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この世界で目覚め、3日目。
ようやく自分の置かれている状況が分かってきた。
どうやら私は異世界に転生してしまったらしい。
しかもこの世界は自分がやっていた乙女ゲームの『月明かりが差す夜に』だった。
それがわかったのも、今まで全くわからなかった言語が何故かわかるようになっていたからだ。
このゲームにはいくつか代表的な魔法がある。
その一つが主に子どもにかける安眠のおまじないのような魔法で、術者が対象者の額に手をかざしながら詠唱するのだ。
『モーン・ガータ』この言葉を言うと術者の手から光の粒子が降り注ぐ。
この魔法をお昼寝の前に乳母がかけてくれたのでここが異世界である事がわかた。
この1日で乳母とはかなり距離を縮めた。
この優しそうな女性は常に私に穏やかに話しかけてくれる。
最初は特に反応をしなかったが、あまりにも話しかけてくれるので少しずつ返事をし始めた。
「おはようございます、お嬢様!
今日はいい天気ですね~」
「お嬢様はとても綺麗な髪と目の色をお持ちですね
まるで妖精のようです」
「あら、今日は食欲があるみたいですね!上手ですね~
たくさんミルクを飲んで大きくなりましょうね」
午前中はこんな感じで常に話しかけてくれた。
まさかミルクを飲んだだけで褒められるとは思わず、照れ臭かったが悪い気はしなかった。
「お嬢おさま、そろそろお昼寝から起きましょうね」
「あぁうあ」(おはよう)
「あら!お返事をしてくれたんですか?
なんて可愛いのかしら!」
「お嬢様、少し部屋の中を歩きましょうか?」
そう言って乳母は私を抱き上げた。
乳母はひとつひとつ丁寧に説明しながらゆっくり部屋の中を回ってくれた。
まだ生まれたばかりの赤ん坊に与えられた部屋とは思えないくらいの広さだった。
部屋は白と水色を基調とした優しい空間で、窓際にはレースでできた天蓋のついた可愛らしいベビーベッドが置いてあった。
自分はこんなにも可愛らしいベッドを使っていたのかと初めて気がついた。
部屋の中心には柔らかそうな丸い絨毯が敷いてあり、その上にはパステルカラーのクッションがいくつか置いてあった。
ふかふかそうなアイボリーのソファーセットも置いてある。赤ん坊の部屋だからか随分背の低いソファーだ。
白地に金で装飾されたキャビネットは派手過ぎず、それでもキラキラしていて綺麗だった。
私の心を1番震わせたのは続き部屋になっているウォークインクローゼットだ。
まだ自分には大きそうだがかわいらしドレスがいくつもあり思わず声が漏れた。
「んあぁぁ!」
「気に入りましたか?
やはり女の子ですね~、こちらは全てお嬢様に贈られたものですよ!」
「あぅぁ」(本当に?これ全部?)
「ふふ、嬉しそうですね
こちらのドレスは王子殿下からの贈り物ですよ
お嬢様がもう少し大きくなったら着ましょうね!」
王子殿下?!
誕生祝いを王子様からもらえると言うことは、家は相当な高位貴族か由緒ある家系だ。
ゲームで出てくる女性キャラクターの高位貴族は悪役令嬢くらいだ。
きっと自分はゲームには出てこないモブだろう。
貴族ということは15歳になれば王立アカデミーに入る事ができる!
あの憧れの世界に入り素敵なお城で魔法を学べるのだ!
入学祝いには白い梟をねだろう。
そんな事を考えていると突然ドアをノックする音が聞こえた。
「リーナ!お父様とお母様がきたわよ」
そう言いながら初めて目を覚した時に見た夫婦が入ってきた。
あぁ、誘拐犯だと思っていた男女は私の現世での両親だったのか。
リーナと私に声をかけたということはこれが私の名前か。
はっきりとは思い出せないが、確か悪役令嬢はもっと長い名前だったはずだ。
「おや、今日は機嫌がいいのかな?」
「えぇ、旦那様。
今日のお嬢様は本当にいい子でいらしたんですよ。
ミルクもよく飲み、少し前までは気持ちよくお昼寝していたんですよね?」
「ぁうあ」(そうなの、私ってすごくいい子なのよ)
「まぁ!リーナ!
