61 / 109
パジャマパーティー
しおりを挟む
隊長が母様に会いたいと言うので、さっそく実家にお呼びしました。
「エレオノーラ様の上官をさせて頂いております、ルドミラ・ククロヴァーナと申します。エレオノーラ様には大変お世話になっております」
隊長は90度きっちりに腰を曲げ、挨拶をしています。
隊長、腰、大丈夫ですか?
「こちらこそ、エレオノーラの母のジャクリーンです。娘がいつもお世話になってしまって。この子がご迷惑をかけていませんか?」
「いえ、大した事では有りませんので。それに私はエレオノーラ様の第一の騎士でありますから承知しております」
そこ違う……否定はしませんが”そんな事はありません”と答えてほしかったです……。
「それからあの…些細な物では有りますが、ご母堂様は甘い物がお好きと聞きましたので……」
そう言い、隊長が差し出したのは、先週オープンしたばかりのお店、スイーツ・スイーツの包み紙!
一体何が入っているのでしょう(ワクワク)
「まあ、私ここのお菓子大好きなのよ。おもたせで悪いけれど、後でみんなでいただきましょうね」
母様、既に食っているとな。
一体いつの間に……侮れん。
「でもね、私の事をご母堂など、そんなに畏まらなくてもいいのよ?どうか私の事はりーんちゃんでも姉様でもすきに呼んでちょうだい。その代わりに私も、あなたの事をミラちゃんと呼んでいい?」
「もちろんですとも、リン姉様!」
ただご挨拶をと言う事だったので、隊長をここにお連れしたのが午後2時ぐらい。
それから話に花が咲いて、気が付いたらもう夕方になっていました。
「あらもうこんな時間なのね。そろそろ夕食の支度をしなくちゃ」
「あ…長居をして申し訳ありませんでした。私もそろそろお暇を……」
「それじゃあ母様、私達帰りますね」
そう言い席から立ち上がる。
「そんなぁ。二人とも帰っちゃうなんて、母様寂しいわ。ねぇ、せっかく明日は休みなんだし、今日はこのまま泊まっていきなさいよ」
まあ、それでも構いませんが、初めて来たのに隊長は大丈夫でしょうか。
「そんな、初めて伺った家に泊まらせていただくなんて、申し訳ないです」
「あら、そんなに畏まらないで。どうか夕食を召し上がって、そして夜にはパジャマパーティーでもしましょうよ!」
「ステキ!」
隊長の周りには、むさい男しかいないから諦めていたようだけど、気の置けない子だけの女子会に憧れていたそうです。
ならばと私は隊長を連れて、一旦カリオンに戻りました。
何故かって?当然隊長のパジャマを取りにですよ。
ついでに調理場に突撃して、メインディッシュのフールチキンの丸焼きと、残っていた魔物ジャーキーを奪取。
「そうだ、美味しそうなワインやウォッカも持って行こうっと。でもエルちゃんは飲んじゃダメよ。いくら成人したとはいえ、まだ成長途中なんだから」
いえ、もうこれ以上伸びたくありません。
でも胸は欲しいです。
「ただいま~」
「エレオノーラ、早かったのね」
母様は、まだ夕食の下ごしらえの最中でした。
「リン姉様、いい物を持ってきましたよ」
隊長はそう言い、酒瓶を掲げました。
「あら嬉しい。今夜はそれで語り尽くしましょうね」
それから私は下ごしらえが済んだ材料で、料理を言いつけられました。
”美味しくな~れ”増し々ですね、分かっていますとも。
「ミラちゃん、食事が出来るまでこちらでお話でもしましょう?」
「はい、リン姉様」
私はさっそく簡単なワンピースに着替え、極くつろぎモードです。
ウキウキしながらリビングに戻れば、そこにはリン姉様の旦那様、エルネスティ様もいらっしゃいました。
私達はジャーキーやフルーツをつまみながら、ワインをチビチビ傾けます。
「ミラちゃん、エレオノーラはそちらで迷惑をかけていない?」
「そんなには有りませんよ。でももう少し自覚してほしいと言うか、本当にディア・アレルヤ様なのかと思う時が有りまして……」
「ほう、一体何をやらかしているの?」
「エレオノーラ様には内緒ですよ?」
そう前置きをしてから、最近やらかしてくれた事を伝えます。
少しでもご両親から注意してもらえればと思って。
「一番最近の話では、エレオノーラ様が隊員たちの所に、タオルを運んで来てくれた時の事です。急ぎ過ぎて、タオルごと彼女も噴水に落ちてしまったんですが、慌ててそれを拾って、一瞬のうちに乾かし持って来てくれたのは良いのですが、自分の事には気が回らなかったのか、びしょびしょのまま隊員たちにタオルを配っていたんです。濡れた服を体に張り付けたままで………」
「あらまあ」
「慌てたジョン達が、そのタオルでエレオノーラ様を覆たのですが、寒くないから大丈夫と言い、そのまま作業を続けようとするんです」
「ふんふん、それから?」
バカに冷静ですね?
