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買い物
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無難に昼食を済ませた後は買い物だ。この広いビーズモール内、服を買おうと思えば店舗がいっぱいありすぎるが、イベントをこなすためのお店となると選択肢が限られる。半分ネタみたいなものなので、高い店はNGなのだ。
「ここのウニクロは広いな……」
広いだけあって、服の選択肢としては多い方だろうか。そもそも俺自身、服を買いに行くということは滅多にしないのだ。そりゃもう、面倒くさいから。あまりの服の少なさに、親がたまに勝手に買ってくるぐらいだ。さすがにズボンとなるとサイズ合わせとかがあるからか、たまに連れ出されたりはするが。
「まぁ適当に回りましょうか」
「んだねー」
青羽に合わせて適当に相槌を打つ空閑に、俺と夕凪がついていく。きょろきょろと見回してみるが、これと言って自分でもピンとくるものはない。集合時にこそ自分の服装が気になったりはしたが、集まった後だともう過ぎ去った過去のものだ。別に今の格好でもいいじゃねぇかという思考になってくる。
「白石の好みの服はどんな感じ?」
「えっ? 好み……?」
まさにそのことを考えていたが、話を振られても答えは用意できていない。だが一つ言えることはある。
「うーん……。派手じゃなけりゃいいよ」
別に着られるもので変じゃなきゃなんでもいいんじゃねーかな。
「もうちょっと気にしようよ。一緒に歩いてるあたしたちの身にもなってよね」
現状維持な発言をした俺に、夕凪がジト目を向けてくる。自分のことしか考えてなかったが、そういう見方もあるのか。ってか一緒に歩くだけでそう見られるというのも面倒な話だ。だからと言って罪悪感などは湧いてこないが。
「悪かったな……」
「……あたしが選んであげるから感謝しなさいよ」
言葉と同時に俺から商品へと視線を向けているが、ちょっと顔が赤くなってる気がするのは気のせいか。……うん、きっと気のせいだな。
「あ、これなんていいんじゃない?」
ダークグリーンのシャツを手に取って、空閑と手元を見比べる青羽。
「おぉ、んじゃあ……、んーこれを合わせてみて……」
空閑もダークグリーンのシャツを見て、その下に着ると合いそうな柄のTシャツを選んでいる。自分にはまねできない行動に感心していると、すぐ横にいた夕凪も服を物色し始めた。手にとってしばらく眺めては戻しをいくつか繰り返した後、ピンク色のシャツを取って俺の方を振り向いた。
「これなんていいんじゃない?」
面白いものを見つけたような笑いを顔に張り付け、こっちに迫ってくる。
「いやちょっと、ピンクってなんだよ!?」
よく見れば胸元にデフォルメされた天使の模様が薄く入っている。なんつー柄の服を選ぶんだコイツは……。いやがらせなんじゃねーか!?
「ぶはははは! いやいいんじゃないの。なかなかツボに入った服なんじゃないか」
「でしょー」
空閑の同意を得られたことから出てきた若干のドヤ顔がすげー腹立つ。ツボに入ったってお前の笑いのツボじゃねぇのか。
「でもちゃんとメンズ用の服よ?」
苦笑いをしながら青羽も否定はしてくれないようだ。まぁ確かにメンズの棚に陳列されているやつだし、男が着る服なんだろう。いやだけどピンクっていう色だけでなんか……こう、拒否感というか……。
うーむと唸っていると、今度は夕凪の気楽な声が聞こえてきた。
「大丈夫大丈夫。着てみれば似合うかもしれないじゃない。……わかんないけど」
おいいいぃぃぃ! ちょっと小さい声でつぶやいたんだろうが、はっきり聞こえたぞ! すげー適当なこと言ってんじゃねーよ! どうせ似合うのは『イケメンに限る』とかそういうことだろ?