今お返事をしたの?あなた、この子天才だわ!」
「あぁ、間違いない!」
両親は私の返事に大袈裟なほど喜び、褒めてくれた。
それがなんだかおかしくて、声を上げて笑うと誘われるようにみんなが笑った。
とても幸せな空間だった。
優しい人たちに囲まれていることに気づいた。
そろそろ私も大人として自分の現実を受け入れなければ行けない頃かも。
前世の未練が亡くなったわけではないが、ここで生きる決心をした。
ようやく自分の置かれている状況が分かってきた。
どうやら私は異世界に転生してしまったらしい。
しかもこの世界は自分がやっていた乙女ゲームの『月明かりが差す夜に』だった。
それがわかったのも、今まで全くわからなかった言語が何故かわかるようになっていたからだ。
このゲームにはいくつか代表的な魔法がある。
その一つが主に子どもにかける安眠のおまじないのような魔法で、術者が対象者の額に手をかざしながら詠唱するのだ。
『モーン・ガータ』この言葉を言うと術者の手から光の粒子が降り注ぐ。
この魔法をお昼寝の前に乳母がかけてくれたのでここが異世界である事がわかた。
この1日で乳母とはかなり距離を縮めた。
この優しそうな女性は常に私に穏やかに話しかけてくれる。
最初は特に反応をしなかったが、あまりにも話しかけてくれるので少しずつ返事をし始めた。
「おはようございます、お嬢様!
今日はいい天気ですね~」
「お嬢様はとても綺麗な髪と目の色をお持ちですね
まるで妖精のようです」
「あら、今日は食欲があるみたいですね!上手ですね~
たくさんミルクを飲んで大きくなりましょうね」
午前中はこんな感じで常に話しかけてくれた。
まさかミルクを飲んだだけで褒められるとは思わず、照れ臭かったが悪い気はしなかった。
「お嬢おさま、そろそろお昼寝から起きましょうね」
「あぁうあ」(おはよう)
「あら!お返事をしてくれたんですか?
なんて可愛いのかしら!」
「お嬢様、少し部屋の中を歩きましょうか?」
そう言って乳母は私を抱き上げた。
乳母はひとつひとつ丁寧に説明しながらゆっくり部屋の中を回ってくれた。
まだ生まれたばかりの赤ん坊に与えられた部屋とは思えないくらいの広さだった。
部屋は白と水色を基調とした優しい空間で、窓際にはレースでできた天蓋のついた可愛らしいベビーベッドが置いてあった。
自分はこんなにも可愛らしいベッドを使っていたのかと初めて気がついた。
部屋の中心には柔らかそうな丸い絨毯が敷いてあり、その上にはパステルカラーのクッションがいくつか置いてあった。
ふかふかそうなアイボリーのソファーセットも置いてある。赤ん坊の部屋だからか随分背の低いソファーだ。
白地に金で装飾されたキャビネットは派手過ぎず、それでもキラキラしていて綺麗だった。
私の心を1番震わせたのは続き部屋になっているウォークインクローゼットだ。
まだ自分には大きそうだがかわいらしドレスがいくつもあり思わず声が漏れた。
「んあぁぁ!」
「気に入りましたか?
やはり女の子ですね~、こちらは全てお嬢様に贈られたものですよ!」
「あぅぁ」(本当に?これ全部?)
「ふふ、嬉しそうですね
こちらのドレスは王子殿下からの贈り物ですよ
お嬢様がもう少し大きくなったら着ましょうね!」
王子殿下?!
誕生祝いを王子様からもらえると言うことは、家は相当な高位貴族か由緒ある家系だ。
ゲームで出てくる女性キャラクターの高位貴族は悪役令嬢くらいだ。
きっと自分はゲームには出てこないモブだろう。
貴族ということは15歳になれば王立アカデミーに入る事ができる!
あの憧れの世界に入り素敵なお城で魔法を学べるのだ!
入学祝いには白い梟をねだろう。
そんな事を考えていると突然ドアをノックする音が聞こえた。
「リーナ!お父様とお母様がきたわよ」
そう言いながら初めて目を覚した時に見た夫婦が入ってきた。
あぁ、誘拐犯だと思っていた男女は私の現世での両親だったのか。
リーナと私に声をかけたということはこれが私の名前か。
はっきりとは思い出せないが、確か悪役令嬢はもっと長い名前だったはずだ。
「おや、今日は機嫌がいいのかな?」
「えぇ、旦那様。
今日のお嬢様は本当にいい子でいらしたんですよ。
ミルクもよく飲み、少し前までは気持ちよくお昼寝していたんですよね?」
「ぁうあ」(そうなの、私ってすごくいい子なのよ)
「まぁ!リーナ!
今お返事をしたの?あなた、この子天才だわ!」
「あぁ、間違いない!」
両親は私の返事に大袈裟なほど喜び、褒めてくれた。
それがなんだかおかしくて、声を上げて笑うと誘われるようにみんなが笑った。
とても幸せな空間だった。
優しい人たちに囲まれていることに気づいた。
そろそろ私も大人として自分の現実を受け入れなければ行けない頃かも。
前世の未練が亡くなったわけではないが、ここで生きる決心をした。
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