はりぼてプロムナード

田作たづさ

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ミコと猛毒

ようこそ地獄へ 転

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「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 蹲って泣いている誰かを、私は眺めている。彼女はずっと泣いているのに、涙が枯れる気配は無かった。

 私はその背後へと近付いた。それから、彼女の肩にそっと手を置いた。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 彼女は私の手に縋りついて、そして泣き続けた。

 私は彼女をそっと抱きしめた。出来るだけ優しくしてあげたかった。

「お父様、お母様ごめんなさい」

 彼女は呟いた。それから、私にぎゅっと抱きついた。

「お父様、お母様ごめんなさい」

 脇腹が痛い。そして熱い。私は仰向けに倒れた。

 彼女の手には、血で濡れたナイフが握れている。どうやら私は刺されたらしい。

「悪い子でごめんなさい」

 彼女の涙が、私の頬に落ちる。

 あぁ、なんだ、そういうことか。

 その子は、私が最もよく知る少女であった。


─────────
──────
───


「おーい、食べてー。おいしーよ?」
「サクったら、寝てたら食べないでしょ?」
「寝てるけどー、おいしーから食べるかもしれない」

 光子は暗い視界の中、誰かの声を聞いていた。

 声ははっきりと聞き取れるのに、ぼやけた思考では理解が出来なかった。唯一分かるのは、なにかが唇に押し付けられている、ということだった。

「まだ起きないんですか?」
「うんー、おかしーよね」
「サクが薬の量間違えたのよ。きっと」
「えー? 間違えたかなぁ。ねぇ、みーこ。そろそろ起きて。そーじゃないと、無理矢理起こすことになっちゃうよー。……だから、お願い」

 光子はパッと瞼を上げた。

 彼女は、仰向けに寝転がっていた。固くてヒヤリとした床の感覚が背中に伝わる。目の前には白髪の青年、サクがいた。

 彼は嬉しそうに微笑む。

「やっぱり良いね、みーこは」

 光子は、眼球の動きだけで周囲を見回した。

 天井は高い。豪華なシャンデリアの他に、流木に金箔をまぶしたような繊細なオブジェクトが散りばめられている。壁には品の良い絵画がいくつもあった。

 親戚の結婚披露宴に参加した時のことを、光子は思い出す。ここはその思い出以上に、豪華で洒落た部屋であった。

 そして同時に、光子にとって全く知らない場所だった。

「はーい、起きよーね」

 光子はサクに支えられて、上半身を起こした。そして、彼女は目にした光景に小さく息をのんだ。

 この部屋には、十数名の男女がいた。静まり返った室内にそれだけの人数がいたことが、光子には信じられなかった。

 彼女が知っているのは、側にいるサクと、光子へと手を振る西洋人形のような少女だけ。美子はいなかったし、それ以外の人物にも見覚えは無かった。

 それでも、この部屋で最も位の高い人物は想像がついた。部屋の中央に置かれた革張りのソファーに、長い脚を組んで腰掛けている黒髪の男性。

 ──すごく、綺麗な人。

 この場にはサクや西洋人形のような少女を筆頭に、美しい顔立ちの男女が集まっていた。しかし、ソファーに腰掛ける彼は別格である、と光子は直感的に思った。

 それは、彼がその身に纏う目には見えない何かが影響しているようだった。オーラとか、カリスマ性とか、そういった類のものだ。

 それは、決して逆らってはいけないと思われる何かであった。

 彼は、光子に対して全く興味を示していなかった。頬杖をつき、虚空を見つめていた。深海のような深い瞳は、ただつまらなそうに。

「はい、あーん」

 サクはフォークで貫いた肉を、光子の口元に差し出した。光子は食べる気になれなかったので、首を振った。サクはしょげたように、その瞳を細めた。

「みーこがおいしそーって言ったから買ったのにぃ。酷いよー」
「……あ、え?」
「うんうん。これはさっき、一緒に選んだやつだよー。いっしょに食べよーと思って買ったの」

