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リーナとあった日から自分の日常は少しづつ変わった。
つまらないと思っていた授業は、彼女に会ったときに話すことを増やしたくて以前よりも意欲的に受けた。
その態度が教師たちにも伝わったのか、彼らとの会話も自然と増えた。
以前のようなあからさまなお世辞や貼り付けた笑顔は少なくなり、授業も楽しいものに思えた。
特に力を入れたのは魔法学だった。
理由は単純だった。
自分の魔法で作ったネックレスを彼女が喜んでくれたから、また自分の力であの笑顔を見たかった。
元々素質はあったため上達は早かった。
「素晴らしい出来です、殿下!今まで多くの生徒を持ちましたが、殿下ほど上達の早い生徒は初めてですぞ。」
「ありがとうございます。しかし僕はもっと先に進みたいと思っています。」
「さようでございますか、、すでにアカデミー入学レベルには達していますが、、、、。殿下には何か目標がおありですかな?」
(目標か、、)
「自分の力で守りたい人がいます。」
自分の素直な気持ちを伝えると、教師は一瞬驚いたような素振りをした後に元々皺だらけの顔にさらに皺を刻み、微笑みながら言った。
「それは大変ご立派な目標ですな」
なんだか気恥ずかしくなりそれ以上の返事はしなかった。
それ以降の魔法学の授業は厳しくも楽しいものとなった。
できることが増えるのは単純に楽しくて、どんどん知識を増やした。
教師のアドルフとは授業以外の話もするようになり、自分の良き師であり理解者になった。
来年になれば自分も正式な王族として認められる。
その準備のために今までよりもスケジュールは過密にりなかなか庭園に行く時間を取ることができなかった。
リーナにあげたネックレスと対のブレスレットを作り、彼女が王城に来た日にはわかるようにしていた。
初めて会った日から2ヶ月の間、自分のブレスレットは5回ほど光ったが会いに行ける状態ではなくもどかしい日が続いた。
なかなか現れない自分にあの子は呆れているのではないだろうか。
クッキーの約束は忘れてしまっただろうか。
そんなことを永遠と考えているうちについに痺れを切らし、アドルフに授業を休ませてほしいと伝えた。
「いきなりどうされましたかな、殿下。」
「申し訳ありません、どうしても行きたいところがあるのです。」
「、、、、詳しくは言えないが、大事な用があるようですな。」
心なしかアドルフの顔がにやけているように見えた。
「、、えぇ、まぁ、そんなところです。」
全て見通されているようで、なんとも歯切れの悪い返事をした。
「どんなに大切な用事でも授業を逃げ出すことを容認する訳にはいきませんな。」
「そう、、ですか、わかりました始めましょう。」
あからさまに落ち込んだ自分を情けなく思ったが、とても授業を受ける気にはなれなかった。
「殿下、授業を始める前にこの老いぼれに少し時間をくださいますかな?」
「、、えぇ」
「いかに魔法が使えても、老いには勝てないものです。最近は私も忙しく、少し疲れてしまいましてな。」
「そうですか。」
少しそっけない態度をとってしまった。
アドルフは自分を攻めるでもなく、むしろ自分の孫を見るかのような優しい笑顔で続けた。
「少し仮眠の時間をいただきたいのです。私も相当疲れていますから、少しの物音では起きることはできないでしょうな、、」
彼が行ってもいいと言っているのがすぐにわかった。
感謝を伝えそうになったがそれは可笑しいため、開きかけた口を慌てて閉じた。
「、、わかりました、ではこれまでの授業の復習が終わったら声をかけます!」
「殿下のお心遣い、大変嬉しく思います。」
アドルフがソファーに移動して目を閉じたのを確認すると、そっと立ち上がり扉まで歩いた。
部屋を出るときに聞こえるかわからない小さな声で感謝を伝えた。
「ありがとうございます」
「、、、これは普段頑張っていらっしゃる殿下へのご褒美ですよ。」
