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第十八章

十二話 【霧の中で】

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朝食後、惣一郎はみんなに防寒着を渡し、島で生き残ってる厄災討伐に向かう。

「では、獣王から連絡が入り次第、コールします」

「ああ、頼むよサーズリ」

理喪棍に掴まると、一瞬で島に飛ぶ惣一郎とベンゾウと弁慶。

それと、ミコ達ショウニカガイライと、ゼリオス達ハツネツガイライとビルゲンとバオ。

年寄りジゼルは、腰が痛いとキャンプで寝ている。

ギリアークは寒いのが苦手と朝起きて来なかった。

島は元南国とあって、一晩で木々の氷は溶けて、ぬかるみを作っていた。

それでも影には氷が残り、冷えた風が吹いている。

「弱ってても、アレで生き残った厄災だ! 油断はしない様にな」

「任せとけ!」

「ええ、お任せを!」

そう言うと2チームは森へと消えていく。

惣一郎もサーチを唱え、島の奥へとビルゲン達と向かう。





燃える巨大ゴキブリは、ノイテの死骸に突っ込み消える。

「火が効かないのか!」

「相当しぶといぞ!」

スプレーを構え近付くギコル。

飛び出す事を想定して構えるトーマ達。

すると、後ろ霧の中から羽を広げ、飛び掛かる別の厄災!

ワイドンテの騎士が槍を突き出し、背中を向けるエルを庇う。

槍は飛ぶゴキブリを見事に突き刺すも、勢いそのままに騎士達を轢き飛ばし、カサカサとエルとゴザの間を縫う様に走り、トーマの盾で止まる!

腹から刺さる2本の槍は背中から生えていた。

杖を構えるエルに「炎槍は使うな!」っと、ギコルがスプレーを構え走り寄る!

トーマの盾に覆い被さる厄災。

トーマの背後からスプレーを吹きかけると、一瞬でコロンっと、仰向けに倒れる。

「凄い毒ですね、イチコロだとは……」

槍を抜く為、近付く騎士達が死亡を確認する。

「ああ、流石は惣一郎殿の……」ドスン!

ノイテの死骸から飛び出す厄災が、巨体のトーマを背後から宙高く突き飛ばす!

ボロボロの厄災はそのまま、霧の中に消えて行く。





カサカサ。

霧の中、腰を落とし構えるツナマヨ。

背後から飛び出す厄災を見ずに、半歩動きいなすと、刀はすでに抜かれていた。

勢いよく地面を滑り、縦に二つになる厄災。

脚はまだ動いている。

風が霧を運び、一瞬視界が広がる。

ツナマヨの周りには、両断されるも動く厄災が、数匹いた。


「随分と倒したな」

イグラシオ達がその厄災にスプレーをかけ、止めを刺しながら現れる。

「いや、ゼリアオールスでは、この何倍もの厄災と戦った。今回はあの時に比べたら」

「ああ、それだ! 俺も話は聞いたが、厄災の出現件数が最近多過ぎる! 数十年から数百年と歴史に残る様な厄災の出現が何故だ? そのタイミングで厄災に対抗出来る武器や毒を持ち、現れたあの男……」

「貴様、何が言いたい!」

「いや、すまん。疑う訳じゃないんだが、厄災は天災だ、出現件数から見て被害が驚くほど少ない。いい事だ、いい事なのだが、タイミング的に何か腑に落ちなくてな……」

「ふっ、冒険者トップを取られ面白くないか!」

「そんな、そんな小さな事では無い! だが、そんな力を持つ彼が全くの無名…… 何者なのかと…… いや、忘れてくれ」

「彼は、惣一郎は何時も必死だ。必死で被害を無くそうと飛び回っている。疑うな……」

そこに現れる、サリーワイズ達。

「イグラシオ団長! 厄災はコレで全ての様です」

「ああ、もう直ぐ霧も晴れる。最終確認をして戻ろう」

『疑うな……か……』

左手の刀を見つめるツナマヨが、異常な魔力を感じ取る!

「なっ、何か来るぞ!」





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