 光子は、強い寒気に襲われた。

 ──あの平和な時間には、既に全てが壊れていたんだ。牛肉を選んでいたあの瞬間。買い物をしている時点では、このような未来に続いていくなんて、考えもしなかったのに。

 光子は自分自身を守るように、両腕で身体を抱きしめた。

「……え?」

 ここで初めて、光子は自身の違和感に気が付いた。正確にいえば、自身が身に纏うモノの違和感に。

 改めて服装を見れば、出勤用のオフィスカジュアルとは全く変わっている。今光子が着ているのは、レースをふんだんに使用した純白のドレスであった。

「あー、やっと気付いた? ドレス似合ってるよー。かわいー。お姫様みたい。髪型もかわいーんだよ? おーきなキラキラした飾りが付いてる」
「なん、で……」
「それでー、お肉食べよう? そうしなきゃ、冷たくなっちゃうよ?」
「い……」

 光子は、小さく首を振った。それは彼女ができる精一杯の抗議であった。

「みーこ。ね? お願い」

 ぴたり、と光子は首の動きを止めた。そして、小さく口を開いた。

 サクはぱっと笑顔になると、ステーキ肉を優しく押し込んだ。

 光子は、頼まれると断れない性質であった。それは、どんなに理不尽な状況においても変わらない。

 光子は、無心で肉を噛み続けた。味はよく分からなかった。特になにも感じなかった。

 サクは、光子をじっと見ていた。肉を飲み込むまで、目を離さないつもりのようだった。

 時間の流れが、ただただ苦しかった。だから、光子は想像をしていた。今日過ごすはずであった、ささやかな日常を。

 ──夕食にカレーを作って。「まあまあね」って美子さんが言って。それでも、おかわりはちゃんとしてくれて。

 ──レモンの香りがする高価な入浴剤をお風呂に入れて。「今日はバラの気分だったのに」って美子さんが言って。私はそれで落ち込んじゃって。そうしたら「でも、レモンも悪くないんじゃない?」って、美子さん言ってくれて。

 ──あぁ、そうだった。今日はネイルのやり方を教えてくれるって、美子さん言ってたな。「もうちょっとオシャレに気を使いなさい」って、いつもいつも私を叱ってくれた。

 それは彼女にとって、かけがえのない現実逃避であった。

「よーし、食べたね。偉い偉い。これで準備は完了っとー」
「やっとですか。あなたは、どれだけ時間を無駄にすれば気が済むんですか」
「えー、だって、準備は大事でしょう? そーは思わないの?」
「あなたには、なにを言っても無駄ですね」

