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第1章 入学の春 編
第10話 姫君と大臣の悪だくみ
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聖アルマイト王国第二王女リリライト=リ=アルマイト。
様々な公務に加えて、自身が従える白薔薇騎士団とその養成機関であるミュリヌス学園の運営や管理、それに自身も勉学・武芸・魔術・政治学など、様々なことを充分以上にこなしている。
年頃の娘としては最も関心が高い恋愛についても、王族という立場上当然のことだが、自由に楽しむことは出来ず、政治的・外交的な意味合いを含めつつ、それも上手に対処していた。
普通の女性ならばストレスでおかしくなっても不思議ではない。しかしリリライトは、常に笑顔を絶やさずに振舞っていた。
父王であるアルマイト国王も、この激務に平然と強かにしているのは予想外であったようで、驚きの感想を漏らすばかりだった。そこは、国王直系の血筋がそうさせているのだろうか。
否――
「ぐひっ……ぐひひひぃっ…!」
「ふふ、もっと汚い声で鳴きなさい。この醜い豚がっ!」
ミュリヌス学園近くの王女邸宅、そのリリライトの資質にて。
キングサイズのベッドに、彼女の教育係である大臣グスタフは四肢を拘束されていた。全裸状態で仰向けにされながら、リリライトは両足で勃起した肉棒を挟み、上下に擦っていた。
「本当、汚らわしくて気持ち悪い。私のような小娘に、大事なところを足で弄られて興奮しているんですか? 一国の大臣たる男性が、本当無様ですね」
白いストッキングに包まれた足の指先で亀頭を撫でまわし、もう片方の足は玉袋を圧迫するように刺激する。
「んほおっ……おおお……お、リリライト様……」
「豚が人語を喋らないでくれますか? 豚は豚らしく、どのように鳴くんですか?」
そう言いながらリリライトは緩急をつけながら、肉棒を足でマッサージするように刺激し、先走りでぬめっているそこを、音を立てながらこすり立てていく。
「ぶ、ぶひぃぃぃっ!」
本当の豚の鳴き声のような喘ぎ声をあげながら、グスタフは勢いよく射精する。大量の精が噴水のように上に発射され、ベッドに、そしてリリライトの白いドレスにふりかかっていく。
「あははははっ! 出ちゃいましたね。小娘の足で射精させられちゃいましたね。気持ち悪いですよ、グスタフ」
自らにかかる白濁液など気にせずに、ビクビクと痙攣するグスタフを見ながら大声で笑うリリライト。その顔は赤く上気していた。
――この行為が、日々リリライトに積み重なる強大なストレスのガス抜きになっていた。
きっかけはいつ、どのようにだったかはよく覚えていない。リリライトの教育係としてグスタフが任命されて程なくしてから、この暗い関係は始まっていた。
最初はせいぜいグスタフが自分を慰めているのを見ているだけだったのがせいぜいだった。
しかし、いつからかリリライトは嫌悪感からグスタフを罵倒し始める。それでグスタフが醜く興奮していく様を晒していくのに歪んだ興奮を覚え始めていき、身体を接触させることなどなかったリリライトが興味本位で足を。そして今では――
「これだけ出したのに、大きいままじゃないですか。本当に、豚じゃなくてお猿さんでしたか」
射精したばかりにも関わらず、今なお勃起を続ける肉棒。リリライトはその肉棒に手を伸ばして、握りしめる。
「ほおおおっ! り、リリライト様が、ワシのチンポをっ…!」
その野太い声で下品な言葉を口にするグスタフ。普通の女性ならそれだけで吐き気を催すだろう。しかし、リリライトはその言葉を聞くと、ゾクゾクと背中を興奮が走っていくのを感じる。
「ふおおおっ! ち、チンポがっ! わしのチンポがっ…姫様の手コキでっ! た、たまらんっ! ほおおおっ!」
リリライトの格好は公務に臨む際に着用する正装――純白のドレスである。手は肘まで伸びた白い手袋を身に付けているが、さすがに直接触る勇気は無かった。その手袋で、グスタフの肉棒を、先ほど足でやっていたように上下に擦り立てていく。
