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お仕事の時間ですよ 3
+王宮騎士物語 第25話
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「フォムボトル隊長、来…客…です。」
「来客?誰だ?今日はそんなそんな予定は無かったぞ?今は時間がない。」
王女が避暑地に向かう途中消息を絶ったと知らせが届いた。そのため第七隊本部の施設内は慌ただしく、フォムボトルもすぐに王都の中央司令部の通信部隊に向かうつもりだった。まだ、王女の件は第一報が入った中央のごく一部が知るのみだが、第七部隊所属だった者が各部隊の通信部を構成しているため、情報は自然と集まってくる。
速やかに王に報告し、指示を仰がねばならない。その役目がどうやら通信部技術長も兼任するフォムボトルに回って来たようで、急遽本部に呼び出されたのだ。
「はい、ですが、会わせろと繰り返しておりまして……」
「まて、ここに直接来たとなれば、能力者か?」
「いえ、それが……その……」
言い淀む彼に業を煮やし、廊下を先に立って早足で歩く。
「どこにいる?」
「門前で、数人がかりで、押さえています。」
「はぁ?数人がかり?どんな剛の者だ。」
一目見て、理解する。
「ははは、なるほど、君達は会ったことなかったな。」
『アナタ達キライ、もう触らないで!離してよ!おそい!フォムボトル!』
「離していいぞ、もう暴れないから。」
「ですが……」
ヘトヘトになり、そこに座り込んだ職員達。
『言われた通り、ちゃんと手加減したわよ。』
ふふん!と誉めなさい!とばかりに鼻をならし、フォムボトルに近づく一頭の黒い牝馬。
「グリーン、どうした?俺に用か?」
『ハンスはどこ?教えなさいよ。』
ハンスが両足を怪我した際同じく傷を負ったグリーンはイークの兄の元に里帰りし、休養中であったはずだ。
「ハンス?彼は王女と……」
報告では、ハンスはクロードと共に王女の護衛で同行し、渦にまきこまれたのは、消息不明の王女とクロードと近衛騎士隊長と聞いていた。
『ハンスの所に行くの!クロードの声をアナタも聞いたでしょ?』
「ハンスは無事だ。心配なら、俺と行くか?怪我はもういいのか?」
『いいに決まってるでしょ!アンタ特別に乗せてあげるから、ほら、早く!』
イライラした感情を駄々漏れにし、足踏みをするグリーンを横目に、後の指示を部下に出して準備をする。
『はやくぅ!』
「一旦、王都に戻るぞ。」
フォムボトルを乗せてグリーンは疾走する。途中で日暮れを迎えたが、もう、遠くに城は見えている。安全のためにスピードを少し落としたら、グリーンは不満そうに鼻を鳴らすが、フォムボトルの指示通りに進む。
………が。フォムボトルとグリーンに聞こえてきた声によって、一変する。
『隊長!王女救出成功。しかし、ハンスが消えました!』
『ハンス!』
グリーンはフォムボトルをその場で振り落とし、彼の静止を振り切って、城と反対方向に駆けて行った。黒い後ろ姿は、あっという間に闇に消えた。
「通信部、誰か!聞こえるか?迎えを寄越してくれ。」
落馬の痛みに耐えながら、その場で待つことになったフォムボトルは、今回の件の報告に頭を悩ませていた。
「ともかく、王女は無事でよかった。」
自分の位置を知らせるために魔装具に灯した光をゆっくりと振り、迎えの部下達の明かりが近付いてくるのを深いため息をつきながら見つめた。
「来客?誰だ?今日はそんなそんな予定は無かったぞ?今は時間がない。」
王女が避暑地に向かう途中消息を絶ったと知らせが届いた。そのため第七隊本部の施設内は慌ただしく、フォムボトルもすぐに王都の中央司令部の通信部隊に向かうつもりだった。まだ、王女の件は第一報が入った中央のごく一部が知るのみだが、第七部隊所属だった者が各部隊の通信部を構成しているため、情報は自然と集まってくる。
速やかに王に報告し、指示を仰がねばならない。その役目がどうやら通信部技術長も兼任するフォムボトルに回って来たようで、急遽本部に呼び出されたのだ。
「はい、ですが、会わせろと繰り返しておりまして……」
「まて、ここに直接来たとなれば、能力者か?」
「いえ、それが……その……」
言い淀む彼に業を煮やし、廊下を先に立って早足で歩く。
「どこにいる?」
「門前で、数人がかりで、押さえています。」
「はぁ?数人がかり?どんな剛の者だ。」
一目見て、理解する。
「ははは、なるほど、君達は会ったことなかったな。」
『アナタ達キライ、もう触らないで!離してよ!おそい!フォムボトル!』
「離していいぞ、もう暴れないから。」
「ですが……」
ヘトヘトになり、そこに座り込んだ職員達。
『言われた通り、ちゃんと手加減したわよ。』
ふふん!と誉めなさい!とばかりに鼻をならし、フォムボトルに近づく一頭の黒い牝馬。
「グリーン、どうした?俺に用か?」
『ハンスはどこ?教えなさいよ。』
ハンスが両足を怪我した際同じく傷を負ったグリーンはイークの兄の元に里帰りし、休養中であったはずだ。
「ハンス?彼は王女と……」
報告では、ハンスはクロードと共に王女の護衛で同行し、渦にまきこまれたのは、消息不明の王女とクロードと近衛騎士隊長と聞いていた。
『ハンスの所に行くの!クロードの声をアナタも聞いたでしょ?』
「ハンスは無事だ。心配なら、俺と行くか?怪我はもういいのか?」
『いいに決まってるでしょ!アンタ特別に乗せてあげるから、ほら、早く!』
イライラした感情を駄々漏れにし、足踏みをするグリーンを横目に、後の指示を部下に出して準備をする。
『はやくぅ!』
「一旦、王都に戻るぞ。」
フォムボトルを乗せてグリーンは疾走する。途中で日暮れを迎えたが、もう、遠くに城は見えている。安全のためにスピードを少し落としたら、グリーンは不満そうに鼻を鳴らすが、フォムボトルの指示通りに進む。
………が。フォムボトルとグリーンに聞こえてきた声によって、一変する。
『隊長!王女救出成功。しかし、ハンスが消えました!』
『ハンス!』
グリーンはフォムボトルをその場で振り落とし、彼の静止を振り切って、城と反対方向に駆けて行った。黒い後ろ姿は、あっという間に闇に消えた。
「通信部、誰か!聞こえるか?迎えを寄越してくれ。」
落馬の痛みに耐えながら、その場で待つことになったフォムボトルは、今回の件の報告に頭を悩ませていた。
「ともかく、王女は無事でよかった。」
自分の位置を知らせるために魔装具に灯した光をゆっくりと振り、迎えの部下達の明かりが近付いてくるのを深いため息をつきながら見つめた。
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