異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付

文字の大きさ
311 / 409
十五章

一話 【爪痕】

しおりを挟む
眩しい光に慣れた頃、景色がぼんやりと見えだす。

石が重なる壁が見え、誰かが立っていた。

徐々に光が弱まり、暗くなっていく室内。

「ようこそ、お待ち申し上げておりました」

羊の様な曲がったツノを生やす女性が、惣一郎達に軽く会釈すると、

「ジビカガイライの皆様ですね! ここはゼリアオールス中心地から北に位置する[オーミサの街跡]にございます。私はギルド特別室オーミサ支部室長の[ネイ]」

「あっ、はじめまして、惣一郎です。よろしくお願いします…… 街跡?」

「ええ、ご案内します。どうぞこちらへ」

魔法陣が描かれた部屋を出て、洞窟の様な通路を進むと、広い空間に大勢の人が座り、暗い顔をしていた。

避難民だろうか?

その中を通り抜け、さらにいくつかの部屋を通ると長い階段が現れる。

木箱を弁慶と持ち、階段を登って行くと、物資を運ぶ人たちとすれ違う。

「ネイ様、食料はコレで最後かと……」

「そうですか…… 外の様子は?」

「ええ、奴らあらかた食い尽くしたのか、もう姿はありません。西に向かったとの報告も」

「わかりました。連絡が入るまで、なんとかそれで耐えるしかありませんね」

狭い階段をなんとかすれ違い、また登り始める。

転移陣のあった部屋は、随分と地下深い場所だったのだろう。

ようやく登り切ると、朝日が入口を照らし、警備の者が「ネイ様!」っと声をかける。

「ご苦労様です。少し街に出ますので、あとを頼みます」

っとネイが答え、惣一郎達を外へ案内する。

外は無惨にも、崩れ去った街が広がっていた。

建物はほぼ崩壊しており、瓦礫が道を塞ぎ、以前は立派な街だったであろう面影を、朝日が照らしていた。

「遅かったか……」

「少し…… ですが終わりではありません。犠牲は少なくないですが、それでも多くの者がいくつかの地下に逃れ、生き残っております」

逞しい言葉であった。

二日前、突如大群で襲って来た厄災は、あらゆる物を食い散らかし、人を襲い、建物の木造部分まで齧り尽くすと、また突如として飛び去っていったそうだ。

惣一郎は、その場でテントを出し、木箱から出す5人をベッドへ寝かす様、弁慶とセシルに頼むと、理喪棍を掲げサーチを唱える。

「ベンゾウ、クロ! 南西に560m、生き埋めの生存者だ! 急いでくれ」

ワン!

「他にもまだ、ネイ! 人手を出してくれ! 弁慶! やっぱその5人も叩き起こせ!」

「は、はい!」

「わかった!」

寝ぼけた顔の頬を赤く腫らし、手で押さえながらテントから出てくる5人は、

「何事なんだ…… 何も殴らなくても……何処?」

「説明は後だ! 手伝ってくれ!」

理解が出来ない5人は惣一郎の指示で、取り敢えず動き出す。

「惣一郎様、私は」

「セシルと弁慶は、食糧を!」

以外にもテキパキと仕切り、指示を出す惣一郎。

惣一郎は以前、震災を経験した事を思い出していた。

何も出来なかったあの時とは違う。

サーチがあるし仲間もいる。






惣一郎は22名を救い、セシルが怪我人の手当てをし、弁慶とベンゾウが豚汁とおにぎりを配る。

「惣一郎殿、我々はいつの間に、ゼリアオールスへ来たのだ?」

「話すと長いので金取るぞ! それより落ち着いたら直ぐ西に向かうから、準備をしてくれ!」

「だが、馬車はあるが、馬がいないぞ!」

「馬は我々が、手配しましょう。惣一郎様! なんとお礼を言えば良いか」

「礼はいいんだが、厄災の移動が早すぎる! このままじゃ後手にしか回れないんだ、連絡は?」

「西にある[ナキの村]は連絡のしようがないのです! その先の[ゴマセの町]には避難を呼びかけてあります。今の所、まだ厄災は姿を見せないそうですが……」

「距離は?」

「ゴマセまでは、馬で4日!」

「セシル! サーズリに連絡して、ギルドからの情報を集めてもらってくれ! 奴らの進路を予測して先回りしたい」

「わかりました!」

「惣一郎様、大魔導士惣一郎様のサーチ、昨夜お聞かせくださいました、その杖の魔石に、ここにいるみんなの魔力を合わせても、届きませんか?」

「誰だお前は!」

いや待てよ……

「エル、天才じゃん!」

モジモジ…… ♡




しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

処理中です...