異世界に転生したので婚約破棄してスローライフを楽しみます

ゆらぎ

文字の大きさ
11 / 12

11

しおりを挟む
湖で溺れた日から3週間後、いつもの様に庭園に向かった。レンと会えるとは思っていなかったが、もしもの時のためにクッキーを持ってきていた。

湖に落としてしまったのは正直とても残念だったので今度は小さなバスケットを用意してもらった。
レンの魔法を見た日から自分も魔法を学びたいと思い、帰ってから早速家庭教師をつけてもらう約束をした。

自分は意外と素質があったみたいで、レンの言った通り浮遊術もすぐに使える様になった。
魔法を使ってお茶を淹れることができる様になったので、バスケットに簡易的なティーセットも用意してもらっていた。

庭園について1時間ほど経ち、今日もレンに会えないことに肩を落としながら休める場所を探した。
最近は人気のない静かなところで1人、お茶を飲みながら読書をしてお父様の仕事が終わるのを待っていた。

家庭教師をつけてもらってからは魔法学の勉強に熱中した。
魔法の勉強は楽しくて仕方なかったし、自分が魔法を使っていることに毎日信じらない気持ちだった。

今日も魔法学の教科書を読みながら、たまに練習したりしていた。
あまりにも夢中になってしまい、後ろから近づいてくる人に気が付かなかった。

「リーナ!」
「えっ!?」
いきなり後ろから名前を呼ばれ驚き振り返るとそこにはレンがいた。

「レン!!こんなに早く会えるなんて!」
「僕も嬉しいよ、久しぶりリーナ」
予想外のサプライズに嬉しくなり、思わず蓮に抱きついてしまった。
レンは驚きながらも、優しく抱きしめ返してくれた。

「今日はちゃんとしたクッキーがあるのよ!時間はある?一緒に食べよ!」
「うん、大丈夫だよ!やっと食べられるんだね。楽しみにしてたんだ。」

クッキーを準備しつつ、覚えた魔法をレンに見せたくてソワソワしていた。
「、、リーナ、どうかしたの?」
「実はね、、私も魔法を覚えたの!簡単なものだけどお茶を入れられる様になったの!」
「すごいじゃないか!3週間で魔法を覚えたの?」
「そうなの!素質があったみたい!」
少し自慢げに話すとレンも褒めてくれて嬉しかった。

「じゃあ、お手並み拝見させてもらうね」
レンが楽しげに、期待を込めた目で見るので少し緊張した。

一息付き、ティーポットを持つ手に力を込めた。
ティーポットの中はすぐに水で満たされ、だんだんと熱を持ってきた。
ポットを温めると同時に、熱いポットを持っていられるように自分の手にも結界をはった。
十分温めた後に浮遊術でポットの蓋と茶葉を浮かせ、中に入れた。
数分待つと周囲はお茶のいい香りで満ちた。

「できたわ!早速お茶にしましょう!」
レンにティーカップを渡し、お茶を注いだ。
(よかった、うまく淹れられた!)

ティーカップに口をつけるところをドキドキしながら見守った。
「すごくおいしいよ!やるね、リーナ!」
「本当?!よかった~、レンに見せたくてたくさん練習したの!」
「クッキーも食べていい?」   
「もちろん!今日は二種類持ってきたの!」
クッキーを出しながら説明した。

「一つはいちごのジャムのクッキーでもう一つはナッツのクッキよ!」
「、、美味しそう!いただきます!」

一口食べた途端、レンは顔を輝かせた。
ひと目見ただけでおいしいと思ってくれてることがわかり嬉しくなった。
レンはクッキーを無言で食べ続けた。
自信はあったがあまりにも無言なので不安になり声をかけた。

「、、、レン、、どう、かな?」
「、、、、びっくりした、こんなにおいしいお菓子は初めて食べたよ!リーナが作ってくれたからこんなに美味しいのかな?」
天使の様な笑顔で言うレンを見て顔に熱が集まるのがわかった。
期待以上の反応と、率直な言葉が嬉しかったが恥ずかしくなり俯いてしまった。
「、、、そっか、よかった」
(絶対顔赤くなってるよ、、、、こんな子供相手に、、)

しばらく複雑な感情で顔をあげられないでいると、視界いっぱいにレンの顔が映った。
「どうかした?大丈夫か?」

レンが自分の顔を覗き込んできたのだ。
突然のことに驚き、思わず後ずさってしまった。
「だっ、大丈夫よ!なんでもないの!」
「そうか、ならいいんだが。今日のリーナは少し変だな」

気持ちを落ち着かせるために深呼吸をしもう一度レンを見た。
(よかった、動悸は気のせいだったみたい)
子供相手にときめいてしまったのではないかと言う不安を払拭でき一安心した。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!

ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。 ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!? 「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」 理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。 これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

『追放された私ですが、異世界では最上級の愛を授かりました

カブトム誌
恋愛
日本でごく普通のOLとして暮らしていた**佐倉 美咲(27)**は、 事故をきっかけに剣と魔法の異世界へ転移する。 目を覚ました先は、 「役立たず」として王都から追放される寸前の少女の身体だった。 魔法も戦闘もできない。 頼れる人もいない。 それでも—— 日本で身につけた“当たり前の知恵”と優しさは、 この世界では「奇跡」だった。 辺境の地で出会ったのは、 人を信じない孤高の領主 レオニス。 最初は冷たい態度だった彼は、 少しずつ美咲に惹かれていく。 「君だけは、俺を裏切らない気がする」 追放から始まる異世界生活。 不遇な少女が“愛される存在”へと変わる、 じれ甘・溺愛ファンタジー恋愛

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

婚約破棄したら食べられました(物理)

かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。 婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。 そんな日々が日常と化していたある日 リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる グロは無し

強い祝福が原因だった

恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。 父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。 大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。 愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。 ※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。 ※なろうさんにも公開しています。

処理中です...