「き、気持ちいいっ! チンポがたまらんっ! チンポが、チンポがぁぁぁぁっ!」
一国の姫の手で性器を刺激されてグスタフも興奮の極みにいるのだろうか。わざとリリライトに聞かせるように、露骨な言葉を何度も連呼する。それを聞くリリライトの顔は真っ赤だった。
「人語をしゃべらないでと言ったでしょう。この豚がっ!」
リリライトはそう言いながら、更に肉棒を擦る手を激しくしていく。先ほどの白濁で滑りがよくなった肉棒が、ビクビクと震えて膨らんでいく。
「う、あ……大きくなって……」
「ぶひっ! ぶひっ、ぶひぃぃぃっ! で、出るぅぅぅぅっ!」
再び身体を大きく痙攣させながら、グスタフは再び精を放つ。
「きゃ」
小さな悲鳴を上げながら、今度は発射された白濁がリリライトの白い顔に付着する。灼熱のような熱い感触と、濃密な雄の匂いがリリライトの鼻孔を刺激する。
「う、うええっ。き、気持ち悪いっ……」
さすがに顔に精を受けると、相手を蔑み楽しむような余裕がなくなり、リリライトは慌てて棚にあるティッシュを取りにいくと、一生懸命付着した精をふき取る。
「う、うぅぅ。最悪です……つい、興奮してしまって……」
2年生の遠征合宿に付き合っていたリリライトが、この「ストレス解消」をするのは実に5日ぶりだった。たまりにたまったストレスを抜くために、今日は夜が明けるまでグスタフを付き合わせるつもりだったが、これで萎えてしまったリリライト。今夜はこの“遊び”をここまでとした。
▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼
“遊び”の最中は、大臣というか人として、能力以下その人となりがどうかと疑われるグスタフ。しかし曲がりなりにも大臣という高位の役職に就いてるわけで、最低限の執務等はこなしている。
彼は王女リリライトの教育もそうだが、ミュリヌス学園の実務責任者という執務も追っている。
リリライトは“遊び”以外では、この醜悪な肥満中年と出来るだけ接したくないとは思うが、立場上そういうわけにもいかない。“遊び”が予定以上に早く終わったため、二人は場所を応接室に移して、処理出来る仕事は今夜のうちに処理することに決めたのだった。
「ステラ=ストール……相変わらず、優秀ですね。さすがストール家所縁のご令嬢ですね」
2年生の遠征合宿の成績表を見つめながら、リリライトはつぶやく。
「ぐひっ……そうですね。あのたわわに実った乳房に、鍛えて引き締まった腰つき。ぐふふ、白薔薇騎士団の時期騎士団長の有望株ですぞ」
そうやって雄の欲望を遠慮なくさらけ出すグスタフに辟易するリリライト。
どうもこういう関係になってから、グスタフは調子に乗っている感がある。そういうのは出来れば“遊び”の時のみ、百歩譲っても二人きりの時限定にしてほしい。
つい先日もそうだったが、学園の生徒の前で、そういった振る舞いをするのはいかがなものか。外見はどうしようもないにしろ、振る舞いはまだ幼い姫を紳士的に諭すような理知的な大臣を演じて欲しいものだ。
度が過ぎてくるようであれば、いつかは本気で対処が必要だ。とはいえ、“遊び”が今の生活から無くなるのは考えられない。
2年生の成績一覧を眺めながら、ある意味厄介な存在であるグスタフをどうするか考えながら、リリライトは次の資料――1年生の成績リストへ目を移す。
「あら、リアラの席次がまた上がっていますね。今の席次は――4席。ふむふむ、首席まであと少し、ですね」
ふと廊下でリアラと会った時のことを思い出し、リリライトは顔を輝かせる。この時ばかりは年相応の可愛らしい無邪気な笑顔だった。
あの時に交わしたお茶の約束をリリライトは楽しみにしている。
今はリリライト側が忙しくて具体的な日程まで立てられないが、リアラも夏休みに入れば故郷へ里帰りをするだろう。出来ればその前に予定を立てたいと思うのだが。
「ところで、今の1年生の首席は、と」
