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お仕事の時間ですよ 3

王宮騎士物語 28 黒の国 3

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  ヨークラウデンはカリネの侍女に頼み、切りっぱなしの髪を揃えてもらった。見た目には気付かなかったが、自分で切った髪は所々極端に短く、さらに予想以上に塗装剤が髪の上部まで掛かっていて、それを全て取り除き整えると、あちこちに跳ねたベリーショートのツンツン頭になってしまった。
「鏡を…」
出来上がりを確認したいと、鏡を要求するヨークに、サアラは躊躇した。綺麗に手入れされた艶々の長い黒髪が、意図せず汚され、容赦なく切られてしまった。今までの王子の印象を大きく壊すヘアースタイルにきっとショックを受けるに違いないと思い…鏡を恐る恐る向けた。だが、鏡を見たヨークラウデンはその姿を見るなり笑いだした。
「ヨーク?」
「はは、す、すまない!サアラもこの姿になるかと思うと、悪いなと、思うのだが……おかしくて………」
侍女は切り落とした髪をささっと片付けて、椅子を指差す。
「さあ、次はサアラ様の番です。座って下さいな。おなじ、髪型にいたしますから。落とした髪は付け毛にでもいたしますか?」
サアラは、無情な宣告に肩を落とした。
「さて、その間、私は少し散策してくるよ。」
「うぃ~。出来上がりを、楽しみになぁ……」
「頭が軽いな…ふふ。」
  ヨークラウデンは屋敷の中庭に出て体を伸ばした。
「長い髪は引っ掛けたり、うっかり挟んだりして邪魔だったんだよな…切りたいと言っても反対されるから、かえって良かったな……」
花壇の花を楽しみながら歩くと、少し離れた場所に黒い毛玉が見えた。と、思ったら女の子の後ろ姿だ。しゃがみ込み、扇状に背中に広がった癖のある後ろ髪が体を隠し、黒い固まりに見える。
  この屋敷に小さな女の子はいないはず、と思い彼女に近づき声を掛ける。
「何をしてるの?」
クルリと振り返り、目を合わせた途端、ぷっと吹き出し、大きく口を開けて笑い出した。
  その笑顔がなんとも可愛らしく、ヨークは一瞬、見とれてしまった。
「その髪!」
指を指しておかしい!とばかりにけたけた笑う。
「短いぃ~」
ヨークはそんなに短くないよ、と前髪をツンと引っ張って言った。
「そうかな。」
「だって~」
「君、どこから入ったの?お屋敷に勝手に入ってはいけないよ?」
ヨークは近所の子どもが入り込んだと思って、見つからないうちに帰りなさい、と言った。
「早く行きなさい。見つかったら叱られるよ。」
叱られる、という言葉を聞いた途端に、急に静かになった彼女は大変とばかりに、クルリと後ろを向き、駆け出した。
  走る後ろ姿に、ヨークは何かに突き動かされるように、呼び掛けていた。
「君の名前は?」
「クローリ……」
小さく聞き取れた声は、そう聞こえた。
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