本からはじまる異世界旅行記

m-kawa

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第三章

撃退

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「待てよ」

 男の横をすり抜けようとしたが、両手を広げて遮られる。

「なんだよ。お前らの用事は断られて終わっただろ。次は俺の番だ」

 ちゃんと順番守ってやったんだから文句言うんじゃねーよ。まったく。

「ええ、なので次はオレの番なんですよね」

 真ん中にいる背の高い男がそう告げる。

「こっちは三人いるんだから、オッサンは四番目なんだよ」

 俺に一番近い、両手を広げた男がふんぞり返るようにそんなセリフを吐く。
 うむぅ、なんだコイツラ。すんげーイラっとする。中途半端に頭が回るのを主張してくんのもやめろ。

「あなたもお断りです! 私はマコトとこれから家に帰るんです!」

 一人でイライラしてたらフィアがズバッと言ってくれた。
 男三人衆のほうを見やると、三人とも眉間にしわを寄せている。

「ちっ!」

 舌打ちをして表情を歪める様子に少しだけ溜飲が下がった気がしたが、これで終わりなはずはない。
 強硬手段に出られたら突破するまでだ。と気持ちを引き締めて身構える。

「はあ、……断られてしまいましたね。仕方ないです。引き揚げますか」

 おおぅ……、そうか。潔いな。
 肩透かしを食らった感じで気が抜ける。
 フィアもホッとした表情だ。
 俺の横を男たちが順に通り抜け、最後にフィアに手を伸ばそうとしていた男が通り抜けようとしたときにそれは起こった。
 すれ違いざまに俺の腹に向かって拳を打ち込んできたのだった。

「ぐあああぁぁぁぁ!!」

 だがしかし、悲鳴を上げたのは殴りかかってきた男のほうだ。
 不意を打たれたとは言え、普通の人間の速度である。俺が反応できないわけがなかった。
 自分の腹の前で相手の拳を受け止めると、そのまま握りつぶさんばかりに力を込めてやる。とは言え病院送りにならない程度に抑えておいたが。

「ひゃあっ!?」

 最後の男を追うようにしてこちらに近づいていたフィアから悲鳴が上がり、俺の横を通り抜けていった男二人も何事かと振り返る。

「どうしたっ!?」

 俺に拳を握りつぶされた男が、左手で右手を押さえながら先行していた男たちの元へとふらふらしながら歩いていく。
 その様を見送っていると、追いついてきたフィアが俺に体を預けてくる。

「マコト……、大丈夫ですか?」

「ん? ああ、俺は問題ないよ。いきなり殴りかかられてびっくりしたけどな」

「……素直に帰ろうとしたオレたちに一体何をしたんですかね?」

 背の高い真ん中にいた男がこちらを睨みつけてきた。
 それに対して俺は肩をすくめる。

「先に殴りかかってきたのはそっちだからな。あくまでこちらは正当防衛だな」

「うるせぇ! こんなことしてただで済むと思ってんのか!?」

 こちらの主張に聞く耳を持たずにもう一人の男が吠え立てる。

「じゃあ警察にでも行きますか? そっちから殴りかかってきた証拠はほら」

 と、後ろのトイレへと続く通路の角に設置してある防犯カメラを指さす。

「あれに記録されてるはずだからね」

 腕を組んで、「ただで済まないのはどっちだろうね」と言ってやると、男三人は諦めたかのように去っていくのだった。

「お……、覚えてろよ!」

 捨て台詞を残して。
 あー、うん。フィアに絡んできた男第一号として割とインパクトはあるし覚えてるかもね。

「……ホントはもうちょっと買い物しようと思ってたけど、……帰ろうか」

「……そうですね。……なんだか疲れました」

 というわけで俺たちも岐路につくのだった。
 まぁそこそこ買い物できたし、まぁよしとするか……。

 帰りの車の中では、疲れからか助手席で眠るフィアを見ることができた。
 見とれて事故りそうになったのは秘密である。
 フィアの寝顔可愛すぎ……!



「お、明か。久しぶりだな」

『あ、お久しぶりです。どうしたんですか?』

 自宅に帰ってくると夜の八時前となっていた。
 それから風呂に入って、いつもならだらだらする時間となるのだが、車内で寝たくらいでは疲れが取れなかったのか、フィアはもう寝ている。
 そして明に電話をかけている今の時刻は夜の九時といったところである。

「ああ、元気そうだな。あれからどうしてる?」

『あはは、一応落ち着きましたよ。何も覚えてないってことをうまく押し通せたみたいなので……』

「そうか。そりゃよかった。
 ……それでだな。今日電話したのは、預かった金貨が換金できたんで、その連絡だ」

『えっ? ほんとですか!?』

「ああ。……驚くなよ? まあ時間帯も遅いから大きい声は控えてくれよ」

『ええっ?』

「預かった金貨99枚が、なんと390万円になった」

『――えっ?』

「さんびゃくきゅうじゅうまんえん」

『……ええええええぇぇぇぇぇ!!!??』

 忠告はしたけどやっぱり大声になる明であった。
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