何故リアラをこんなに贔屓目にしてしまうかはリリライトも分からない。なんとなく友達になれそうだったから? 友人というのは、案外そういったものかもしれない。
明確な理由は分からないが、リリライトはリアラを応援したい。首席の座を勝ち取り、是非白薔薇騎士団へ入団して欲しい。
「――アンナ=ヴァルガンダル? ああ、あのヴァルガンダル家の……」
その名前を見つけると、リリライトの表情が少し曇る。
ヴァルガンダルの現在の当主は、第1王子直轄の龍牙騎士団の団長だ。
残念ながらリリライトは彼とは折が合っておらず、ヴァルガンダル家自体に良い感情を抱いていない。彼はリリライトの能力や資質を低く見積もり、何かと政務の場から遠ざけようとしているのだ。
「そこのご息女ですか」
首席という立場であるため、リリライトもアンナとは何度か会話を交わしたことがある。
確かに、思い返してみると、あの男と同じ血筋を引いているせいか、どこかしら王女である自分を馬鹿にしているような色を感じた。
リリライトのことを面白くないと思っているなら、どうしてミュリヌス学園へ来たのか――言うまでもなく、女性騎士としては白薔薇騎士団というステータスが至高のものであるからだ。
そして、リリライトの中に黒い感情が湧き上がってくる。それはグスタフとの秘めた関係で育てられた歪んだ嗜虐の悦びの炎か。
どうにかしてこのアンナ=ヴァルガンダルを首席の座からこき下ろし、贔屓にしているリアラをつかせることは出来ないだろうか。いや、可能か不可能かでいえば、王女特権を使えば容易である。しかしそれでは、周囲が、リアラが納得しないだろう。
あまりに不自然かつ強引過ぎるのは厳禁だ。父から叱責されるだろうし、極端な話それがきっかけでヴァルガンダル家が国家に叛意を持とうものであれば、もはやリリライトの出来心ではすまされないものだ。
「アンナが自らの意志で堕落していくように、仕向けられないでしょうか」
思わず口に出してつぶやくリリライト。
しかし噂を聞く限り、いやリリライトも実際の彼女を目の当たりにして感じた。
彼女は真面目で勤勉な努力家だ。今の首席の座も、才能や家柄だけではなく、その懸命な努力が実現させたものに違いない。そんなストイックな人間が、何をどうしたら堕落するだろうか。
「ぐひっ。王女殿下、良い案がありますぞ」
唐突にグスタフが口を開く。
無意識に自分の考えが漏れ出ていたことに気づき、はっとして口を抑えるリリライト。
しかし、今更だった。この男とは他の誰にも見せられない秘密を共有している。無理に隠す必要もないと思い、緊張を弛緩させると、いかにもグスタフが考えそうなことを指摘する。
「麻薬はダメですよ。1度でも手をだしたら、あれは個人だけではなく国をダメにします」
そこは厳格な王女の表情できっぱり否定する。
こんな身勝手で我儘で自己中心的な考えは、王女としてではなく、まだ年端もいかない一少女の幼い考えだ。それを王女として実行するわけにはいかない。ましてやアンナ個人の人生を破滅させたいなどとは露にも思っていない。
「ぐひひひ。そんなものを使わなくても、首席とはいえ所詮は一匹の雌。人生経験も碌にない小娘――堕落させるのは、いともたやすい」
その邪悪な笑みを見た時、リリライトは恐怖で背筋に悪寒が走った。これが、“遊び”の時に、本能のままに狂っているあのグスタフと同一人物なのだろうか。
しかし、同時に、グスタフの提案にも興味があった。ちょっとした悪だくみ程度のことで、贔屓にしているリアラに、少しでも良い思いがさせられるのならば試してみてもいいかもしれない。
実行するかどうかはともかくとして、グスタフの提案には耳を傾けるくらいの価値はありそうだ。
グスタフはその醜悪で不快な笑みを浮かべてリリライトの耳へ口を寄せる。グスタフの生暖かい吐息が耳にかかり、リリライトは思わず吐きそうなくらいの不快感を抱くが、ぐっと耐えて耳を澄ます。
そこからつらつらと語られたグスタフの提案は、リリライトの興味をそそり、その後リリライトは様々な質問や確認をし、二人の打ち合わせは宵の夜まで続いた。
