異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

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十四章

九話 【南へ】

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不死の虫と言われ、宿主の脳を操作して水辺へ移動すると言う、このハリガネムシ。

カマキリも操作されていたのだろうか?

クネクネと暴れる回る、金色の太い縄。

体内から出て乾燥すると、針金の様に硬くなる事からこの名がついたと言われている…… っと、ネットで買った本に載っていた。

「燃やすしかないかな~」

地面に降り立つ惣一郎は、その場をふたりに任せて、買い物を始める。

任せると言っても、ハリガネムシは、その場でクネクネ暴れるだけで、近付かなければ問題なかった。

惣一郎は、ネットで買った混合ガソリンをバケツに移し始めると、ハリガネムシが金色の線となり、襲いかかって来る。

その先端を、侃護斧で受け切る弁慶が、数メートル押し戻される!

「なっ! 急に襲って来たぞ旦那様!」

伸び切ったハリガネムシの横から、ベンゾウが斬りかかる!

だが、乾燥して来たハリガネムシの体は、硬くなっており、ベンゾウの小刀でも傷付く事がなかった。

暴れてたのは、皮膚の乾燥を急いでの事か!

弁慶が侃護斧を振り下ろすと「バヨヨヨヨン」っと衝撃を全身で受け流し大きな音を出す。

針金の先端を叩いた所で、衝撃は逃されるだけだった!

惣一郎は、テレキシスで浮かせた数個のバケツで、上空から中身をハリガネムシにぶち撒ける!

「退がれ!」

惣一郎の声に、ベンゾウと弁慶が距離を取ると、発煙筒を投げ込む!

気化した混合ガソリンに引火すると、大きな爆音を上げ、燃え上がるハリガネムシ。

硬くなったせいで、動きが遅くなり、燃えながら暴れ回る。

黒煙を上げ燃え上がるハリガネムシに、追加でバケツの液体をかけ続ける!

やがて動かなくなり、燃え続けるハリガネムシは、水分が抜けていったのか、元の半分以下のサイズに、シワシワに縮んでいた。

「ご主人様…… 死んだの?」

そう願いたい……

火が消える頃には朝日が登り出し、いつの間にかライトの魔法も消えていた。

騎士達が見守る中、縮んだハリガネムシに近づく弁慶が、侃護斧で軽く叩くと、脆く崩れて中が空洞になっていた。

惣一郎がホッとする前に、騎士達が歓声を上げる!

「倒した、終わったぞ!」

「「「 おおおお~! 」」」



「お疲れ~ ゴリ押しはちょっとキツかったな~」

「次は斬るよ! ベンゾウ、もっと國家達を使いこなせる様になる!」

「アタイも、もっと力を……」

「そうだな…… 俺も、もっと攻撃にバリエーションを持たせないとな」

反省する3人に、セシルとリヴォイ達が、笑顔で走り寄る。



カマキリとハリガネムシの魔石を取り出し、収納すると、厄災の遺体は騎士達が剥ぎ出す。

「本当によろしいのですか? 魔石だけで」

ピヌマが惣一郎に、困惑しながら話しかける。

「ああ、被害にあててくれ」

ピヌマは頭を下げて、感謝の気持ちを伝えると、指揮に戻っていく。

「惣一郎殿、ザザンドを救ってくれて、ありがとうございます…… 俺達はこのまま、被害にあった故郷へ帰り、復興を手伝いたいと思います」

「惣一郎さん、本当にありがとうございました!」

「ああ、短い間だったが、楽しかったよ! ふたりとも元気でな!」

ずっと村の家族が心配だったのだろう、ふたりは直ぐ馬に乗り、家族が避難している街へと走って行った。


手を振り見送る惣一郎達に、セシルが、

「惣一郎様、状況は先程、サーズリ殿にお伝えしました。このまま南の[ザザロウの街]へ向かいギルドで報酬を受け取ってほしいそうです」

惣一郎はセシルに、預かったブローチを渡し、サーズリとの連絡を任せていた。

「こんなに早く、厄災を倒すとは思ってなかったみたいで、大変驚いていましたよ!」

「誘導してくれたこの国の騎士達のおかげだな」

惣一郎はピヌマに挨拶をして、ザザロウへ向かう事にする。

騎士達が手を振り感謝の声を上げる中、クロの荷車は、南の街へ走り出した。





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