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41%になると動き出す私のスマホ
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「ねえちょっと、最近スマホの調子が悪くてさぁ。ちょっと見てくれない?」
「はぁ? んだよめんどくせぇなぁ」
「ちょっとくらいいいじゃない」
幼馴染のたっくんにせっかくお願いしてあげたのに、返ってきた返事はつれないものだった。
「ええー」
だけど懸命にお願いするといつもなんだかんだ言いながら、言うことを聞いてくれるのがたっくんでもある。
「まったく……、しょうがねぇなぁ」
「ありがと! たっくん大好き!」
まったく心にもないことを口にしながら自分のスマホを渡すと、調子悪い内容を聞かれたのでちょっとずつ答えていく。こうやって少しずつ相手してあげると嬉しそうにするたっくんってチョロいよね。
「って、電池残量10%切ってるじゃねぇか」
そう言ってたっくんはモバイルバッテリーを取り出すと、私のスマホにケーブルを接続する。
「うん。まぁ今のところは普通に充電できてるな」
そうなのだ。私のスマホはなぜか充電がうまくいかない。寝る前に充電して朝起きると、必ず41%で止まっているのだ。
たっくんは何か操作をしているけれど、たまに首を傾げたりしている仕草がちょっと可愛かったりする。
「うーん。特におかしいところはないが……」
しばらくするとテーブルにスマホを置いて申し訳なさそうにするたっくん。まぁなんだかんだ言っても私たちはただの学生だし、ちょっと見ただけで解決するとは私も思っていない。
「そっかー」
でもちょっとたっくんが面白かったので、残念そうに言ってみた。するとさらに背中を丸めて申し訳なさそうにすると、『ごめん』と謝ってきた。
「ううん。でもありがとね」
「にしても最近のスマホは充電早ぇな」
ふと画面を見ると、さっきまで10%を切っていた電池残量がもう30%を超えている。
「ふーん?」
たっくんが急速充電がどうのこうのとか言ってるけれど、私にはよくわからない。ちょっと難しい話を聞き流していると、電池残量も40%になった。
「お、もうすぐだな?」
「みたいだね?」
なんだかわくわくしながら自分のスマホを見ていると画面が消えそうになったので、私はあわててスマホに手を伸ばした。と同時に残量が41%になる。
思わず手を止めたままスマホを見つめていると、不意に画面表示が切り替わった。
デフォルメされた顔のようなものが表示されたかと思うと、スマホから細長い八本の棒が伸びていく。
「えっ?」
「なにこれ!?」
呆然と呟く私たちをしり目に、五センチほど伸びた棒が不意に折れ曲がり、関節を持ったように蠢きだした。見た目はまさに蜘蛛だ。
「きゃああぁぁぁ!!」
「アキ!」
思わす悲鳴が口から洩れたかと思うと、たっくんがスマホと私の間に割り込んでくる。私はたっくんの背中越しに自分のスマホを恐る恐る見てみるけれど、まったくもってどうなっているのかよくわからない。
足が生えたようなスマホは、そのまま自分の本体を支えるように持ち上げると、のそりのそりと歩き出していく。やがてモバイルバッテリーとつながれたケーブルがピンとまっすぐになり、そのままバッテリーを引きずってなおも歩いていく。
やがてテーブルの端まできたスマホはそのまま床へとダイブする。音もなく着地を決めると、後ろから遅れて落ちてきたバッテリーに激突されて動きを止めた。
「……なんだこれ」
どれくらい時間がたっただろうか。たっくんがポツリと呟いた言葉に私もハッとする。なんとなく、もう動かないんじゃないかなと思ったところで怖くなってきた。
「もう、動かないかな……?」
「どうだろう……。たぶん大丈夫だと思うが……」
自信なさそうに答えるたっくんだけれど、それでもたっくんの言葉にちょっと安心する自分がいる。
恐る恐るスマホに近づくたっくんにつられて、私も一緒にスマホへと近づいていく。スマホのディスプレイにはヒビが入っているのがわかるけれど、上にモバイルバッテリーが乗っているので詳細はわからない。ゆっくりとしゃがみこんでバッテリーをそっと持ち上げると、案の定ヒビの入ったディスプレイが見えた。
――その瞬間。
「いやああぁぁぁぁ!!」
ディスプレイに恐ろしい形相の顔が表示されたかと思うと、素早く手足をわさわさと動かしてスマホが立ち上がる。そしてそのまますごい勢いで歩き出すと、バッテリー側のケーブルを引っこ抜いてそのまま走り去ってしまった。