“遊び”を抜きにして、二人がそんな深夜まで同じ部屋にいることもまた初めてのことだった。
様々な公務に加えて、自身が従える白薔薇騎士団とその養成機関であるミュリヌス学園の運営や管理、それに自身も勉学・武芸・魔術・政治学など、様々なことを充分以上にこなしている。
年頃の娘としては最も関心が高い恋愛についても、王族という立場上当然のことだが、自由に楽しむことは出来ず、政治的・外交的な意味合いを含めつつ、それも上手に対処していた。
普通の女性ならばストレスでおかしくなっても不思議ではない。しかしリリライトは、常に笑顔を絶やさずに振舞っていた。
父王であるアルマイト国王も、この激務に平然と強かにしているのは予想外であったようで、驚きの感想を漏らすばかりだった。そこは、国王直系の血筋がそうさせているのだろうか。
否――
「ぐひっ……ぐひひひぃっ…!」
「ふふ、もっと汚い声で鳴きなさい。この醜い豚がっ!」
ミュリヌス学園近くの王女邸宅、そのリリライトの資質にて。
キングサイズのベッドに、彼女の教育係である大臣グスタフは四肢を拘束されていた。全裸状態で仰向けにされながら、リリライトは両足で勃起した肉棒を挟み、上下に擦っていた。
「本当、汚らわしくて気持ち悪い。私のような小娘に、大事なところを足で弄られて興奮しているんですか? 一国の大臣たる男性が、本当無様ですね」
白いストッキングに包まれた足の指先で亀頭を撫でまわし、もう片方の足は玉袋を圧迫するように刺激する。
「んほおっ……おおお……お、リリライト様……」
「豚が人語を喋らないでくれますか? 豚は豚らしく、どのように鳴くんですか?」
そう言いながらリリライトは緩急をつけながら、肉棒を足でマッサージするように刺激し、先走りでぬめっているそこを、音を立てながらこすり立てていく。
「ぶ、ぶひぃぃぃっ!」
本当の豚の鳴き声のような喘ぎ声をあげながら、グスタフは勢いよく射精する。大量の精が噴水のように上に発射され、ベッドに、そしてリリライトの白いドレスにふりかかっていく。
「あははははっ! 出ちゃいましたね。小娘の足で射精させられちゃいましたね。気持ち悪いですよ、グスタフ」
自らにかかる白濁液など気にせずに、ビクビクと痙攣するグスタフを見ながら大声で笑うリリライト。その顔は赤く上気していた。
――この行為が、日々リリライトに積み重なる強大なストレスのガス抜きになっていた。
きっかけはいつ、どのようにだったかはよく覚えていない。リリライトの教育係としてグスタフが任命されて程なくしてから、この暗い関係は始まっていた。
最初はせいぜいグスタフが自分を慰めているのを見ているだけだったのがせいぜいだった。
しかし、いつからかリリライトは嫌悪感からグスタフを罵倒し始める。それでグスタフが醜く興奮していく様を晒していくのに歪んだ興奮を覚え始めていき、身体を接触させることなどなかったリリライトが興味本位で足を。そして今では――
「これだけ出したのに、大きいままじゃないですか。本当に、豚じゃなくてお猿さんでしたか」
射精したばかりにも関わらず、今なお勃起を続ける肉棒。リリライトはその肉棒に手を伸ばして、握りしめる。
「ほおおおっ! り、リリライト様が、ワシのチンポをっ…!」
その野太い声で下品な言葉を口にするグスタフ。普通の女性ならそれだけで吐き気を催すだろう。しかし、リリライトはその言葉を聞くと、ゾクゾクと背中を興奮が走っていくのを感じる。
「ふおおおっ! ち、チンポがっ! わしのチンポがっ…姫様の手コキでっ! た、たまらんっ! ほおおおっ!」
リリライトの格好は公務に臨む際に着用する正装――純白のドレスである。手は肘まで伸びた白い手袋を身に付けているが、さすがに直接触る勇気は無かった。その手袋で、グスタフの肉棒を、先ほど足でやっていたように上下に擦り立てていく。
「き、気持ちいいっ! チンポがたまらんっ! チンポが、チンポがぁぁぁぁっ!」
