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第十八章

七話 【災害級の魔法】

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惣一郎に直してもらったジュラルミンの錫杖を掲げ、静かに集中するゼリオス。

ビルゲンも銀の杖を両手に持ち、魔法陣の上で詠唱に入る。

光る魔法陣は空に同じ模様を映し出し、大きく広がっていく。

ゼリオスが目を開け、掲げた杖を回し始めると、風が吹き、魔法陣の周りを包み込む。

旋風は大きな竜巻になり、魔法陣の中心に山積みにされた粉を巻き上げる!

登り上がる粉の渦が上空に映し出された魔法陣に吸い込まれていくと、ビルゲンが地面に杖を突き刺す!

その瞬間!

島を巨大な風の渦が包み回る始め、ゼリオスが今した事をそっくり同じ様に、巨大な竜巻でなぞる!



「ご主人様!」

「始まったかな……ってコレ、デカくね?」

「旦那様、逃げた方が良くないか?!」





粉を含んだ白い竜巻は、上空高くまで上がると、魔法陣の四隅に立つ、バオ、キンブル、クトルとグリコが、呪文を唱える!

上空に広がる白い渦はどんどん横に広がり、島より大きな渦を巻くと、中心から一気に地上へ滝の様に落ちる!

「しまった! やり過ぎじゃ!」

地面に激突した白い霧は、木々を凍らせ、火山をも白く染め広がっていく。



「流石にまずはだろ! ベンゾウ、弁慶飛ぶぞ!」

『セシル! 直ぐに全員非難させろ、急げ!』



火山を中心に凍てつく風は、木々や動物、厄災をも凍らせ、徐々に島全体に広がっていく!



「団長! コレ本当に大丈夫なんですよね!」

「分からん! 分からんが離れるぞ!」

「凄い魔力を感じるのじゃ! 急いだ方がいいのじゃ!」




「おいおい、やばくね~か!」

「ガオガオ!」

「逃げるぞミコ!」

「無茶し過ぎじゃ!」

「なんちゅ~ぅ魔力じゃ!」




パキパキと地面を凍らせ、広がる白い霧!




ワイドンテ達の前に、急に現れるギド!

「おい! 良かったまだ近くにいたか! 急いで逃げるぞ!」

「ギド殿、コレは?」

「話は後だ、直ぐに掴まれ!」

「団長! 言う通り急ぎましょう! 魔力が異常です!」

「全員急いで掴まれ!」



島全体に漂う白い霧。

熱帯を思わせる島の姿はなくなっていた。







キャンプのある砂浜には、頭から砂に突っ込む弁慶とミコ達。

腰を抜かした様に座り込むツナマヨ達とワイドンテの騎士達。

ゼリオス達も目を点にして、変わり果てた厄災の島を見ていた。

「そ、そ、惣一郎様……ぼぼ僕、そそそんなつもりじゃ」

急な避難に飛び回ったギドは、完全に意識をなくして砂浜に倒れていた。

その近くで座り込む惣一郎。

腰まで冷たい波が、下半身を濡らしていた。

「ま、間に合った……」

慌てて駆け寄るセシルとサーズリ。

ベンゾウは海で溺れていた。





弁慶達を引っこ抜き、ケホケホうるさいベンゾウに、飲み物を渡す惣一郎。

「で、何がどうしてこうなったのかな?」

オドオドするゼリオスが、

「いえ、ま、まさかここまで大掛かりな魔法にするつもりは、ぜ、全然なくてですね!」

ビルゲンも必死に、

「そ、そうじゃ! ぼ、僕の魔力で、ここまで大きな物は!」

っと、必死の言い訳が始まる。

イグラシオ達は、まだ状況がわからず座り込んで島を見ていた。

ギドは魔力を使い果たし、しばらく起き上がれないだろう。


答えは、ギリアークが出した。

「島に溜まった魔力じゃ! あの上空に出した魔法陣、威力を上げる増幅魔法じゃろ? それに島に溜まった魔力まで流れたのじゃろ! この位の犠牲で済んだのは奇跡じゃ」

「犠牲?」

「ああ、惜しい男を亡くしたの~」

ギリアークの横に横たわる老人……




「勝手に殺すな、バカモン!」







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