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この世界に来て2日目、自分に起こった出来事が夢でない事がわかった。
相変わらず言葉を発することはできないけれど、昨日よりも体は動くのでとりあえずこの豪華な家から逃げようと決心した。
幸い今はこの部屋に誰もいない。
起きあがろうとして自分の体の異変に初めて気がついた。
自分の手がまるで赤ちゃんの手のように小さくなっていた。
頭が真っ白になった。
え、、、?どういうこと?
夢じゃないなら誘拐か何かかと思っていた。
だけど誘拐以上に不可解なことが自分に起こっているようだ。
もし、手だけじゃなく全身が赤ちゃんのようになっているのなら、、理解不可能な現状が頭を過ぎった時に部屋のドアが開く音がした。
昨日とは違う40代くらいの優しそうな顔立ちの女性が自分に話しかけながら寝る前に見た夫婦のように覗き込んでくる。
やっぱり何を言っているのかは理解できない。
じっとその女性を見ていたら、いきなり抱き上げられた。
びっくりした。大人に抱き上げられるのは何十年ぶりだから。
落とされないように必死に女性にしがみついていると、初めて今の自分の姿が目に映った。
大きな姿見に映った女性に抱き上げられている赤ちゃんは間違いなく自分だ。
だって自分とこの女性以外にこの部屋には誰もいないのだから。
黒目黒髪だった一昨日までの自分は見る影もなく、生えかけている髪は明るく白味を帯びた金髪で目はスカイブルーだった。
自分の許容範囲を超えた現状に不安が押し寄せ、涙が出てきた。
自分が赤ちゃんになってしまったからなのか、一度出た涙は止める事ができず大声で泣いた。
女性は自分をあやすように揺すりながら、哺乳瓶を差し出してきたがとてもそれを咥える気にはなれなかった。
この人を困らせているのは重々承知だ。だけど自分で話せも、歩けもしないのにどうしたらいいのか。
どれくらい泣き続けたのかわからなくなったころでまた眠ったしまった。
どうやらこの体は全く体力がないらしい。
本当に生まれたばかりなのかもしれない。
3度目の目覚めは先ほどの大泣きからさほど時間は経っていないようだった。
泣いてスッキリしたのか幾分か冷静になれた。
まずは自分の現状を整理してみよう。
おそらく一昨日までの私は日本の平凡な大学生、西村紗奈として生きていた。
毎日が刺激的でキラキラなキャンパスライフを送っていたわけではないが、それなりに気の合う友達もいて楽しい日々を送っていた。
家族にも恵まれ、厳しくも自分を尊重してくれる父と、優しく思いやりのある母と3人で暮らしていた。
小さい頃から料理上手の母に影響されお菓子作りが大好きだった。
特に焼き菓子が得意で最近はカヌレ作りにハマっていた。
自分が作ったお菓子を喜んでくれるのが何よりも嬉しくて毎週末何か作っていた。
そんな日々をいつものように送っていた。
一昨日の夜は、次の日が休みだったので最近はまっているゲームをやってから寝ようと思い電源をつけた。
これは最近リリースされたライトノベルが原作の『月明かりが差す夜に』と言う乙女ゲームだ。
元々、原作があるのは知っていたがネタバレが好きではないので読まずにゲームを楽しんでいた。
まぁ、最近流行りのよくあるゲームだ。
ヒロインと数人の攻略対象者と悪役令嬢がいて、王立アカデミーが舞台だ。
王立アカデミーでは一般教養や社交のほかに魔法も並行して学ぶ。
そんなゲームで何が私の心を射止めたかと言うとこのゲームの作画だ。
実は私は魔法や異世界などが大好きで特にハリー・ポ○ッターの大ファンだった。
映画は何回も見たし原作の小説は日本語訳版と原作を持っているほどだ。
小さい頃はいつ梟が入学許可書を持ってきてくれるのかと、楽しみにしているくらいには夢見がちな性格だ。
そう、王立アカデミーの景観がまるでホグ○ーツなのだ。
細かいところまでよく作り込まれていて、スチルの度に目を見張った。
もちろん攻略対象者も好きだったがそれよりも後ろの背景の方が気になった。
その日はいつものようにゲームをしていたがだんだんと眠くなり、いつの間にか寝落ちしてしまった。
ここまでが私が覚えているいつもの日常だ。
自分の前世?を整理しているとだんだんと切なくなってくる。
もう、大好きな家族や友達には会えないのだろうか。
まだやりたい事や行きたいところが沢山あった。
私の日本人としての人生は未練だらけだ。
そんなことを考えているとまた泣けてきて。
こんな感じで新しい人生2日目は泣いては寝てを繰り返して終わった。
相変わらず言葉を発することはできないけれど、昨日よりも体は動くのでとりあえずこの豪華な家から逃げようと決心した。
幸い今はこの部屋に誰もいない。
起きあがろうとして自分の体の異変に初めて気がついた。
自分の手がまるで赤ちゃんの手のように小さくなっていた。
頭が真っ白になった。
え、、、?どういうこと?