「誰が何と言おうと俺は騙されないからな!?」
「まぁまぁそう言わず。一回試着してからでも遅くないって」
くそ……、一体何なんだ。自分としては『なし』な服なんだが、三人揃って同意してくれないとは思わなかった。それほど変じゃないってことなのか。……わからん。ピンクって色がそもそも女子っぽいと思うのは偏見なのか。実際にメンズ用だし、これは考えを改めるべきなのかもしれない。
「……そこまで言うなら」
とりあえず試着してから考えてもいいかもしれない。せっかく友達と遊びに来たんだ。ここは空閑の言う通り、選んでもらった服を試してみるか。似合わなかったとしてもネタにはなるだろう。こういうのは変に嫌がるからからかわれるんだ。
あくまでも渋々とした態度を崩さずに夕凪から服を受け取ると、試着室へと入っていく。なんとなく生暖かい目で見送られたのはスルーしておこう。どうせ自分にセンスはないんだ。
改めてじっくりと服を眺めてみる。反射的に拒絶してしまったが、もしかすると悪くないのかもしれない。長袖の黒いシャツを脱いで、ピンクのシャツにそでを通す。
うん。実際に着てみれば言うほど変じゃないな。っていうか普通の服だ。何を嫌がってたんだろうか。男でもピンクが変じゃないとわかっただけでも収穫だ。
しかしそんなことは悟られたくない俺は、なんでもなかったように試着室を出る。
……と、そこには三人の他に担任の狛谷先生がいた。
「ここのウニクロは広いな……」
広いだけあって、服の選択肢としては多い方だろうか。そもそも俺自身、服を買いに行くということは滅多にしないのだ。そりゃもう、面倒くさいから。あまりの服の少なさに、親がたまに勝手に買ってくるぐらいだ。さすがにズボンとなるとサイズ合わせとかがあるからか、たまに連れ出されたりはするが。
「まぁ適当に回りましょうか」
「んだねー」
青羽に合わせて適当に相槌を打つ空閑に、俺と夕凪がついていく。きょろきょろと見回してみるが、これと言って自分でもピンとくるものはない。集合時にこそ自分の服装が気になったりはしたが、集まった後だともう過ぎ去った過去のものだ。別に今の格好でもいいじゃねぇかという思考になってくる。
「白石の好みの服はどんな感じ?」
「えっ? 好み……?」
まさにそのことを考えていたが、話を振られても答えは用意できていない。だが一つ言えることはある。
「うーん……。派手じゃなけりゃいいよ」
別に着られるもので変じゃなきゃなんでもいいんじゃねーかな。
「もうちょっと気にしようよ。一緒に歩いてるあたしたちの身にもなってよね」
現状維持な発言をした俺に、夕凪がジト目を向けてくる。自分のことしか考えてなかったが、そういう見方もあるのか。ってか一緒に歩くだけでそう見られるというのも面倒な話だ。だからと言って罪悪感などは湧いてこないが。
「悪かったな……」
「……あたしが選んであげるから感謝しなさいよ」
言葉と同時に俺から商品へと視線を向けているが、ちょっと顔が赤くなってる気がするのは気のせいか。……うん、きっと気のせいだな。
「あ、これなんていいんじゃない?」
ダークグリーンのシャツを手に取って、空閑と手元を見比べる青羽。
「おぉ、んじゃあ……、んーこれを合わせてみて……」
空閑もダークグリーンのシャツを見て、その下に着ると合いそうな柄のTシャツを選んでいる。自分にはまねできない行動に感心していると、すぐ横にいた夕凪も服を物色し始めた。手にとってしばらく眺めては戻しをいくつか繰り返した後、ピンク色のシャツを取って俺の方を振り向いた。
「これなんていいんじゃない?」
面白いものを見つけたような笑いを顔に張り付け、こっちに迫ってくる。
「いやちょっと、ピンクってなんだよ!?」
よく見れば胸元にデフォルメされた天使の模様が薄く入っている。なんつー柄の服を選ぶんだコイツは……。いやがらせなんじゃねーか!?
「ぶはははは! いやいいんじゃないの。なかなかツボに入った服なんじゃないか」
「でしょー」
空閑の同意を得られたことから出てきた若干のドヤ顔がすげー腹立つ。ツボに入ったってお前の笑いのツボじゃねぇのか。
「でもちゃんとメンズ用の服よ?」
苦笑いをしながら青羽も否定はしてくれないようだ。まぁ確かにメンズの棚に陳列されているやつだし、男が着る服なんだろう。いやだけどピンクっていう色だけでなんか……こう、拒否感というか……。
うーむと唸っていると、今度は夕凪の気楽な声が聞こえてきた。
「大丈夫大丈夫。着てみれば似合うかもしれないじゃない。……わかんないけど」
おいいいぃぃぃ! ちょっと小さい声でつぶやいたんだろうが、はっきり聞こえたぞ! すげー適当なこと言ってんじゃねーよ! どうせ似合うのは『イケメンに限る』とかそういうことだろ?
「誰が何と言おうと俺は騙されないからな!?」
「まぁまぁそう言わず。一回試着してからでも遅くないって」
くそ……、一体何なんだ。自分としては『なし』な服なんだが、三人揃って同意してくれないとは思わなかった。それほど変じゃないってことなのか。……わからん。ピンクって色がそもそも女子っぽいと思うのは偏見なのか。実際にメンズ用だし、これは考えを改めるべきなのかもしれない。
「……そこまで言うなら」
とりあえず試着してから考えてもいいかもしれない。せっかく友達と遊びに来たんだ。ここは空閑の言う通り、選んでもらった服を試してみるか。似合わなかったとしてもネタにはなるだろう。こういうのは変に嫌がるからからかわれるんだ。
あくまでも渋々とした態度を崩さずに夕凪から服を受け取ると、試着室へと入っていく。なんとなく生暖かい目で見送られたのはスルーしておこう。どうせ自分にセンスはないんだ。
改めてじっくりと服を眺めてみる。反射的に拒絶してしまったが、もしかすると悪くないのかもしれない。長袖の黒いシャツを脱いで、ピンクのシャツにそでを通す。
うん。実際に着てみれば言うほど変じゃないな。っていうか普通の服だ。何を嫌がってたんだろうか。男でもピンクが変じゃないとわかっただけでも収穫だ。
しかしそんなことは悟られたくない俺は、なんでもなかったように試着室を出る。
……と、そこには三人の他に担任の狛谷先生がいた。
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