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お仕事の時間ですよ 3
王宮騎士物語 第53話 赤い目の騎士
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「クレッセリアという女性に会いたい。」
いきなりハマーの屋敷を騎士が訪ねてきた。
「騎士姿で、シルバーアールと名乗っているが、どうする?クレッセリア。」
ハマーはクレッセリアに聞いた。産み月も近く、大きなお腹を撫でながら、会うわ。とクレッセリアが立ち上がる。
「知り合いか?第七部隊の騎士が、なぜ。」
「大丈夫よ。ちょっとお願いしてた事があって…」
クレッセリアが卒業後、偶然知り合ったシルバーアールは騎士であり、魔力研究者だった。
クレッセリアがいつも身に付けている小さな革袋。首から革紐で下げていたのだが、花祭りの人混みを避けるために裏道を抜けようとして狭い道に入り、すれ違った男の肩から掛けた大きな荷物入れの金具に引っ掛けてしまった。
「ごめんなさい!ちょっと待って!」
首を引っ張られ、クレッセリアはその男に止まるよう、声を掛けた。
「何か?」
背中側で引っ掛かっていたため、気づかなかった彼は荷物を引っ張られる感覚に立ち止まる。
「急に止まんな!バカ野郎!」
「邪魔よ。」
道の真ん中で二人は道を塞ぐ形になり、通行人に文句を言われて、慌てて端に移動した。
「すみません、すぐ外しますので。」
そう言って、手を伸ばし革紐の引っ掛かりを外した。
「それは……何が入っているか、伺っても?」
「いえ、これは…」
初対面の男に、何故…見せなければならないの…と思いつつ…相手の男の顔を見た。やせ形の長身の男は見覚えのある王立騎士の制服だった。クレッセリアの手は革紐を緩め袋の中身を無用心にも取り出して相手の男に見せた。
「ふむ。あなたは魔力持ちですね。この石は興味深い。うん。」
「!」
なぜ、石を見せてしまったのか。なぜ、触れてもいないのに、一目で魔力持ちとバレたのだろう。クレッセリアは、自分が水の中にいるような身体全体を薄い布で包まれたような感覚がして、自由に動けない。なんだか息も苦しい気がする。ろくに返事も出来なかった。
「言いたくないなら、いいですよ。私はスカウトの担当ではないので、協力してくれたら、黙っていてあげます。私はシルバーアールと言います。あなたは?」
「……クレッセリア。」
何馬鹿正直に答えているの?と思いながらも、口からは言葉が自然とでてくる。
「…?」
シルバーアールと名乗った男前の目がゆらりと赤く光っている。
「では、行きましょうか。」
「この宝石は魔力を帯びています。北の方で産出される高価な石で、美しさから、宝飾品に加工され身を飾る物として取引されています。」
シルバーアールはクレッセリアを連れて、馬車に乗った。平民が使うような乗り合い馬車ではなく、立派な貸し切りのものだ。
「高価な宝石と知ってからは革袋に入れて持ち歩いています。」
クレッセリアは幼い時にシャノアから叔母の元へ引き取られた。両親と別れるときに母が首に掛けてくれたのがこのペンダントだ。
いきなりハマーの屋敷を騎士が訪ねてきた。
「騎士姿で、シルバーアールと名乗っているが、どうする?クレッセリア。」
ハマーはクレッセリアに聞いた。産み月も近く、大きなお腹を撫でながら、会うわ。とクレッセリアが立ち上がる。
「知り合いか?第七部隊の騎士が、なぜ。」
「大丈夫よ。ちょっとお願いしてた事があって…」
クレッセリアが卒業後、偶然知り合ったシルバーアールは騎士であり、魔力研究者だった。
クレッセリアがいつも身に付けている小さな革袋。首から革紐で下げていたのだが、花祭りの人混みを避けるために裏道を抜けようとして狭い道に入り、すれ違った男の肩から掛けた大きな荷物入れの金具に引っ掛けてしまった。
「ごめんなさい!ちょっと待って!」
首を引っ張られ、クレッセリアはその男に止まるよう、声を掛けた。
「何か?」
背中側で引っ掛かっていたため、気づかなかった彼は荷物を引っ張られる感覚に立ち止まる。
「急に止まんな!バカ野郎!」
「邪魔よ。」
道の真ん中で二人は道を塞ぐ形になり、通行人に文句を言われて、慌てて端に移動した。
「すみません、すぐ外しますので。」
そう言って、手を伸ばし革紐の引っ掛かりを外した。
「それは……何が入っているか、伺っても?」
「いえ、これは…」
初対面の男に、何故…見せなければならないの…と思いつつ…相手の男の顔を見た。やせ形の長身の男は見覚えのある王立騎士の制服だった。クレッセリアの手は革紐を緩め袋の中身を無用心にも取り出して相手の男に見せた。
「ふむ。あなたは魔力持ちですね。この石は興味深い。うん。」
「!」
なぜ、石を見せてしまったのか。なぜ、触れてもいないのに、一目で魔力持ちとバレたのだろう。クレッセリアは、自分が水の中にいるような身体全体を薄い布で包まれたような感覚がして、自由に動けない。なんだか息も苦しい気がする。ろくに返事も出来なかった。
「言いたくないなら、いいですよ。私はスカウトの担当ではないので、協力してくれたら、黙っていてあげます。私はシルバーアールと言います。あなたは?」
「……クレッセリア。」
何馬鹿正直に答えているの?と思いながらも、口からは言葉が自然とでてくる。
「…?」
シルバーアールと名乗った男前の目がゆらりと赤く光っている。
「では、行きましょうか。」
「この宝石は魔力を帯びています。北の方で産出される高価な石で、美しさから、宝飾品に加工され身を飾る物として取引されています。」
シルバーアールはクレッセリアを連れて、馬車に乗った。平民が使うような乗り合い馬車ではなく、立派な貸し切りのものだ。
「高価な宝石と知ってからは革袋に入れて持ち歩いています。」
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