 サクと話をする男性は、大きく溜息を吐いた。

 新品のようなシワひとつない燕尾服を身に纏い、縁のない眼鏡をかけている。年齢は三十代といったところか。

 男性は、ソファーに座る彼の横に立っていた。背筋を伸ばし堂々と、それはまるで執事のように。

 やがて男性はテーブル上に置かれたベルを手に取ると、それを小さく鳴らした。

「さて、まだ死んでいないと良いんですが」
 
 部屋の両扉が開き、担架に乗せられた誰かが運ばれてきた。それが黒いドレスを身に纏った美子だとわかった瞬間に、光子は駆け寄ろうとした。

 しかし、サクに背後から抱き止められてしまう。光子は力の限り本気で抵抗したが、振り解くことは出来なかった。

「まだだよー、みーこ。落ち着いてー」

 美子は呼吸が荒く、いかにも苦しそうだった。担架から、床へと乱雑に落とされる。美子は小さく呻いた。

「美子さんっ!」

 この部屋に来て初めて、光子は人並みに声を出した。サクの腕の中でもがき、必死に腕を伸ばす。「猫の爪切りしてる時みたい」と言いながらサクは笑った。

 そして光子の左手首に、金属製の枷をはめた。

「……え?」

 光子から困惑に満ちた声音が漏れ出た。ずっしりと重い手首に目をやる。幅の太い枷には、スマートウォッチのような小さな機械が取り付けてあった。

 よく見ると、それは光子の脈拍を計測しているようだった。そしてなによりも不気味なのは、その枷に頑丈そうな鎖が繋がっていること。

 3mほど伸びた先、逆の端では同じ枷が美子の手首にはめられた。

「よーし。ちゃんと機器は正常だねー。みーこ、脈速いけど大丈夫ー? 今からそんなんだときついと思うなぁ」
「どういう……」
「さて、それではゲームのルール説明といきましょうか。織神光子さん」

 燕尾服を身に纏った男性に話しかけられ、光子は驚き固まった。そんな様子の彼女を、サクは「よしよし」と言いながら優しく撫でた。

「ルールはいたって簡単です。お嬢さんかそこに転がっている女、どちらか一方だけが、この部屋から生きて出ることができます。しかし、そこの女は動くことも話すこともできませんから。つまり全てを決める権利は織神光子さん、お嬢さん自身にある。説明は以上になりますが、ご質問は?」

 光子は真っ青な顔で黙っていた。要は事態がうまく飲み込めていなかったので、なにも反応することが出来なかった。

 男性は、そんな光子の様子をよく理解していた。しかし残酷にも、彼女が状況を理解するまで待つことはせず、淡々と次の言葉を続けた。

「お嬢さんは人を殺した経験が無いでしょうから、我々からひとつ、プレゼントを用意いたしました。さあ、サク」
「はーい」

 サクは光子の手のひらに、冷たい物体を乗せた。細やかな装飾が施されたそれは、ずっしりとした重さがあった。

 光子は、瞳を大きく見開いた。

 それは、拳銃だった。

「おもちゃじゃないよ。ホンモノ。それじゃあ、練習しよーか」

 サクは立ち上がって、光子のことも無理矢理立たせた。そして、サクは光子に拳銃を握らせた。

 正確にいえば、光子は握っていない。彼女は完全に力が抜けていたから、背後からサクの手で支える形であった。

「じゃあみーこ。引き金に指掛けて?」
「い、いやっ……」
「そーお? じゃあ、しょうがないかー」

 サクは自身の人差し指を、引き金に重ねた。

「反動がおーきいから、両手で支えたほーがいーよ。そーして、狙いを定める」
「な、んで……」

 サクは、銃口を美子へと向けた。それは光子が美子に銃を向けているのと同義であるように、彼女には感じられた。

 サクは引き金にかけた自身の指に、ゆっくりと力を入れた。そのわずかな動きが光子に伝わり、彼女は息をのんだ。

「や、やめて。やめてください! それだけは嫌です!」
「えー? だって、みーこが引き金をサクに託したからー」
「あ、あ、それは……」

 銃口が向かう先を変えたかったが、腕は固く定められたまま、全く動かすことが出来なかった。だから光子は、一心不乱に首を振った。

「ごめんなさいごめんなさい、ごめんなさいっ。だから、だから、それだけは、やめてください!」

 光子の心拍数は上昇する一方だった。次第に、引き金に指を掛けているのは自分自身である、といった錯覚に襲われる。

「ほんと、妬けちゃうなぁ。そんなに大事? その女が」
 
 それは、随分と冷たい声音だった。そして、1発の銃声が部屋全体に響き渡った。

「あっ……」

 美子の背後にあった大きな花瓶が粉々に割れていた。飾られていた美しい花々は、流れ落ちた液体と共に散らばっている。

 光子は完全に腰が抜けてしまい、床へとへたり込んだ。

「やっぱりー、自分でやってもらわないと意味ないからねー。はい、これ。銃弾は残り1発だけ入っているから。大切にねー」

 サクは光子の隣に拳銃を置くと、その側を離れた。

 光子はハッと我に返ると、這いつくばる形で美子の元へと近付いた。

 彼女は必死だったが、なかなか前に進むことは出来なかった。ロングドレスが動きの邪魔をしたためだ。加えて、極度の緊張からか、光子は自身の身体を上手く動かすことが出来なかった。