夢じゃないなら誘拐か何かかと思っていた。
だけど誘拐以上に不可解なことが自分に起こっているようだ。
もし、手だけじゃなく全身が赤ちゃんのようになっているのなら、、理解不可能な現状が頭を過ぎった時に部屋のドアが開く音がした。
昨日とは違う40代くらいの優しそうな顔立ちの女性が自分に話しかけながら寝る前に見た夫婦のように覗き込んでくる。
やっぱり何を言っているのかは理解できない。
じっとその女性を見ていたら、いきなり抱き上げられた。
びっくりした。大人に抱き上げられるのは何十年ぶりだから。
落とされないように必死に女性にしがみついていると、初めて今の自分の姿が目に映った。
大きな姿見に映った女性に抱き上げられている赤ちゃんは間違いなく自分だ。
だって自分とこの女性以外にこの部屋には誰もいないのだから。
黒目黒髪だった一昨日までの自分は見る影もなく、生えかけている髪は明るく白味を帯びた金髪で目はスカイブルーだった。
自分の許容範囲を超えた現状に不安が押し寄せ、涙が出てきた。
自分が赤ちゃんになってしまったからなのか、一度出た涙は止める事ができず大声で泣いた。
女性は自分をあやすように揺すりながら、哺乳瓶を差し出してきたがとてもそれを咥える気にはなれなかった。
この人を困らせているのは重々承知だ。だけど自分で話せも、歩けもしないのにどうしたらいいのか。
どれくらい泣き続けたのかわからなくなったころでまた眠ったしまった。
どうやらこの体は全く体力がないらしい。
本当に生まれたばかりなのかもしれない。
3度目の目覚めは先ほどの大泣きからさほど時間は経っていないようだった。
泣いてスッキリしたのか幾分か冷静になれた。
まずは自分の現状を整理してみよう。
おそらく一昨日までの私は日本の平凡な大学生、西村紗奈として生きていた。
毎日が刺激的でキラキラなキャンパスライフを送っていたわけではないが、それなりに気の合う友達もいて楽しい日々を送っていた。
家族にも恵まれ、厳しくも自分を尊重してくれる父と、優しく思いやりのある母と3人で暮らしていた。
小さい頃から料理上手の母に影響されお菓子作りが大好きだった。
特に焼き菓子が得意で最近はカヌレ作りにハマっていた。
自分が作ったお菓子を喜んでくれるのが何よりも嬉しくて毎週末何か作っていた。
そんな日々をいつものように送っていた。
一昨日の夜は、次の日が休みだったので最近はまっているゲームをやってから寝ようと思い電源をつけた。
これは最近リリースされたライトノベルが原作の『月明かりが差す夜に』と言う乙女ゲームだ。
元々、原作があるのは知っていたがネタバレが好きではないので読まずにゲームを楽しんでいた。
まぁ、最近流行りのよくあるゲームだ。
ヒロインと数人の攻略対象者と悪役令嬢がいて、王立アカデミーが舞台だ。
王立アカデミーでは一般教養や社交のほかに魔法も並行して学ぶ。
そんなゲームで何が私の心を射止めたかと言うとこのゲームの作画だ。
実は私は魔法や異世界などが大好きで特にハリー・ポ○ッターの大ファンだった。
映画は何回も見たし原作の小説は日本語訳版と原作を持っているほどだ。
小さい頃はいつ梟が入学許可書を持ってきてくれるのかと、楽しみにしているくらいには夢見がちな性格だ。
そう、王立アカデミーの景観がまるでホグ○ーツなのだ。
細かいところまでよく作り込まれていて、スチルの度に目を見張った。
もちろん攻略対象者も好きだったがそれよりも後ろの背景の方が気になった。
その日はいつものようにゲームをしていたがだんだんと眠くなり、いつの間にか寝落ちしてしまった。
ここまでが私が覚えているいつもの日常だ。
自分の前世?を整理しているとだんだんと切なくなってくる。
もう、大好きな家族や友達には会えないのだろうか。
まだやりたい事や行きたいところが沢山あった。
私の日本人としての人生は未練だらけだ。
そんなことを考えているとまた泣けてきて。
こんな感じで新しい人生2日目は泣いては寝てを繰り返して終わった。
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