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黒の国の王子

王宮騎士物語 第68話 +ハンカチ

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  不思議な夢は続けて見るときもあれば、何年も見ない時もあった。ある時、夢の中の俺に恋人ができた。美人で人前では気が強くて、意地悪な貴族みたいに振る舞う。でも二人っきりになると恥ずかしがる彼女を俺も好きになった。

  騎士養成学校に入り、十才の時に夢の中の彼女が小さな子どもになったような……女の子と会った。それは、この国のお姫様で、また会いたいと強く思った。一緒にいたクロードは側にいた侍女のエリーが気になっていたようだが、俺は姫様に再び会うために近衛騎士になることを目標に頑張った。

  近衛騎士になり、任務中に王女を助けに行って両足を怪我してしまった。無理をして愛馬のグリーンも怪我させてしまい、警護も出来ない身体では休養を取るべきだったが、王女に付いて避暑へ出ることになった。王女の命令とはいえ、役に立たない俺まで、馬車に乗っての移動はあり得ない事だ。竜巻に巻き込まれた王女を助けに行きたかったが、残されて気落ちしたが、途中ではぐれたはずのエリーが駆けてきて、俺を馬に乗せた。その時の驚きは言葉にならない。胸の奥がギュウウと一瞬痛み、エリーが、まるで別人のように輝いて見えたから。
   胸の辺りがが熱くなり、胸に手を当てる。胸のポケットの脹らみを不思議に思い、何を入れたかなと、取り出して見ると女物のハンカチ。広げてみると名前の刺繍が入っている。入れた覚えはないが、大切な物だと感じ、ポケットにしまう。

  国境を越え、王都に着くとクロードが待っていた。クロードはシャノアの第二王子だと聞かされて驚いた。しかも、シャノアの魔術師に師事し、魔力の循環、集中、解放といった技術を学んだそうだ。特に治癒能力が向上し、俺の両足を治してくれた。まあ、俺のはついでで……クロードの治癒能力を必要としていたのは、ヨークラウデン王であった。なんでも、魔力を持つ者は適性があり、治癒の力はとても珍しく、シャノア内でも高等治癒術を持つものはほとんどいないそうだ。その最大の魔力と治癒能力を持つ王が原因不明の昏睡状態に陥った。そのため第一王子カンデが即位し、王となった。
  治癒能力を持つ術師達が協力して、ヨークラウデン前王の治療にあたったが、回復の兆しはなく、打つ手はないかと思われたが、 即位したカンデ王は、産まれてすぐに 予言の為殺されそうになり隣国に逃げた第二王子のクロードに治癒の力があると間諜からの報告を受け、秘密裏に連れ戻すように指示したという。クロードに会った若きカンデ王は「予言なんて私は信じないよ。助かる可能性があるんだ、今、君に協力を求めない事こそ、王殺しの予言が現実になると……言えないか?……こんな頭でよかったら、いくらでも下げる。頼む。兄さん助けてくれ。」と、言ったそうだ。第二王子のクロード……実は生まれはクロードの方が数ヶ月早いんだって……継承権の関係らしいけど、紛らわしいよね。クロードが王子というのは隠されていたので、呼び寄せるにしろ、依頼や招待にしろ、本来なら外交を通じて、正式に進めるべき所だが、そこは過去交渉の例の無い国、信用を得るには時間がかかりすぎる。しかも、指針を決定前に、予言を信じる神殿関係者達が、クロード暗殺を試みた。しかし、行動を共にしていたソリューシスと、協力者達によって、無事クロードは王都に入ったのだ。

  俺の愛馬のグリーンが危険な国境を越えて、俺に会いに来た時は感動した。クロードには言葉が聞こえるのに、何で俺には聞こえないのかなあ。グリーンは森の魔女から紋章入りの宝石を預り王都に入る。その宝石はヨークラウデン前王の側室……カンデ王の母が王妃となり、クロードの母は側室に引いたそうだ……クローデイリア、彼女の持ち物であった。生まれたばかりのクロードの脱出時に売れば金になると、持たせていたのだそうだ。
  そして、森の魔女は、俺宛の伝言をグリーンに託した。
『ミライ』
それは、俺が幼い時から夢に見ていた彼の名前。俺の前世。前世の全ての記憶がミライの名前と共に溢れ、俺は倒れた。
  丸1日眠り続け、前世の『ミライ』の人生を思い出す。事故から目覚めたセリーヌと結婚して……でも芸能人によくある、破局……事故の影響か、目覚めてからちょっと違和感というか、別人のようで、お互いギクシャクしはじめて結局離婚……まあ、生涯友人ではあったけどね。

    

  


  
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