一国の姫の手で性器を刺激されてグスタフも興奮の極みにいるのだろうか。わざとリリライトに聞かせるように、露骨な言葉を何度も連呼する。それを聞くリリライトの顔は真っ赤だった。
「人語をしゃべらないでと言ったでしょう。この豚がっ!」
リリライトはそう言いながら、更に肉棒を擦る手を激しくしていく。先ほどの白濁で滑りがよくなった肉棒が、ビクビクと震えて膨らんでいく。
「う、あ……大きくなって……」
「ぶひっ! ぶひっ、ぶひぃぃぃっ! で、出るぅぅぅぅっ!」
再び身体を大きく痙攣させながら、グスタフは再び精を放つ。
「きゃ」
小さな悲鳴を上げながら、今度は発射された白濁がリリライトの白い顔に付着する。灼熱のような熱い感触と、濃密な雄の匂いがリリライトの鼻孔を刺激する。
「う、うええっ。き、気持ち悪いっ……」
さすがに顔に精を受けると、相手を蔑み楽しむような余裕がなくなり、リリライトは慌てて棚にあるティッシュを取りにいくと、一生懸命付着した精をふき取る。
「う、うぅぅ。最悪です……つい、興奮してしまって……」
2年生の遠征合宿に付き合っていたリリライトが、この「ストレス解消」をするのは実に5日ぶりだった。たまりにたまったストレスを抜くために、今日は夜が明けるまでグスタフを付き合わせるつもりだったが、これで萎えてしまったリリライト。今夜はこの“遊び”をここまでとした。
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“遊び”の最中は、大臣というか人として、能力以下その人となりがどうかと疑われるグスタフ。しかし曲がりなりにも大臣という高位の役職に就いてるわけで、最低限の執務等はこなしている。
彼は王女リリライトの教育もそうだが、ミュリヌス学園の実務責任者という執務も追っている。
リリライトは“遊び”以外では、この醜悪な肥満中年と出来るだけ接したくないとは思うが、立場上そういうわけにもいかない。“遊び”が予定以上に早く終わったため、二人は場所を応接室に移して、処理出来る仕事は今夜のうちに処理することに決めたのだった。
「ステラ=ストール……相変わらず、優秀ですね。さすがストール家所縁のご令嬢ですね」
2年生の遠征合宿の成績表を見つめながら、リリライトはつぶやく。
「ぐひっ……そうですね。あのたわわに実った乳房に、鍛えて引き締まった腰つき。ぐふふ、白薔薇騎士団の時期騎士団長の有望株ですぞ」
そうやって雄の欲望を遠慮なくさらけ出すグスタフに辟易するリリライト。
どうもこういう関係になってから、グスタフは調子に乗っている感がある。そういうのは出来れば“遊び”の時のみ、百歩譲っても二人きりの時限定にしてほしい。
つい先日もそうだったが、学園の生徒の前で、そういった振る舞いをするのはいかがなものか。外見はどうしようもないにしろ、振る舞いはまだ幼い姫を紳士的に諭すような理知的な大臣を演じて欲しいものだ。
度が過ぎてくるようであれば、いつかは本気で対処が必要だ。とはいえ、“遊び”が今の生活から無くなるのは考えられない。
2年生の成績一覧を眺めながら、ある意味厄介な存在であるグスタフをどうするか考えながら、リリライトは次の資料――1年生の成績リストへ目を移す。
「あら、リアラの席次がまた上がっていますね。今の席次は――4席。ふむふむ、首席まであと少し、ですね」
ふと廊下でリアラと会った時のことを思い出し、リリライトは顔を輝かせる。この時ばかりは年相応の可愛らしい無邪気な笑顔だった。
あの時に交わしたお茶の約束をリリライトは楽しみにしている。
今はリリライト側が忙しくて具体的な日程まで立てられないが、リアラも夏休みに入れば故郷へ里帰りをするだろう。出来ればその前に予定を立てたいと思うのだが。
「ところで、今の1年生の首席は、と」
何故リアラをこんなに贔屓目にしてしまうかはリリライトも分からない。なんとなく友達になれそうだったから? 友人というのは、案外そういったものかもしれない。
