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第十章兄弟
2冥土の土産に教えてやるよ
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二人の男が薄暗い廊下を歩いている。普段は使われない、隠し通路と隠し部屋。どうせ、悪巧みに使われる為の部屋……何人がここで、涙を流し、命を落としたのだろう。
「長かった……」
テオが下を向いて吐き出すようにつぶやく。
「はは、お前が…なにも知らないイグナートの忠実な犬となった姿を見るのは愉快だったよ。そして、ついに!たった今!俺が全てを掴んだ!なあ?テオ。お前も嬉しかろう。褒美をやらんとなあ。ああ、ここだ。」
ドアを開けて中に入る。中央に椅子があり、そこに痩せた男が座っている。長い髪で顔はよく見えない。
「ルー?」
大切な弟の名前を呼ぶ。近寄って抱き締めた。
「ルー?どうした?」
反応がおかしい。顔を覗きこむが、身体が震えているのがわかる。
「キサマ!」
振り返ってオーカドル公爵を見る。
「こいつはルーじゃない!ルーカをどこへやった!」
「いや?お前の前にいるのがそうだよ。」
「ちがう!」
「いいや、違わないね、お前に届いた手紙も写真も、全てこいつさ。」
「い……いつから…だ…」
「そうだな、もう、二十年は越えたか?」
「そ…んなに…前に…本当…に…信じたく…無かった……」
テオは己の迂闊さに唇を噛む。口の中に血の味がした。
「彼はもう、とっくに土の中さ。」
愉しげに笑う。
悔しさにテオは拳を握りしめた。
「一つ聞いてもいいか……」
「ん、何でも答えてやるぞ?」
今にも飛びかろうかと構えるテオは感情を抑えて、オーカドル公爵を睨む。
「…マックまで…殺す必要あったのか?只の料理人…だろうが。」
オーカドル公爵はそんなことを聞きたいのか?とバカにした顔で笑った。
「冥土の土産に教えてやるよ。」
「彼はマークス王子の息子だよ。もともと、お前をハルバートのところへ送り込んだのは、彼を殺すためだったんだよ。ソニーが……マークスが…戻ってくるとは、予想外だったが、うまく彼も排除できたな。」
「!?」
テオは目を見開いた。
「そんな、バカな!?」
「そうさ、お前が手に掛けたのはこの国の王子達。そして、俺が唯一の王となるのだ。…殺せ!」
いつの間にか部屋の中にに待機していた兵士がオーカドル公爵とテオの間に割り入った。
「きさま!」
「長かった……」
テオが下を向いて吐き出すようにつぶやく。
「はは、お前が…なにも知らないイグナートの忠実な犬となった姿を見るのは愉快だったよ。そして、ついに!たった今!俺が全てを掴んだ!なあ?テオ。お前も嬉しかろう。褒美をやらんとなあ。ああ、ここだ。」
ドアを開けて中に入る。中央に椅子があり、そこに痩せた男が座っている。長い髪で顔はよく見えない。
「ルー?」
大切な弟の名前を呼ぶ。近寄って抱き締めた。
「ルー?どうした?」
反応がおかしい。顔を覗きこむが、身体が震えているのがわかる。
「キサマ!」
振り返ってオーカドル公爵を見る。
「こいつはルーじゃない!ルーカをどこへやった!」
「いや?お前の前にいるのがそうだよ。」
「ちがう!」
「いいや、違わないね、お前に届いた手紙も写真も、全てこいつさ。」
「い……いつから…だ…」
「そうだな、もう、二十年は越えたか?」
「そ…んなに…前に…本当…に…信じたく…無かった……」
テオは己の迂闊さに唇を噛む。口の中に血の味がした。
「彼はもう、とっくに土の中さ。」
愉しげに笑う。
悔しさにテオは拳を握りしめた。
「一つ聞いてもいいか……」
「ん、何でも答えてやるぞ?」
今にも飛びかろうかと構えるテオは感情を抑えて、オーカドル公爵を睨む。
「…マックまで…殺す必要あったのか?只の料理人…だろうが。」
オーカドル公爵はそんなことを聞きたいのか?とバカにした顔で笑った。
「冥土の土産に教えてやるよ。」
「彼はマークス王子の息子だよ。もともと、お前をハルバートのところへ送り込んだのは、彼を殺すためだったんだよ。ソニーが……マークスが…戻ってくるとは、予想外だったが、うまく彼も排除できたな。」
「!?」
テオは目を見開いた。
「そんな、バカな!?」
「そうさ、お前が手に掛けたのはこの国の王子達。そして、俺が唯一の王となるのだ。…殺せ!」
いつの間にか部屋の中にに待機していた兵士がオーカドル公爵とテオの間に割り入った。
「きさま!」
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