「エレオノーラ様は、最近発育も良くなってきた事もあり、出て来るべき所も出てきましたでしょう?」
「そう言えばそうね」
「やはりそのままにしては置けないので、私が強引に私室まで引っ張っていきました」
「迷惑を掛けてごめんなさいね、ミラちゃん」
「とんでも有りません、私はそんな風に彼女のお世話が出来て、とても嬉しいんです」
隊の中で、一番彼女の近くにいて、エレちゃんのお世話をするのは、私の特権だもの。
「あの子は以前あまり見栄えが良くなかったでしょう?そのせいか、自分の外見に無頓着なのよ。どうせ誰も私の事を気になんかしないと思い込んでいるのね。下手をすると、暑い時なんて機能重視で下着同然で部屋の中を歩き回って、来客があってもそのままで応対しようとするし……いっそ家の中に、たくさんの鏡でも貼り付けようかしら」
それで自覚してもらえれば、いい考えかもしれませんね。
何でしたら、カリオンの部屋の方に貼り付けましょうか?
「あとは料理した時に、なんでも”元気にな~れ”を増し々にしすぎたとかで、その効果が切れるまで、みなの喧嘩が絶えなかったり眠れなかったりで、訓練がかなりはかどりました」
「まあ、皆さんに迷惑を掛けちゃったのね」
「あいつらには、たまにはいいんですよ」
それ以外にもと、あと一つ二つ話をしたところで、リン姉様が瞳を輝かせ、テーブル越しに身を乗り出してきました。
「ところで、隊の方はほとんど男性なんでしょう?」
「ええ、基本的に騎士や兵は男ですね。私のように女がいるなどめったにありませんから」
「そうよね」
「しかしあの中には、エレオノーラ様の様な立場ではないにしても、料理をする者や騎士たちの身の回りの世話をする女性も、そこそこおります」
「そうじゃなくて、エレオノーラの周りには男性がたくさんいるのでしょう?で、エレオノーラがちょっといいな、なんて思っているような人はいないの?」
なるほど、既に女子会モードですね。
「まあ親しくしている奴はいますよ。特に私の隊のジョン辺りが一番親しそうですね」
「ジョンって、あの優男風の隠れマッチョでしょ?」
「どうして分かるのですか?」
「何となくよ、で、あと他に入るの?」
「そうですね……最近ではサランと気が合うようですね。しかしあれはどう見ても、親友のじゃれ合いに見えます(それも女子同士の)」
「何だつまらな~い」
「まあ今のところ、恋愛対象の目で見るような男性は近くにいさそうですね。ただ………」
「えっ、他の隊とか、もしかして従業員さんの中に、それっぽい人はいるのかしら」
この目は、母親と言うより親友といった目だな。
「いえ、ただ一連の話を聞いている身としましては、いつ何時アレクシス様の気が変わり、突然カリオンの方にいらっしゃるかもしれないと心配で」
「そう…よね。エレオノーラがあれほど嫌っているんですもの。あちらが裏切り、一方的に言って来る事も考えられるわね」
「ええ、ですので私共も、なるべくエレオノーラ様が一人にならないよう、さりげなく護衛を付けております」
「そう、迷惑を掛けちゃうけれど、どうかよろしくね」
「お任せください」
「エレオノーラ様の上官をさせて頂いております、ルドミラ・ククロヴァーナと申します。エレオノーラ様には大変お世話になっております」
隊長は90度きっちりに腰を曲げ、挨拶をしています。
隊長、腰、大丈夫ですか?
