異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付

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第十六章

二話 【お金の使い道】

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机に投げ出された女性物の下着。

見事なレースの黒い下着であった。

「コレは?」

「クオンブランドが出した新作の下着じゃ」

「クオン! とうとうやったのか!」

「今巷では密かなブームが巻き起こっておる。いずれ世界中でこの名を聞く事になるじゃろう」

「あは、でしょうね。一度手にすれば誰もが二度と、他の物に戻らなくなるでしょう」

「クオンブランドは売り上げの一部を、惣一郎へとギルドへ預けておっての、その金額が日を追うごとに増えつつある」

「惣一郎よ、お前さんの金、今回の依頼報酬でギルドにいくらあるか知っておるか?」

「さぁ、いくらです?」

「872,799ギーじゃ」

「はぁ~ えっ? 八十七億円?」

「エン? いや八十七万二千ギーじゃ」

「惣一郎よ、国でも買う気なのか?」

この世界なら、小さな国なら買えそうな値段である。

「さらに、クオンブランドからの送金が鰻登りじゃ! お前さんこんなに溜め込んでどうする気なのじゃ?」

元の世界じゃ都心にビルを建てるぐらいだが、まさかここまで大騒ぎになるとは、ギルドも個人でこんなに溜め込めば、そりゃ目付けられるわな。

「いや、使い道なんて考えてないが…… あはは、どうしようね~ ははははは」

するとジゼルが、真剣な顔で、

「惣一郎よ、お主その金で、ワシらと肩を並べんか?」

「はい?」

「ギルドも施設拡大や人件費、冒険者育成に力を入れておるが、金がかかるのだ」

「クオンブランドは、今後間違いなく利益をあげていく! どう言った関わりか知らぬが、其方が我々と肩を並べれば、ギルドは益々発展していくじゃろう! じゃが厄災討伐もお主なしでは話にならん。どうじゃ? 運営はワシらに任せ、厄災討伐だけに専念するなら、代わりに自由を約束するが?」

怪しくなって来たな~

そこにメンジが、

「皆落ち着かんか! それでは怪しい話に聞こえるぞ!」

『『『 確かに! 』』』

「厄災討伐自体、依頼主は国がほとんどだ。依頼料も1万ギーを越える金額になるだろう。惣一郎以外出来ぬ事だしの~ だがそれだと貧しい国や地方の村、町からは金が無く依頼も出せんと言う事になるのじゃ!」

「だが、貧しい国に合わせて無償や安く請負うと、依頼料自体がおかしな事になる」

「厄災を10ギーで倒せるなら、グルピー討伐は1ネルか?とな…… それじゃ今の冒険者は命を賭けて戦う意味をなくす」

なるほどね~

「そこで、ギルドが貧しい国からの依頼料を一時的に負担する事になると、ギルド自体の運営に関わってくるのだ。惣一郎よ、お前さんも依頼料が安いから受けんなどと言いたくないじゃろ!」

「必要な金は都度用意するから、寝かせるならその金を使わせてくれ! そん代わりギルドで自由にできる肩書きをやるちゅ~事じゃ」

「肩書きと言っても、ワシら[五賢人]などと呼ばれてはおるが、若い惣一郎には合わんじゃろ。発言権は同格、ギルドの運営にも口を出せるし、施設などの利用に許可も必要ない! どうじゃ自由じゃろ!」

「確かに…… 特に使い道もないし、仰る通り、村単位での討伐依頼にも対応してもらえるなら、俺の方は問題ないですね」

「そうか! いや助かる!」

「コレで一安心じゃ!」

「おい、ヌイドリー! 早速惣一郎に例の物を」

「ほっとしたら腹が減ったわい」

「コレで五賢人に新星が加わったの~」

すると、気の緩んだ老人達に惣一郎が、

「じゃ、早速いいか?」

「「「「「 !!!!! 」」」」」

「今回のゼリアオールスで大量の魔石が手に入るだろう。被害に遭った旧ゼリアオールスの為に出来るだけ買い取ってやってくれ! それで世界中の通信システムを作り、今まで以上にリアルタイムで状況を把握できる様にしてくれ! どんな小さな村や町にも連絡できる様に! それとコレを!」

惣一郎は机に、クルルーシェ(ジャガイモ)を置く。

「コレは厄災の被害から、故郷を守った聖母スワロが残した食べ物だ。エリリンテのマイズと言う村で栽培が始まっている。日持ちするし料理の幅も広い。間違いなく今の食料問題を変える物だ。マイズと協力して生産数を上げて欲しい。大きな利益にもつながる! 商人ギルドと共に流通経路の拡大を、他にも何か儲け話を思いついたら提供しますので、それまで俺の金は自由に使って下さい。では俺達はコレで!」

呆気に取られる五賢人。

帰ろうとする惣一郎にヌイドリーが、止める。

「お待ちください! コレをお持ちください」

黒いカード?

「最高位の冒険者カードです。コレを見せれば全てのギルドが協力を惜しみません! くれぐれも無くされない様に」

「ありがとう! では」

部屋を出る惣一郎。

サーズリが慌てて追いかけて来る。

残された部屋の五賢人は……

「あれが魔王か…… 肝が据わっておる」





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