止まる。

根元には大きな穴が開いており、地下へと続いていた。

ボス部屋だろうか?

惣一郎が中へ入って行くと、地下には大きな空間が広がっていた。

ベンゾウと弁慶は戦える状態ではない。

惣一郎は覚悟を決め、理喪棍を握りしめ奥へ進む。

そこに大きな影が見えた。

「トロールか!」

知ってるトロールの倍はあるだろう巨体。

再生力が強くタフなトロールだが、スピードはなさそうだ。

惣一郎がククリ刀を仕舞い、苦無に持ち代える

12本の苦無が回り出し、熱を帯びて行く。

こちらに気づいたトロールが、大木から削り出しただろう、大きな棍棒を振り上げ襲い掛かる。

理喪棍に掴まり飛んで躱す惣一郎は、トロールの棍棒を握る肘に熱い苦無を撃ち込む!

回転する苦無が肉厚のトロールの肘に刺さるが、貫通はしなかった。

だが、痛みはある様で、棍棒を落とし叫びを上げる!

踏み出した足の膝にも苦無が刺さる!

緑の血液を流して膝を突くと、腹に響く声を上げトロールが惣一郎を掴もうと、生きている左手を伸ばす。

その手に苦無が刺さると貫通し、穴を開ける。

するともう右肘の穴は塞がりかけていた!

時間をかけてはいられない!

残り10本の苦無が一斉に頭を狙う!

深くまで刺さるが貫通はしなかった。

トロールは白目をむき、前のめりに倒れる。

惣一郎の苦無との相性が良かった様だ。

少しすると苦無を残して地面に消えて行くトロール。

宝箱もポツンとひとつ残っていた。

「この先で今日は休もう!」

奥へ続く階段を降りて行くと、ここにも転移魔法陣がありその脇のスペースにテントを出す。

取り敢えず、美味いものを食べてゆっくり休もう……




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