「こちらこそ、エレオノーラの母のジャクリーンです。娘がいつもお世話になってしまって。この子がご迷惑をかけていませんか?」
「いえ、大した事では有りませんので。それに私はエレオノーラ様の第一の騎士でありますから承知しております」
そこ違う……否定はしませんが”そんな事はありません”と答えてほしかったです……。
「それからあの…些細な物では有りますが、ご母堂様は甘い物がお好きと聞きましたので……」
そう言い、隊長が差し出したのは、先週オープンしたばかりのお店、スイーツ・スイーツの包み紙!
一体何が入っているのでしょう(ワクワク)
「まあ、私ここのお菓子大好きなのよ。おもたせで悪いけれど、後でみんなでいただきましょうね」
母様、既に食っているとな。
一体いつの間に……侮れん。
「でもね、私の事をご母堂など、そんなに畏まらなくてもいいのよ?どうか私の事はりーんちゃんでも姉様でもすきに呼んでちょうだい。その代わりに私も、あなたの事をミラちゃんと呼んでいい?」
「もちろんですとも、リン姉様!」
ただご挨拶をと言う事だったので、隊長をここにお連れしたのが午後2時ぐらい。
それから話に花が咲いて、気が付いたらもう夕方になっていました。
「あらもうこんな時間なのね。そろそろ夕食の支度をしなくちゃ」
「あ…長居をして申し訳ありませんでした。私もそろそろお暇を……」
「それじゃあ母様、私達帰りますね」
そう言い席から立ち上がる。
「そんなぁ。二人とも帰っちゃうなんて、母様寂しいわ。ねぇ、せっかく明日は休みなんだし、今日はこのまま泊まっていきなさいよ」
まあ、それでも構いませんが、初めて来たのに隊長は大丈夫でしょうか。
「そんな、初めて伺った家に泊まらせていただくなんて、申し訳ないです」
「あら、そんなに畏まらないで。どうか夕食を召し上がって、そして夜にはパジャマパーティーでもしましょうよ!」
「ステキ!」
隊長の周りには、むさい男しかいないから諦めていたようだけど、気の置けない子だけの女子会に憧れていたそうです。
ならばと私は隊長を連れて、一旦カリオンに戻りました。
何故かって?当然隊長のパジャマを取りにですよ。
ついでに調理場に突撃して、メインディッシュのフールチキンの丸焼きと、残っていた魔物ジャーキーを奪取。
「そうだ、美味しそうなワインやウォッカも持って行こうっと。でもエルちゃんは飲んじゃダメよ。いくら成人したとはいえ、まだ成長途中なんだから」
いえ、もうこれ以上伸びたくありません。
でも胸は欲しいです。
「ただいま~」
「エレオノーラ、早かったのね」
母様は、まだ夕食の下ごしらえの最中でした。
「リン姉様、いい物を持ってきましたよ」
隊長はそう言い、酒瓶を掲げました。
「あら嬉しい。今夜はそれで語り尽くしましょうね」
それから私は下ごしらえが済んだ材料で、料理を言いつけられました。
”美味しくな~れ”増し々ですね、分かっていますとも。
「ミラちゃん、食事が出来るまでこちらでお話でもしましょう?」
「はい、リン姉様」
私はさっそく簡単なワンピースに着替え、極くつろぎモードです。
ウキウキしながらリビングに戻れば、そこにはリン姉様の旦那様、エルネスティ様もいらっしゃいました。
私達はジャーキーやフルーツをつまみながら、ワインをチビチビ傾けます。
「ミラちゃん、エレオノーラはそちらで迷惑をかけていない?」
「そんなには有りませんよ。でももう少し自覚してほしいと言うか、本当にディア・アレルヤ様なのかと思う時が有りまして……」
「ほう、一体何をやらかしているの?」
「エレオノーラ様には内緒ですよ?」
そう前置きをしてから、最近やらかしてくれた事を伝えます。
少しでもご両親から注意してもらえればと思って。
「一番最近の話では、エレオノーラ様が隊員たちの所に、タオルを運んで来てくれた時の事です。急ぎ過ぎて、タオルごと彼女も噴水に落ちてしまったんですが、慌ててそれを拾って、一瞬のうちに乾かし持って来てくれたのは良いのですが、自分の事には気が回らなかったのか、びしょびしょのまま隊員たちにタオルを配っていたんです。濡れた服を体に張り付けたままで………」
「あらまあ」
「慌てたジョン達が、そのタオルでエレオノーラ様を覆たのですが、寒くないから大丈夫と言い、そのまま作業を続けようとするんです」
「ふんふん、それから?」
バカに冷静ですね?