明確な理由は分からないが、リリライトはリアラを応援したい。首席の座を勝ち取り、是非白薔薇騎士団へ入団して欲しい。
「――アンナ=ヴァルガンダル? ああ、あのヴァルガンダル家の……」
その名前を見つけると、リリライトの表情が少し曇る。
ヴァルガンダルの現在の当主は、第1王子直轄の龍牙騎士団の団長だ。
残念ながらリリライトは彼とは折が合っておらず、ヴァルガンダル家自体に良い感情を抱いていない。彼はリリライトの能力や資質を低く見積もり、何かと政務の場から遠ざけようとしているのだ。
「そこのご息女ですか」
首席という立場であるため、リリライトもアンナとは何度か会話を交わしたことがある。
確かに、思い返してみると、あの男と同じ血筋を引いているせいか、どこかしら王女である自分を馬鹿にしているような色を感じた。
リリライトのことを面白くないと思っているなら、どうしてミュリヌス学園へ来たのか――言うまでもなく、女性騎士としては白薔薇騎士団というステータスが至高のものであるからだ。
そして、リリライトの中に黒い感情が湧き上がってくる。それはグスタフとの秘めた関係で育てられた歪んだ嗜虐の悦びの炎か。
どうにかしてこのアンナ=ヴァルガンダルを首席の座からこき下ろし、贔屓にしているリアラをつかせることは出来ないだろうか。いや、可能か不可能かでいえば、王女特権を使えば容易である。しかしそれでは、周囲が、リアラが納得しないだろう。
あまりに不自然かつ強引過ぎるのは厳禁だ。父から叱責されるだろうし、極端な話それがきっかけでヴァルガンダル家が国家に叛意を持とうものであれば、もはやリリライトの出来心ではすまされないものだ。
「アンナが自らの意志で堕落していくように、仕向けられないでしょうか」
思わず口に出してつぶやくリリライト。
しかし噂を聞く限り、いやリリライトも実際の彼女を目の当たりにして感じた。
彼女は真面目で勤勉な努力家だ。今の首席の座も、才能や家柄だけではなく、その懸命な努力が実現させたものに違いない。そんなストイックな人間が、何をどうしたら堕落するだろうか。
「ぐひっ。王女殿下、良い案がありますぞ」
唐突にグスタフが口を開く。
無意識に自分の考えが漏れ出ていたことに気づき、はっとして口を抑えるリリライト。
しかし、今更だった。この男とは他の誰にも見せられない秘密を共有している。無理に隠す必要もないと思い、緊張を弛緩させると、いかにもグスタフが考えそうなことを指摘する。
「麻薬はダメですよ。1度でも手をだしたら、あれは個人だけではなく国をダメにします」
そこは厳格な王女の表情できっぱり否定する。
こんな身勝手で我儘で自己中心的な考えは、王女としてではなく、まだ年端もいかない一少女の幼い考えだ。それを王女として実行するわけにはいかない。ましてやアンナ個人の人生を破滅させたいなどとは露にも思っていない。
「ぐひひひ。そんなものを使わなくても、首席とはいえ所詮は一匹の雌。人生経験も碌にない小娘――堕落させるのは、いともたやすい」
その邪悪な笑みを見た時、リリライトは恐怖で背筋に悪寒が走った。これが、“遊び”の時に、本能のままに狂っているあのグスタフと同一人物なのだろうか。
しかし、同時に、グスタフの提案にも興味があった。ちょっとした悪だくみ程度のことで、贔屓にしているリアラに、少しでも良い思いがさせられるのならば試してみてもいいかもしれない。
実行するかどうかはともかくとして、グスタフの提案には耳を傾けるくらいの価値はありそうだ。
グスタフはその醜悪で不快な笑みを浮かべてリリライトの耳へ口を寄せる。グスタフの生暖かい吐息が耳にかかり、リリライトは思わず吐きそうなくらいの不快感を抱くが、ぐっと耐えて耳を澄ます。
そこからつらつらと語られたグスタフの提案は、リリライトの興味をそそり、その後リリライトは様々な質問や確認をし、二人の打ち合わせは宵の夜まで続いた。
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