思わずたっくんの背中にしがみついて泣きじゃくるしかなかった。
「はぁ? んだよめんどくせぇなぁ」
「ちょっとくらいいいじゃない」
幼馴染のたっくんにせっかくお願いしてあげたのに、返ってきた返事はつれないものだった。
「ええー」
だけど懸命にお願いするといつもなんだかんだ言いながら、言うことを聞いてくれるのがたっくんでもある。
「まったく……、しょうがねぇなぁ」
「ありがと! たっくん大好き!」
まったく心にもないことを口にしながら自分のスマホを渡すと、調子悪い内容を聞かれたのでちょっとずつ答えていく。こうやって少しずつ相手してあげると嬉しそうにするたっくんってチョロいよね。
「って、電池残量10%切ってるじゃねぇか」
そう言ってたっくんはモバイルバッテリーを取り出すと、私のスマホにケーブルを接続する。
「うん。まぁ今のところは普通に充電できてるな」
そうなのだ。私のスマホはなぜか充電がうまくいかない。寝る前に充電して朝起きると、必ず41%で止まっているのだ。
たっくんは何か操作をしているけれど、たまに首を傾げたりしている仕草がちょっと可愛かったりする。
「うーん。特におかしいところはないが……」
しばらくするとテーブルにスマホを置いて申し訳なさそうにするたっくん。まぁなんだかんだ言っても私たちはただの学生だし、ちょっと見ただけで解決するとは私も思っていない。
「そっかー」
でもちょっとたっくんが面白かったので、残念そうに言ってみた。するとさらに背中を丸めて申し訳なさそうにすると、『ごめん』と謝ってきた。
「ううん。でもありがとね」
「にしても最近のスマホは充電早ぇな」
ふと画面を見ると、さっきまで10%を切っていた電池残量がもう30%を超えている。
「ふーん?」
たっくんが急速充電がどうのこうのとか言ってるけれど、私にはよくわからない。ちょっと難しい話を聞き流していると、電池残量も40%になった。
「お、もうすぐだな?」
「みたいだね?」
なんだかわくわくしながら自分のスマホを見ていると画面が消えそうになったので、私はあわててスマホに手を伸ばした。と同時に残量が41%になる。
思わず手を止めたままスマホを見つめていると、不意に画面表示が切り替わった。
デフォルメされた顔のようなものが表示されたかと思うと、スマホから細長い八本の棒が伸びていく。
「えっ?」
「なにこれ!?」
呆然と呟く私たちをしり目に、五センチほど伸びた棒が不意に折れ曲がり、関節を持ったように蠢きだした。見た目はまさに蜘蛛だ。
「きゃああぁぁぁ!!」
「アキ!」
思わす悲鳴が口から洩れたかと思うと、たっくんがスマホと私の間に割り込んでくる。私はたっくんの背中越しに自分のスマホを恐る恐る見てみるけれど、まったくもってどうなっているのかよくわからない。
足が生えたようなスマホは、そのまま自分の本体を支えるように持ち上げると、のそりのそりと歩き出していく。やがてモバイルバッテリーとつながれたケーブルがピンとまっすぐになり、そのままバッテリーを引きずってなおも歩いていく。
やがてテーブルの端まできたスマホはそのまま床へとダイブする。音もなく着地を決めると、後ろから遅れて落ちてきたバッテリーに激突されて動きを止めた。
「……なんだこれ」
どれくらい時間がたっただろうか。たっくんがポツリと呟いた言葉に私もハッとする。なんとなく、もう動かないんじゃないかなと思ったところで怖くなってきた。
「もう、動かないかな……?」
「どうだろう……。たぶん大丈夫だと思うが……」
自信なさそうに答えるたっくんだけれど、それでもたっくんの言葉にちょっと安心する自分がいる。
恐る恐るスマホに近づくたっくんにつられて、私も一緒にスマホへと近づいていく。スマホのディスプレイにはヒビが入っているのがわかるけれど、上にモバイルバッテリーが乗っているので詳細はわからない。ゆっくりとしゃがみこんでバッテリーをそっと持ち上げると、案の定ヒビの入ったディスプレイが見えた。
――その瞬間。
「いやああぁぁぁぁ!!」
ディスプレイに恐ろしい形相の顔が表示されたかと思うと、素早く手足をわさわさと動かしてスマホが立ち上がる。そしてそのまますごい勢いで歩き出すと、バッテリー側のケーブルを引っこ抜いてそのまま走り去ってしまった。
思わずたっくんの背中にしがみついて泣きじゃくるしかなかった。
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