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お仕事の時間ですよ 3
+王宮騎士物語 第31話
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謁見の間にて、同盟国大使は自国の王からの書簡を取り出し、側付きに手渡す。王女は王弟と共に王の隣に静かに座り、微笑んでいた。王は書簡を確認し、目の前の大使に尋ねた。それに対して、自国の王子との婚約を考えてもらえないかとのこと。また、自国に招待しもてなしたいと。
「あ~すまない。」
話の途中で、王弟が口を挟む。明らかにムッとした表情の大使であったが、目の前の王弟に何も言えず、会話を一旦止めて、黙った。
「王女の体調が優れない。」
王は心配そうに振り返り頷いた。
「ソフィーナ疲れただろう、もう後は良いから、退出しなさい。」
その声に侍女が駆け寄った。
「申し訳ない、日を改めさせて頂きます。」
同席していた王弟の声で、侍女が手を取り立ち上がる。
「ソフィーナ、手を。」
すかさず王弟も立ち上がり、王女を導き、優雅に歩き始める。
「お、お兄様……」
王弟がにっこりと頷き、手を引く。
避暑地で王女は体調を崩して、しばらく城に戻らなかった。公務のある王は城から離れられず、心配して弟を迎えに出した。王弟と共に城に帰った王女の体調は不安定で、公務も制限している。
謁見の間を出ると王弟が聞いた。
「エリーの様子はどうだい?」
「臥せったままですわ。」
城に戻る途中に原因不明の熱病にかかり、寝込んでしまったエリーは王宮の医師が治療にあたっている。
「エリーの両親が面会を求めておりますが、いかがなさいますか?」
「意識はなくとも、会いたいでしょう。私も同席いたしますので、手配をお願いします。」
王女が伏せ目がちに指示を出す。
「顔を上げて……」
王弟が耳元で、ささやく。はっとし、顔を上げ姿勢を正すソフィーナ。
「どこで誰が見ているかわからないからね。」
小さくささやく、その声に、頷く王女。
「はい。お兄様。」
王女を救出し、避暑地で治療を続けたが、目を覚まさず眠り続け、医師達は王女の体に管を繋ぎ、延命措置を行った。マリーは、この世界にも医療技術があることに驚いたが、魔術師の少ないこの国は独自の医療技術が発達したという。まだまだ、一般には普及していない最先端の技術だ。マリーの前世の記憶からしたら、当たり前の医療技術や処置が、この世界では、誰も見たことのない技術であり、通用しないことが多い。それでも、王女の命をつなぐ不思議な装置を不審の目でみる近衛騎士達。王女に変なものをつけるな!と医師達に食って掛かった者もいた。だが、マリーの、王女を助けるためです、医師達に従って下さい。のお願いに納得しないながらも引き下がった。
「ソフィーナ様の様子はどうですか?」
医師は首を振る。
「大きな怪我はないのが幸い。だが、目が覚めない。」
「そうですか……」
王に知らせを出し、王弟が迎えに来た。王からの指示はマリーが王女の身代わりとなり、城まで戻るというもの。まだ、王女が目覚め無いことを秘密にするというのだ。
「エリー、辛くはないかい?身代わりなど頼んでしまったが、私は本当の事を発表した方がいいと思っているんだよ。」
王弟はマリーを気遣い、優しく声を掛ける。マリーは自分を全ての人がエリーと呼ぶ訳が解らなかったが、ドラマと違う行動を取った自分が、ストーリーに何らかの影響を与えたと、考えるようになった。夢の中にエリーは現れず何が起こっているのか聞けずにいた。
「いいえ、ソフィーナ様は目覚めます、必ず!信じています!」
「だが、いつまでも、騙せはしないよ。既に怪しんでいる貴族達もいるようだよ?」
王女をいつまで演じればいいのか、どう決着するのか……クロードサイドは物語通りに進んでいるのか………ハンスはどこへ行ったのか。王弟の物語とは違った行動を不安に思うが、現状、城の中で頼れるのは彼なのである。
「あ~すまない。」
話の途中で、王弟が口を挟む。明らかにムッとした表情の大使であったが、目の前の王弟に何も言えず、会話を一旦止めて、黙った。
「王女の体調が優れない。」
王は心配そうに振り返り頷いた。
「ソフィーナ疲れただろう、もう後は良いから、退出しなさい。」
その声に侍女が駆け寄った。
「申し訳ない、日を改めさせて頂きます。」
同席していた王弟の声で、侍女が手を取り立ち上がる。
「ソフィーナ、手を。」
すかさず王弟も立ち上がり、王女を導き、優雅に歩き始める。
「お、お兄様……」
王弟がにっこりと頷き、手を引く。
避暑地で王女は体調を崩して、しばらく城に戻らなかった。公務のある王は城から離れられず、心配して弟を迎えに出した。王弟と共に城に帰った王女の体調は不安定で、公務も制限している。
謁見の間を出ると王弟が聞いた。
「エリーの様子はどうだい?」
「臥せったままですわ。」
城に戻る途中に原因不明の熱病にかかり、寝込んでしまったエリーは王宮の医師が治療にあたっている。
「エリーの両親が面会を求めておりますが、いかがなさいますか?」
「意識はなくとも、会いたいでしょう。私も同席いたしますので、手配をお願いします。」
王女が伏せ目がちに指示を出す。
「顔を上げて……」
王弟が耳元で、ささやく。はっとし、顔を上げ姿勢を正すソフィーナ。
「どこで誰が見ているかわからないからね。」
小さくささやく、その声に、頷く王女。
「はい。お兄様。」
王女を救出し、避暑地で治療を続けたが、目を覚まさず眠り続け、医師達は王女の体に管を繋ぎ、延命措置を行った。マリーは、この世界にも医療技術があることに驚いたが、魔術師の少ないこの国は独自の医療技術が発達したという。まだまだ、一般には普及していない最先端の技術だ。マリーの前世の記憶からしたら、当たり前の医療技術や処置が、この世界では、誰も見たことのない技術であり、通用しないことが多い。それでも、王女の命をつなぐ不思議な装置を不審の目でみる近衛騎士達。王女に変なものをつけるな!と医師達に食って掛かった者もいた。だが、マリーの、王女を助けるためです、医師達に従って下さい。のお願いに納得しないながらも引き下がった。
「ソフィーナ様の様子はどうですか?」
医師は首を振る。
「大きな怪我はないのが幸い。だが、目が覚めない。」
「そうですか……」
王に知らせを出し、王弟が迎えに来た。王からの指示はマリーが王女の身代わりとなり、城まで戻るというもの。まだ、王女が目覚め無いことを秘密にするというのだ。
「エリー、辛くはないかい?身代わりなど頼んでしまったが、私は本当の事を発表した方がいいと思っているんだよ。」
王弟はマリーを気遣い、優しく声を掛ける。マリーは自分を全ての人がエリーと呼ぶ訳が解らなかったが、ドラマと違う行動を取った自分が、ストーリーに何らかの影響を与えたと、考えるようになった。夢の中にエリーは現れず何が起こっているのか聞けずにいた。
「いいえ、ソフィーナ様は目覚めます、必ず!信じています!」
「だが、いつまでも、騙せはしないよ。既に怪しんでいる貴族達もいるようだよ?」
王女をいつまで演じればいいのか、どう決着するのか……クロードサイドは物語通りに進んでいるのか………ハンスはどこへ行ったのか。王弟の物語とは違った行動を不安に思うが、現状、城の中で頼れるのは彼なのである。
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