白の衣の神の子孫

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おまけの話

団長と俺 3

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  隊列の中央に団長と副団長は位置し、そのすぐ後ろに俺は伝令と一緒についていた。
  森に入り、狭い道は二列で並んで進める程の幅で、馬の障害になる枯れ倒木があれば先頭を行く隊により合図があり、しばらく隊列は一旦止まって、邪魔なそれを道の横に避ける作業を待つ。そんな停滞もある中をゆっくりと進む。
  伝令の二人は仲が良い。上司が咎めないのをいいことに口を閉じる暇もないほど、しゃべり通しだ。、前からの知り合いだか何か知らないが、気安く団長に話しかけ、団長も自然に会話に参加する。団長は一方で、副団長と何やら真剣な表情で会話をしているかと思えば、たまに俺にも話を振ってくる。俺もなんとか緊張しながら、二言三言団長に返事をするものの、なんとなく彼らの団長に対する礼儀がなってないというか……上司への敬意が足りないような、違和感のようなものを感じる。どうにも俺は貴族のお付きが長かったせいか、団長や周りとのかかわり合いのペースが掴めない。

「団長はトラネク商会にお知り合いがいると聞いたんですが、本当ですかぁ?」
「うん祖父だけど。誰から聞いたのかな?」
「お祖父様ですか!?ほんとに!?びっくりですよ。実は、俺の婚約者が勤めているのがトラネク商会なんですよ。」
「ほう?婚約者が?」
「ええ。トラネク氏の秘書。餞別の相談されて、買いに行ったって言ってまして……出立するというトラネク氏の親戚の名前は教えてくれなかったけど、朱色の瞳で……それ……耳の……そうですよね?……この時期出発するってことや、騎士であるってことなら、該当するの団長くらいでしたから、なんとなくわかっちゃいました。」
「ああ、これね、もらったんだ赤のピアス。」

  伝令のバカ丸出しの話を黙って聞いていたが、ここでその話題だす伝令も頭悪いが、その秘書、駄目だろ…守秘義務はどうなっているんだよ……と、俺は内心突っ込んでいた。

「話聞いて、驚いたろ?祖父が獣人族で。」

  ええ!?トラネク氏は獣人族ですか!?お祖父様が獣人だなんて、俺、驚きました!はい!
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