異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付

文字の大きさ
298 / 409
十四章

十二話 【次の依頼】

しおりを挟む
ダンゴムシやムカデの魔石に加え、カマキリとハリガネムシの魔石をシーバサキに売ろうと机に並べる惣一郎。

まぁ持ってても今の所、使い道ないし。

シーバサキは目を丸くして、工場の責任者と話し合っていた。

「惣一郎さま…… この魔石、全部お売りに?」

「ああ、売れる?」

「え、ええ、ただ全部はこちらも予算が……」

ダンゴムシやムカデの魔石もやはり、カマキリの魔石となんら遜色も無く、通常の魔獣などの魔石の数倍の価値がある様だ。

やっぱ脚が多くても厄災じゃん。

カマキリとハリガネムシの魔石だけ外し、売る事にする惣一郎。

「足らない分は後日、ギルドで受け取れる様に手配してくれれば言い値でいいよ」

「まことですか!」

惣一郎に至っては、ギルドが銀行の様な役割にもなりつつあった。

工場長とウハウハのギルマスを置き去りに、惣一郎はセシルと街の見学に戻る。



気軽になった惣一郎は、露店で食材などを買い漁りながら街をぶらつくと、セシルが突然、

「惣一郎様、サーズリ殿からコールです!」

っと、黙り込む。

こんなに早く、次の依頼かな?

セシルが話終えるまで、露店で買ったパンに挟まれた魚を食べて待つ惣一郎だった。

「惣一郎様! 旧ゼリアオールスから厄災の討伐依頼が入ったそうです。いかが致しますか?」

「どっかで聞いた様な…… 遠いの?」

「旧ゼリアオールスは、ここザザンドから南にまた船で2週間程かかるかと」

「また船か…… 却下で!」

「惣一郎様!」

「わかったよ、詳しく聞いといて! 返事はそれからだ!」

「わかりました」と返事をするセシルは、サーズリに情報を集める様に頼み、また今夜連絡するとコールを切った。

また船か…… なんとかせねば。

そのまま、街を歩き出すふたり。

歩きながら惣一郎は、

「なぁ、ここから南の港まで行って船で2週間って、間に合うのか?」

「私も、この国の地理的な所はまだ把握してないので、どの位離れているのか…… ですがそうですね、その間被害が拡大するのは間違い無いかと思います」

のんびりどころか、忙しない旅になったな~ っと早くも後悔する惣一郎だった。



ギルドに戻るとシーバサキが、

「お戻りですか! 丁度よかった。先程は貴重な魔石をお譲り下さり、ありがとうございます。討伐の報酬が準備出来ましたのでこちらへ!」

っと奥の個室へ案内される。

通された個室のソファーに座る惣一郎。

「今日は随分と人が少ないな?」

「ええ、こちらも大助かりですよ!」

なんの話だろうか?

聞くと訓練場で冒険者達が、こぞって弁慶とベンゾウに戦いを挑んでいるそうだ!

ギルマスも戦闘教官を無償で買って出てくれ、大助かりと喜んでいる訳だ。

冒険者が減らなければ良いが……

「こちらが今回ザザンド国から出された報酬の16万ギーです。流石に金貨だと置けないので、交易などで使われ国が発行している、この白王金貨でのお支払いになります」

テーブルの上に、豪華な宝石箱に入った大きなプラチナ色の硬貨が置かれる。

すご! 流石に使いきれんな……

「それと魔石の買取額なのですが、全部で23,000ギーでよろしいでしょうか?」

上手いなコイツ! 先に16万見せての値段交渉。

まぁ、確かにそれで良い気もしてくる。

惣一郎は了承し、全額ギルドに預ける事にする。

書面を交わし、世界中のギルドでいつでも使う分だけ引き出せるとの事。

ただし、1万以上は事前に相談がいる。

まさに銀行だな。

名義はジビカガイライにしたので、惣一郎に何かあっても仲間なら誰でも下ろせる様にした。

惣一郎が亡くなれば奴隷であるベンゾウは奴隷から解放されるので、その際はベンゾウでもお金を使えるよう遺産としての書面も交わす。

アイテムボックスに入れてると取り出せる保証が無いので、預けてあれば安心だ。

手続きを終え、南の港までどの位かかるかをシーバサキに聞く。

「[ヒカセールの港]ですか? また随分と急ですね! そうですね~ ここからだと馬車で二カ月程でしょうかね~」

「端から端までだもんな~ そりゃ遠いか」

「また急にどうしてですか?」

「実は……」っと事情を説明する惣一郎。

「なるほど…… 旧ゼリアオールスですか。最近、国王が亡くなったばかりであの国も大変ですな~」

「国王が?」

ギルマスもそれ以上の事は知らなかった。



話を終えた惣一郎が部屋を出て中庭へ降りていくと、数十人の倒れた冒険者達が庭に散らばっていた。

「おかえり旦那様!」

「ご主人様~ おかえり~!」

「オイオイ、何してんのよ……」

「「 訓練! 」」

…………

セシルが冒険者達に癒しの魔法をかけて回る。

おっあるんだヒールみたいな回復魔法。

惣一郎は栄養ドリンクを人数分出し、ベンゾウと弁慶に冒険者達に配る様にと渡すと、テントに入って行く。

また変な異名が付きません様に……




しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

処理中です...