「エレオノーラ様は、最近発育も良くなってきた事もあり、出て来るべき所も出てきましたでしょう?」
「そう言えばそうね」
「やはりそのままにしては置けないので、私が強引に私室まで引っ張っていきました」
「迷惑を掛けてごめんなさいね、ミラちゃん」
「とんでも有りません、私はそんな風に彼女のお世話が出来て、とても嬉しいんです」
隊の中で、一番彼女の近くにいて、エレちゃんのお世話をするのは、私の特権だもの。
「あの子は以前あまり見栄えが良くなかったでしょう?そのせいか、自分の外見に無頓着なのよ。どうせ誰も私の事を気になんかしないと思い込んでいるのね。下手をすると、暑い時なんて機能重視で下着同然で部屋の中を歩き回って、来客があってもそのままで応対しようとするし……いっそ家の中に、たくさんの鏡でも貼り付けようかしら」
それで自覚してもらえれば、いい考えかもしれませんね。
何でしたら、カリオンの部屋の方に貼り付けましょうか?
「あとは料理した時に、なんでも”元気にな~れ”を増し々にしすぎたとかで、その効果が切れるまで、みなの喧嘩が絶えなかったり眠れなかったりで、訓練がかなりはかどりました」
「まあ、皆さんに迷惑を掛けちゃったのね」
「あいつらには、たまにはいいんですよ」
それ以外にもと、あと一つ二つ話をしたところで、リン姉様が瞳を輝かせ、テーブル越しに身を乗り出してきました。
「ところで、隊の方はほとんど男性なんでしょう?」
「ええ、基本的に騎士や兵は男ですね。私のように女がいるなどめったにありませんから」
「そうよね」
「しかしあの中には、エレオノーラ様の様な立場ではないにしても、料理をする者や騎士たちの身の回りの世話をする女性も、そこそこおります」
「そうじゃなくて、エレオノーラの周りには男性がたくさんいるのでしょう?で、エレオノーラがちょっといいな、なんて思っているような人はいないの?」
なるほど、既に女子会モードですね。
「まあ親しくしている奴はいますよ。特に私の隊のジョン辺りが一番親しそうですね」
「ジョンって、あの優男風の隠れマッチョでしょ?」
「どうして分かるのですか?」
「何となくよ、で、あと他に入るの?」
「そうですね……最近ではサランと気が合うようですね。しかしあれはどう見ても、親友のじゃれ合いに見えます(それも女子同士の)」
「何だつまらな~い」
「まあ今のところ、恋愛対象の目で見るような男性は近くにいさそうですね。ただ………」
「えっ、他の隊とか、もしかして従業員さんの中に、それっぽい人はいるのかしら」
この目は、母親と言うより親友といった目だな。
「いえ、ただ一連の話を聞いている身としましては、いつ何時アレクシス様の気が変わり、突然カリオンの方にいらっしゃるかもしれないと心配で」
「そう…よね。エレオノーラがあれほど嫌っているんですもの。あちらが裏切り、一方的に言って来る事も考えられるわね」
「ええ、ですので私共も、なるべくエレオノーラ様が一人にならないよう、さりげなく護衛を付けております」
「そう、迷惑を掛けちゃうけれど、どうかよろしくね」
「お任せください」
0
あなたにおすすめの小説
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる