モーニングコーヒーはぬるめで

慶野るちる

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本編

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 公園の近くの地下駐車場に停めてあった車に乗り込み、樫木の家とやらに向かう。
 どんな車に乗ってんのだろうと興味もあったが、見れば多分少し背が高めのファミリータイプのシルバーの軽自動車。超普通。こだわりはないらしい。俺もどうでもいいが。
 十五分ほど走って着いた先はアパート。暗がりではっきりは分からないが四階建てだろうか。集合ポストを抜けてすぐそばが部屋だったらしく、前を歩く樫木が突然止まる。
 ポケットから鍵を取り出し鍵穴に挿すのを見て、思わず視線を爪先に落としてしまった。
 ……俺はこの部屋に入るのか。一つ学年が上の先輩と寝るのとは違う。教師で担任で。歳が十も離れていて。
 ドアを開けて中に入った樫木が振り返る。
「今更怖気づいても遅いぞ」
 !
 樫木の声がさっきまでと違うことに気付いて顔を上げた瞬間に腕を取られ、中へ引っ張り込まれた。
 ドアを荒く閉めたと思ったら、そのまま背中をドアに押し付けられ。その勢いに肩にかけていた鞄が落ちる。
「うっ……」
 噛みつかれるように樫木に唇を塞がれていた。言葉もなく、目も合わせず。無防備に薄く開いたままだった歯列を舌が強引に開いて中へ入ってくる。
「んんんっ!」
 抵抗も、拒否も、何もできずに樫木に押さえつけられていいように口の中を蹂躙されて。両足の間に割って入った樫木の片足が制服のズボン越しに内腿を擦る。刺激の先にあるものを当然知っているから勝手に身体がざわつき始めて力が抜けていく。立っているのが辛くなってくる。
 でもこれはレイプだろ、俺はまだ、何も言ってない。言葉を交わしてない。セフレっていうのはもっと快楽を求めて少しは会話を……。こういうのを望んでいたのか、俺は。こっちの意思なんか関係なく一方的に奪われる、圧倒的な力で空っぽにされてようやく北見の横に立てるのか。そこまでしないと駄目なのか。
 だけど、嫌だ。こんなのは。……いや、都合のいいことを言ってるのかもしれない。ゆきずりならこんなこともあるのかもしれない。だったら仕方ないのか。自分で選んだことだ……。
 樫木の指がノットにかかりネクタイが解かれていく。ワイシャツが開いて樫木の唇が首を滑り、鎖骨のあたりに結構強く歯を立てられた。
「っつ!」
 あやふやになっていた意識が強制的に戻されるとインナーの下にある乳首を指の腹で捏ねられ。ずんと脳天まで快感が走った。
「も……無理……」
 立ってられない。
 樫木は一切をやめて自分の上着を脱いで背後の狭く短い廊下に投げると、俺をそこへ無言で押し倒した。バックルを外され、革靴を脱がされ、下着とズボンを一度に抜かれる。先走りに濡れた俺のペニスで湿らせた樫木の指が後ろのすぼみに躊躇なく当てられる。かきまぜるようにそろそろと指が動き、ペニスはペニスでびちゃびちゃと水音を立てながら扱かれた。
「ん……ぅ……」
 声は出したくない。自分の手の甲を噛んでなんとか凌ぐ。口から漏れる息は苦さと甘さが混じっていて。
 やがて指が抜かれて樫木が中に入ってきて、言葉一つないまま果てた。
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