「美子さん、美子さん……」

 美子は黒いロングドレスを着ていた。それは光子のものと比べると随分シックなデザインだった。喪服のようだと光子は思い、その考えを振り払うように首を大きく振った。

 光子はガクガクと震える両腕に力を入れて上半身を起こすと、改めて美子の様子を観察した。

 美子は苦しそうに口で呼吸をしていた。目は開いているが、それは随分と虚で濁っていた。光子の呼びかけにも反応はない。

 光子は、美子の腕へと手を伸ばし触れた。すると、美子は大きく呻いた。

 光子は驚き、咄嗟に手を引っ込める。「両手両足の骨を折ったよ」と言って微笑んだ少女の顔が浮かんだ。黒い布地で見えなかったが、腕はきっと青紫色に腫れているのだろう。
 
「な、んで……」
「なんで、と仰りましたか。それは『なんで自分がこんな酷い目に遭っているのか』という意味でしょうか。いや、お嬢さんの場合は『なんで彼女がこんな酷い目に遭っているのか』と聞きたいのでしょうね」

 燕尾服を身に纏った男性は、光子の真意を簡単に見抜いた。光子は震えながらも、小さく頷いた。

「それは、罰です」
「ばつ……?」
「8ヶ月前のあの日、その女はタブーを犯しました。決して越えてはならない一線を、自身の危うさで越えてしまったのです」

 男性は意味深な空白を置いた。

「──とある暴力団組長のひとり娘として生まれた女は、それはそれは大事に育てられたそうですよ。蝶よ花よ、とね。しかし、それがいけなかったのでしょうか。全ては自分の思い通りになる。世界は自分中心で回っている、とその女は本気で考えてしまったのです」
「8ヶ月前って……」
「えぇ、その通り。お嬢さんがその女をゴミ捨て場から拾ったあの日です。──結果として、女の父親、母親、そして組の構成員に至るまで、その全てが命を落とすこととなりました。原因は全て、そこに転がる女にあります」

 光子が美子に初めて会った日。彼女の服は血塗れだった。彼女自身は大きな怪我をしていなかったにも関わらず。

 服に付着していた血液の正体が、今この瞬間に判明した。そして、美子がずっと恐れていたナニカの正体も。それは随分と残酷な答え合わせであった。

「あの……」
「なんでしょう? お嬢さん」
「……いえ、なんでもありません」

 美子が犯したというタブー。それは何だったのかと聞こうとして、光子はやめた。

 ──この人達に、私の常識は通用しない。美子さんが酷い目にあったその理由を聞いたところで、どうせ自分には理解できないんだから、きっと。だから、聞くだけ時間の無駄だ。

 ──それよりも、美子さんを早く病院へ連れて行きたい。どうにかして、ここから逃げることはできないのかな。美子さんとふたりで、ここから出たい。

 光子はゆっくりと息を吐いた。彼女は、若干の冷静さを取り戻していた。

 燕尾服の男性は、光子の強い意思が宿った瞳を見つめた。そして、狩るべき獲物を見つけた捕食者のように、うっすらと微笑みを浮かべた。男性にとって、揺さぶりは得意分野であった。

「先ほどは言い忘れていましたが、このゲームには制限時間があります」
「……え?」
「もしもその女が『毒』で死ねば、ゲームオーバーです。おふたりとも、あの世に逝っていただきます」
「……ッ!!」

