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黒の章
黒の子 15
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騎士の養成学校と寮は王都にあるが、訓練所や合宿所は、遠く離れた場所にある。寮から訓練所までも、馬に馴れるため、乗馬技術を磨くため移動は馬を使う。
騎士見習いの小学年になると彼等は自分と愛称の良い馬を探し始める。学内にも厩舎があり、入学したばかりで馬に馴れていない生徒はここの馬を使って馬術を学ぶ。これらの馬は優秀で、技術のない初心者でもそれなりに動いてくれる。だが、生徒達が目にする指導に訪れる騎士は、常に行動を共にする愛馬を持ち、家族のように大切に接する。その馬上の姿を憧れと尊敬を持って見つめる騎士見習い達は、自分と相性の良い戦友となれる相棒と出会うことを強く願う。そんな彼等は馬主の元を回って、試乗という名のお見合いをする。
「次の休みはお見合い行く?」
「うん、南の牧場まで行こうかな。」
「俺、そこまだ行ってない。一緒に行っていいか?」
「もちろん。」
そんな会話があちこちで聞こえる。
中学年でも愛馬がみつかっていない騎士見習い達は貴重な休みを使ってでも、どんな遠くにでも、いい馬がいると聞くと希望者が連れだって出掛けていく。まだ乗馬技術の不確かな小学年の間は近辺の牧場で授業を行ったりするので、運が良ければ早くに出会いがあるという。自馬として学校の厩舎で自ら世話をするため、馬主から学校に納入され、一旦代金は学校から支払われる。その幸運に恵まれた騎士見習いが将来晴れて騎士になった場合、代金は給金から毎月一定額を差し引かれて学校に返済される。騎士にならない又は途中で退学した場合は学校の所有となる。ただ、授業で使う馬の購入金額は国の規定があり、その基準よりも購入時高額だった場合は差額を返済することが決められている。だが、命を預ける相棒に高いも安いもないし、大体において能力の高い馬は値段も高額な場合が多い。
フールワンツと約束をしていたクロードは、厩舎から一頭借り、フールワンツの愛馬の後をついていく。黒い艶やかな毛並みは光を受けて光の波をたてる。その後ろ姿を彼は羨ましく眺めていた。
「クロードはまだ、お見合いは成功していないんだな。」
「はい。残念ながら。」
何ヶ所か馬主をまわって、試乗繰り返した。相性の良い馬はいたが、相棒に…と思うと良く分からずまだ見つからなかった。
「出会ったら、分かるものなのですか?」
「そうだね、手綱を通じて気持ちが分かる……という人もいるし、手足のように動くという人もいる。」
「先輩の場合はどうだったのですか?」
参考にしたいと、フールワンツの経験を聞いてみた。
「うん、プロポーズされた。」
「えっ?」
クロードは意外な答えに、固まった。
騎士見習いの小学年になると彼等は自分と愛称の良い馬を探し始める。学内にも厩舎があり、入学したばかりで馬に馴れていない生徒はここの馬を使って馬術を学ぶ。これらの馬は優秀で、技術のない初心者でもそれなりに動いてくれる。だが、生徒達が目にする指導に訪れる騎士は、常に行動を共にする愛馬を持ち、家族のように大切に接する。その馬上の姿を憧れと尊敬を持って見つめる騎士見習い達は、自分と相性の良い戦友となれる相棒と出会うことを強く願う。そんな彼等は馬主の元を回って、試乗という名のお見合いをする。
「次の休みはお見合い行く?」
「うん、南の牧場まで行こうかな。」
「俺、そこまだ行ってない。一緒に行っていいか?」
「もちろん。」
そんな会話があちこちで聞こえる。
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「はい。残念ながら。」
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