穏やかな声でそう聞こえた気がした。
つまらないと思っていた授業は、彼女に会ったときに話すことを増やしたくて以前よりも意欲的に受けた。
その態度が教師たちにも伝わったのか、彼らとの会話も自然と増えた。
以前のようなあからさまなお世辞や貼り付けた笑顔は少なくなり、授業も楽しいものに思えた。
特に力を入れたのは魔法学だった。
理由は単純だった。
自分の魔法で作ったネックレスを彼女が喜んでくれたから、また自分の力であの笑顔を見たかった。
元々素質はあったため上達は早かった。
「素晴らしい出来です、殿下!今まで多くの生徒を持ちましたが、殿下ほど上達の早い生徒は初めてですぞ。」
「ありがとうございます。しかし僕はもっと先に進みたいと思っています。」
「さようでございますか、、すでにアカデミー入学レベルには達していますが、、、、。殿下には何か目標がおありですかな?」
(目標か、、)
「自分の力で守りたい人がいます。」
自分の素直な気持ちを伝えると、教師は一瞬驚いたような素振りをした後に元々皺だらけの顔にさらに皺を刻み、微笑みながら言った。
「それは大変ご立派な目標ですな」
なんだか気恥ずかしくなりそれ以上の返事はしなかった。
それ以降の魔法学の授業は厳しくも楽しいものとなった。
できることが増えるのは単純に楽しくて、どんどん知識を増やした。
教師のアドルフとは授業以外の話もするようになり、自分の良き師であり理解者になった。
来年になれば自分も正式な王族として認められる。
その準備のために今までよりもスケジュールは過密にりなかなか庭園に行く時間を取ることができなかった。
リーナにあげたネックレスと対のブレスレットを作り、彼女が王城に来た日にはわかるようにしていた。
初めて会った日から2ヶ月の間、自分のブレスレットは5回ほど光ったが会いに行ける状態ではなくもどかしい日が続いた。
なかなか現れない自分にあの子は呆れているのではないだろうか。
クッキーの約束は忘れてしまっただろうか。
そんなことを永遠と考えているうちについに痺れを切らし、アドルフに授業を休ませてほしいと伝えた。
「いきなりどうされましたかな、殿下。」
「申し訳ありません、どうしても行きたいところがあるのです。」
「、、、、詳しくは言えないが、大事な用があるようですな。」
心なしかアドルフの顔がにやけているように見えた。
「、、えぇ、まぁ、そんなところです。」
全て見通されているようで、なんとも歯切れの悪い返事をした。
「どんなに大切な用事でも授業を逃げ出すことを容認する訳にはいきませんな。」
「そう、、ですか、わかりました始めましょう。」
あからさまに落ち込んだ自分を情けなく思ったが、とても授業を受ける気にはなれなかった。
「殿下、授業を始める前にこの老いぼれに少し時間をくださいますかな?」
「、、えぇ」
「いかに魔法が使えても、老いには勝てないものです。最近は私も忙しく、少し疲れてしまいましてな。」
「そうですか。」
少しそっけない態度をとってしまった。
アドルフは自分を攻めるでもなく、むしろ自分の孫を見るかのような優しい笑顔で続けた。
「少し仮眠の時間をいただきたいのです。私も相当疲れていますから、少しの物音では起きることはできないでしょうな、、」
彼が行ってもいいと言っているのがすぐにわかった。
感謝を伝えそうになったがそれは可笑しいため、開きかけた口を慌てて閉じた。
「、、わかりました、ではこれまでの授業の復習が終わったら声をかけます!」
「殿下のお心遣い、大変嬉しく思います。」
アドルフがソファーに移動して目を閉じたのを確認すると、そっと立ち上がり扉まで歩いた。
部屋を出るときに聞こえるかわからない小さな声で感謝を伝えた。
「ありがとうございます」
「、、、これは普段頑張っていらっしゃる殿下へのご褒美ですよ。」
穏やかな声でそう聞こえた気がした。
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