 光子は小さく悲鳴をあげた。そして、ガタガタと震え始めた。光子は、明らかな、火を見るよりも明らかな動揺を見せた。せっかく取り戻した冷静さは、跡形もなく消えていた。

「なんで……どく、なん、ですか……」

 今にも泣き出しそうな声で、光子は尋ねた。その瞳には、恐怖が色濃く浮かんでいる。

 男性は怯える光子を見つめ、笑みを深めた。男性にとって揺さぶりは得意分野であって、最も心躍る瞬間でもあった。

「それはもちろん、お嬢さんにこのゲームを楽しんでいただくためですよ。折角なので、お嬢さんのお母様があの時使用されたモノを、今回はご用意させていただきました」

 光子は全身の力が抜けて、床に倒れ込んだ。

 ──知られているんだ。この人達は、全部知っている。全部全部。私の過去。捨てたかった過去。捨て去ったはずの過去。

「その毒に即効性はありませんが、じわりじわりと苦しみが強くなります。最初は熱っぽさや、身体の痺れ。それは少しずつ鋭い痛みへと変わっていく。そして最後は、口から血を吐き、のたうち回りながら死んでいくのです」

 ──聞きたくない

「……と言いましても、その女にはのたうち回る体力なんて残されていないでしょうがね」

 ──聞きたくない。聞きたくないよ。そんなこと聞きたくない。なんで毒の説明なんてするの。とてもとても意地悪な人だ。お母様が苦しみの中で息を引き取ったなんて、そんなの知りたくもないのに。

「加えて説明をしますと、あなたにも同様の毒を飲んでいただきました。先ほどのステーキとともに」

 光子の肩がびくりと跳ねた。身体が上手く動かせなかったのはそのせいなのか、と光子は納得した。
 
「先ほど手首に装着した枷ですが、脈を測っているでしょう? どちらかの脈が完全に止まった場合には、もう一方の枷で解毒薬が注射される仕様となっています」

 生存本能だろうか。

「さて、これで説明は全て終わりました。お嬢さん、このゲームのルールは理解されましたか?」

 光子は、自分が生き残る方法だけは理解していた。

 ──ここから、この狂った世界から生きて出るには、自らの手で美子さんを殺すしかない。

 光子はゆっくりと上身体を起こすと、足元にある拳銃に手を伸ばした。そして、拾い上げたそれを両手でしっかりと構えた。

 美子へと、真っ直ぐに。

 ──もう、いやだ。もうなにもかも、全てがいやだ。お母様のことだって、最近はやっと忘れられたのに。家に帰って、温かい布団で眠りたい。なんで、なんで私がこんな目に遭っているの?

「その女のせいですよ。お嬢さんはその女に巻き込まれて、死ぬまで知らなくて良かった世界に引きずり込まれたんです。いわばお嬢さんは被害者です」

 優しい声音だった。光子の背中を後押すように。

「苦しみから、早く解放してあげてください。お嬢さんであれば、彼女の苦痛を全て終わらせることが出来るんですから」

 それは、とても甘い誘いだった。

「お嬢さんがここで撃ち殺したとしても、罪に問われることは決してありません。だから、安心してください」

 ひとりで拳銃を構えてみると、光子にとってそれは随分と重く感じられた。

 彼女は震える指先に、少しだけ力を込めた。どれくらいの力で引き金を押し込んだ時に銃弾が放たれるのか、光子は全く想像が出来なかった。

 少しずつ少しずつ、指の力を強める。美子は変わらず、虚ろな瞳であった。虚ろに、天井を眺めている。

 いや、もしかしたらそれよりもずっと遠くを見ているのかもしれない、と光子は思った。

 「お父様、お母様ごめんなさい」と、苦しそうに泣いていた美子の表情を思い出して、そして何かと重なった。

「みーこはやっぱり、そっちを選ぶの?」

 カタカタと細かく揺れ動く鎖。それは光子自身の震えを、白日の下に晒していた。

 鎖に繋がれた手首、その先の手のひらにしっかりと握られた拳銃。

 光子は、自身のこめかみへと銃口を向けていた。
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